日曜(4/7)のMSN産経ニュースに
佐藤真海さんの記事がありましたね
「なぜ五輪を呼びたいのか」
彼女はパラリンピックの陸上選手
二十歳のとき、
病気で右脚の膝から下を失います
失ったはずの右脚が痛む「幻肢痛」にも
悩まされるなか、スポーツ義足と出会う
そして、トレーニングを経て
走り幅跳びでアテネ、北京、ロンドンと
3大会連続でパラリンピックに出場
3.11では古郷の宮城県気仙沼市が被災
先の記事は、この3月に行なった
2020年の五輪招致のスピーチが
招致委員の涙を誘ったというものです
逆境にめげず頑張っておられる姿は
ほんとうに素晴らしいです
この佐藤真海さんが悩まされたという
「幻肢痛」
怪我などで四肢(手足)が切断されると
ほとんどの患者さんには失った手足が
まだあるような感覚(幻肢)があり、
過半数の方が失った手足に痛みを感じ
これを幻肢痛といいます
切断した箇所が治癒しても
失った手足の痛みが数年間続き
鎮痛剤もほとんど効かず
大変お辛いようです
この幻肢痛がどうして起こるのかという
メカニズムはまだよくわかっていません
ラマチャンドランという神経科医が
1990年代に開発したミラーボックスで
幻肢痛が和らぐケースがあります
そのミラーボックスとは、中に鏡を
立てた箱のことで、例えば、
鏡の右側に健常な手を、鏡の左側に
失った手を入れて健常な手を鏡に
映すことで反対側の失った手が
あたかも存在するかのような錯覚を
引き出す道具です
これで全ての幻肢痛が治るわけでは
ありませんが、治る方もありますし
そのメカニズムを理解する上でも
重要な発見と言えるでしょう
この辺りのことは、ラマチャンドランの
著作にも書かれています
『脳のなかの幽霊』(角川文庫)
最近、幻肢痛に関する研究論文が
Nature関係の雑誌に発表されました
Makin et al.,
Phantom pain is associated with preserved structure and function in the former hand area
Nature Communications 4: 1570 (2013)
これまで、幻肢痛のメカニズムとして
失われた手の感覚や運動を担っていた
脳領域での情報の入出力がなくなって
その代わりに、他の体部位の感覚など
に応答するようになるため、
という見方がありました
この論文では、切断患者さんや
先天的に腕のない被験者さん、そして
健常者の脳活動をfMRIで比較しています
その結果、失った腕を動かすのを
イメージしたとき、切断患者さんで
痛みが強いほど、もともとその運動に
関係していた脳領野の活動が強く
みられたそうです
つまり、幻肢痛は元の機能が残っている
ほど強いわけで、他の体部位の情報を
担うようになったからというのではない
結果でした
これで全てが分かったわけではなく
幻肢痛のメカニズムや治療法の研究は
現在も活発に続けられています
しかし、ミラーボックスの手法は
ある意味、脳をだまして、
痛みを和らげるということですから
脳の奥深さを感じさせられます
(おしまい)
お読みいただきまして、ありがとうございました。
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「なぜ五輪を呼びたいのか」
彼女はパラリンピックの陸上選手
二十歳のとき、
病気で右脚の膝から下を失います
失ったはずの右脚が痛む「幻肢痛」にも
悩まされるなか、スポーツ義足と出会う
そして、トレーニングを経て
走り幅跳びでアテネ、北京、ロンドンと
3大会連続でパラリンピックに出場
3.11では古郷の宮城県気仙沼市が被災
先の記事は、この3月に行なった
2020年の五輪招致のスピーチが
招致委員の涙を誘ったというものです
逆境にめげず頑張っておられる姿は
ほんとうに素晴らしいです
この佐藤真海さんが悩まされたという
「幻肢痛」
怪我などで四肢(手足)が切断されると
ほとんどの患者さんには失った手足が
まだあるような感覚(幻肢)があり、
過半数の方が失った手足に痛みを感じ
これを幻肢痛といいます
切断した箇所が治癒しても
失った手足の痛みが数年間続き
鎮痛剤もほとんど効かず
大変お辛いようです
この幻肢痛がどうして起こるのかという
メカニズムはまだよくわかっていません
ラマチャンドランという神経科医が
1990年代に開発したミラーボックスで
幻肢痛が和らぐケースがあります
そのミラーボックスとは、中に鏡を
立てた箱のことで、例えば、
鏡の右側に健常な手を、鏡の左側に
失った手を入れて健常な手を鏡に
映すことで反対側の失った手が
あたかも存在するかのような錯覚を
引き出す道具です
これで全ての幻肢痛が治るわけでは
ありませんが、治る方もありますし
そのメカニズムを理解する上でも
重要な発見と言えるでしょう
この辺りのことは、ラマチャンドランの
著作にも書かれています
『脳のなかの幽霊』(角川文庫)
最近、幻肢痛に関する研究論文が
Nature関係の雑誌に発表されました
Makin et al.,
Phantom pain is associated with preserved structure and function in the former hand area
Nature Communications 4: 1570 (2013)
これまで、幻肢痛のメカニズムとして
失われた手の感覚や運動を担っていた
脳領域での情報の入出力がなくなって
その代わりに、他の体部位の感覚など
に応答するようになるため、
という見方がありました
この論文では、切断患者さんや
先天的に腕のない被験者さん、そして
健常者の脳活動をfMRIで比較しています
その結果、失った腕を動かすのを
イメージしたとき、切断患者さんで
痛みが強いほど、もともとその運動に
関係していた脳領野の活動が強く
みられたそうです
つまり、幻肢痛は元の機能が残っている
ほど強いわけで、他の体部位の情報を
担うようになったからというのではない
結果でした
これで全てが分かったわけではなく
幻肢痛のメカニズムや治療法の研究は
現在も活発に続けられています
しかし、ミラーボックスの手法は
ある意味、脳をだまして、
痛みを和らげるということですから
脳の奥深さを感じさせられます
(おしまい)
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