赤ちゃんを泣き止ませるとき
抱っこしてますよね

そして、ただ抱っこするだけでなく
軽く揺すったり、歩いたり

落ち着いたなと思って、
抱っこしたままイスに座ると、
また泣きはじめて。。

仕方なく、また立ち上がって歩く

の繰り返し


イスに座っても大丈夫になると
今度は、布団に寝かせます

ここがまた関門

そのまま雑作なく寝かせると
泣きはじめてしまうので

胸を密着させたまま布団に寝かせ
しばらくそのまま密着させてから、
慎重に胸を離していきます

そのまま寝てくれたらいいのですが

また泣くこともしばしば


で、ふりだしにもどる。。



でも、あれ、不思議ですよね?

抱っこして歩いていると
赤ちゃんが落ち着くのは、、



先ごろ、この現象を科学的に調べた
研究結果が報告されました


これ、日本の研究機関である
理化学研究所・脳科学総合研究センター
を中心とした共同研究の成果です


ヒトとマウスで実験しています


まず、ヒトの実験では、
生後6ヶ月以内の赤ちゃんとお母さん
12組に協力してもらいます

お母さんが赤ちゃんを抱いた状態で
30秒毎に「座る」と「立って歩く」を
繰り返している間に、赤ちゃんの
生体反応を調べます

具体的には、赤ちゃんの動き、
泣く量、脈の間隔を計測


実験の結果、
座っている状態から立って歩くと、
その3秒後には、

赤ちゃんのぐずる動きが約1/5に
泣く量は約1/10に低下。

脈の間隔を1分間の心拍数に換算して
162から146に低下したとのこと。

$プラスサイエンス-赤ちゃん抱っこ

Esposito et al., Curr Biol 23 (2013)より


赤ちゃんの生体反応としても
ちゃんと落ち着いていたことが
科学的に分かったわけです



次は、マウスの実験

母親マウスは仔マウスを抱っこ、、

しませんよね

その代わり、母親マウスは
仔マウスの首の後ろをくわえて運びます

すると仔マウスは身体を丸めて
運ばれやすい姿勢になります

これは、仔マウスが母親マウスの行動を
助ける協力反応だと考えられています

この仔マウスが身体を丸めるのを
「輸送反応」と言うそうです

実験では、ヒトが仔マウスの首の後ろの
皮膚をつまみあげます

すると、ヒトの赤ちゃんと同じく
動き、泣く量、心拍数とも低下

$プラスサイエンス-マウス

上記論文より

ちなみにこの図では、
心拍の間隔を表示していて、
それが長くなっているので、
心拍数では低下したことになります



さらに、
首の後ろをくわえられて
運ばれている状態は、
首の後ろをくわえられている
感覚があって、それ以外の
身体の部位は何にも触れておらず、
身体の各部位に体重がかかるパターンが
地に足をつけているときと異なるなど
複合的な感覚情報をもとにして
仔マウス自身がわかるわけですが、
これを固有感覚と言います。

で、
この固有感覚を麻酔薬で麻痺させると、
首の後ろをつまみ上げても
すぐに落ち着きがなくなったそうです

つまり、その運ばれている状態が
仔マウスを落ち着かせていることが
わかたったのです


私たちは経験上、
赤ちゃんを落ち着かせるのに
抱っこして歩きますが

それには、ちゃんとした生体反応が
裏付けとしてあったのですね


固有感覚から脳がどうやって輸送反応を
もたらしているかは、まだ未解明

今のところ、小脳が関与していること
は分かっているようです

今後の研究に期待しましょう



ちなみに、私が赤ちゃんのときは
車の往来がある道路沿いで
抱っこしてもらうのが
お気に入りだったらしいです





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