何かを見るとき、意識していなくても、
ある対象に目がいってしまう
そんなことがありますよね
単純なケースを考えてみましょう
下の3つの図をご覧ください

上の図では、一つの赤い縦棒に
中の図では、一つの青い横棒に
目が勝手にいってしまいませんか?
これを
ポップアウト(Pop-out)といいます
外からの情報を処理して分かるので
ボトムアップ型注意ともよばれます
見ようと思ってみているのではなく
無意識のレベルで脳が処理することで
勝手に目がいってしまうのです
3つ目の図では、上の2つとは違って
特定の棒に目はいきませんね
「赤い横棒が一つだけある」
と言われると、赤い棒を一つずつ
テェックして、ようやく見付かります
目的をもって探していますので、
トップダウン型注意とよばれます
目から入る情報を、視覚情報とか
視覚刺激といいますが
視覚情報は網膜にあたると
電気信号に変えられ、視神経を通って
脳へ送られます
脳で視覚情報を処理するのは
大雑把には後頭部の後頭葉に位置する
視覚野という広い脳領域です
この視覚野も細かく分けられていて
まず最初に、一次視覚野(V1)で
線の角度などの単純な要素が処理され
上位の二次視覚野(V2)では
V1から送られた情報をもとに、
より複雑なパターンを処理します
V2から先は、より高次なV3、V4などに
情報が送られていきます
実際にはもっともっともっと複雑で
例えば、サルでは、下図のように
とても複雑な回路になっています

【出典】
斎藤秀昭 「視覚中枢の階層構造と機能分化」甘利俊一、外山敬介編『脳科学大事典』朝倉書店、pp102-104、(2000)
見る気がしませんよね。。
研究によると、上で見たポップアウトは
V2で起きるという報告があります
ポップアウトのメカニズムはまだ
ちゃんとは分かっていませんが、
V2やそれより高次の視覚野が処理
していることは確かでしょう。
最初の図の3つ目の図は、注意して
探すと誰でも見付けられますが、
基本的に脳は、
時間的にゆっくりする変化には
気付きにくいので、茂木健一郎さんの
アハ!ムービーのように、じわ~っと
変化する場合には、注意していても、
なかなか気付きません。
先のポップアウトに似た現象として
カクテルパーティー効果があります
見るのではなく、聞く場合のことです
これは、多数の人が会話をしている中で
特定の人が話す声を聞ける現象です
本来なら、音の分離は大変難しいのに、
脳が声の特徴を無意識的に判断して
他の人の声を意識に登らせないように
しています
聞きたい対象がはっきりしているので、
トップダウン型注意が効いて
関連する情報を拾い上げるように
脳が勝手にしているわけですね
すごいなあ、脳って
特にあてもなく視線を移しているときは
どうでしょうか?
何気なく目がいったもの
それは、
あなたの心の中で気になっていたものが
トップダウン型注意を起こして
脳が勝手に探し出した結果なのです。
さて、何に目が止まりましたか?
(おしまい)
お読みいただきまして、ありがとうございました。
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上の図では、一つの赤い縦棒に
中の図では、一つの青い横棒に
目が勝手にいってしまいませんか?
これを
ポップアウト(Pop-out)といいます
外からの情報を処理して分かるので
ボトムアップ型注意ともよばれます
見ようと思ってみているのではなく
無意識のレベルで脳が処理することで
勝手に目がいってしまうのです
3つ目の図では、上の2つとは違って
特定の棒に目はいきませんね
「赤い横棒が一つだけある」
と言われると、赤い棒を一つずつ
テェックして、ようやく見付かります
目的をもって探していますので、
トップダウン型注意とよばれます
目から入る情報を、視覚情報とか
視覚刺激といいますが
視覚情報は網膜にあたると
電気信号に変えられ、視神経を通って
脳へ送られます
脳で視覚情報を処理するのは
大雑把には後頭部の後頭葉に位置する
視覚野という広い脳領域です
この視覚野も細かく分けられていて
まず最初に、一次視覚野(V1)で
線の角度などの単純な要素が処理され
上位の二次視覚野(V2)では
V1から送られた情報をもとに、
より複雑なパターンを処理します
V2から先は、より高次なV3、V4などに
情報が送られていきます
実際にはもっともっともっと複雑で
例えば、サルでは、下図のように
とても複雑な回路になっています

【出典】
斎藤秀昭 「視覚中枢の階層構造と機能分化」甘利俊一、外山敬介編『脳科学大事典』朝倉書店、pp102-104、(2000)
見る気がしませんよね。。
研究によると、上で見たポップアウトは
V2で起きるという報告があります
ポップアウトのメカニズムはまだ
ちゃんとは分かっていませんが、
V2やそれより高次の視覚野が処理
していることは確かでしょう。
最初の図の3つ目の図は、注意して
探すと誰でも見付けられますが、
基本的に脳は、
時間的にゆっくりする変化には
気付きにくいので、茂木健一郎さんの
アハ!ムービーのように、じわ~っと
変化する場合には、注意していても、
なかなか気付きません。
先のポップアウトに似た現象として
カクテルパーティー効果があります
見るのではなく、聞く場合のことです
これは、多数の人が会話をしている中で
特定の人が話す声を聞ける現象です
本来なら、音の分離は大変難しいのに、
脳が声の特徴を無意識的に判断して
他の人の声を意識に登らせないように
しています
聞きたい対象がはっきりしているので、
トップダウン型注意が効いて
関連する情報を拾い上げるように
脳が勝手にしているわけですね
すごいなあ、脳って
特にあてもなく視線を移しているときは
どうでしょうか?
何気なく目がいったもの
それは、
あなたの心の中で気になっていたものが
トップダウン型注意を起こして
脳が勝手に探し出した結果なのです。
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