【プロジェクトドキュメント】挑戦者達の記録「面倒な塗装せずに踏切を作りたい件」①
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『この前買った2色成形機でさ、なんかすんごいの作りたいんだよね。このマシンのいいところを活かした製品をサ。』
よく晴れた土曜日、電車の撮影に行くために早く朝起きたモハ太郎は昨日社長から聞いた事をぼんやり思い返していた。
うーむ、困った。
なんかすんごい2色の物ってなんだ。
眠気の残る頭で友人の車に乗り数時間、モハ太郎はとある田舎の踏切に立っていた。
電車の通過を待つ時間、胸がすくような気持ちの良い青空の下でただただボケッと立って居るのである。
モハ太郎の休日はだいたいそんな感じだった。
上を見れば入道雲が湧き上がりつつある空、目線を下ろすと良い感じに赤錆びたバラスト、枕木、線路…
そして青空にバッキっと映える黒と黄色の踏切の警報機。
あぁ〜いい。この夏の情景イイ…エモい。ジオラマにして一生自分のモノにしたい。
黒と黄色のシマシマ、塗装するの面倒なんだよなァ。
……この時、蝉時雨に混じりながら、脳内でシナプスがゆっくりと繋がる音がした。
あ、これじゃん。できたらすんごい2色の物。
みんなが欲しい2色の物。
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みなさまこんにちワ
PLUMのモハ太郎です
ライトノベルみたいな文書いてる場合じゃないです。
というわけで!塗装なしで完成する「1/80スケールの踏切」を開発する事になりました!
めでたい!
今回は『発売決定!○月発売予定』という告知ではなく、『研究開発開始!』という告知なのはなぜか…?
これはこの開発がPLUM/PMOAの商品開発の研究を兼ねたチャレンジプロジェクトだからです。
踏切はみなさんご存知の通り、タダでさえ細く複雑な形をしています。
これを黄色と黒を色分け、組み立ての精度も高く設計、量産するのはかな〜り難しい…はず…。
金型設計製造で色々やってきたPMOAですが、より高度な技術を会得し、次のステップに進めるよう、みんなで勉強するつもりで頑張っていこうというプロジェクトなのです。
果たして成功するのか?!
せっかくなら、開発風景をお見せしてエンタメ化しちゃおうという所までが今回の企画です。
失敗も成功もみんな見てくれ!
ここからは普段登場しない金型設計のプロフェッショナルを呼んで「ムズカシイ」話まで全部教えて貰っちゃいましょう。
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ではでは。ここからは、金型設計を20数年やってきましたさとみがモハ太郎と一緒に2色成形機についてお伝えしていきます!
踏切の黒と黄色のシマシマを2色成形機で生産する為に、押さえておきたいポイントをお伝えしていきます。
テストにでるよ!
冒頭で社長が言っていたように、PLUMには2色成形機があります。この前新規導入しました。
(以前ブログでご紹介した記事はこちらです)
2色の製品は簡単に製作出来ます!!と言いたい所ですが、
簡単に出来る2色成形品と、ちょっと頭をひねらないと出来ない製品とがありまして。。。
そこんところモハ太郎達企画者にご理解頂けると制作側も嬉しいんですが。(*´Д`)
『どゆこっちゃねん。教えてさとみ先生!』
と言う事で、ここでちょっと簡単に2色成形のご説明いたします。
★2色成形とは★
異なる色の樹脂や異なる材料を組み合わせて一つの製品にさせる成形方法です。
さとみ『2色の製品で思いつく物といえば、日頃私がよくお世話になっている製品・・・やはり、タッパーの蓋ですかね(シリコンのシールが付いているタイプ)』
さとみ『モハ太郎は、2色の製品で何か思いつく物はありますか?』
モハ太郎『う~ん、そうですねぇ あ、歯ブラシの枝の部分とかドライバーのグリップとかですかね』
さとみ『そうそう、結構身近な物でありますよね』
さとみ『ここで、ちょっとシンキングタイム2色成形品を作る為にはどんな事が難しいとおもいますか』
モハ太郎『難しい事ですか?... 色が混ざんないようにするとか?いまいち分かりません…詳しく教えて下さい!』
ではでは。
こちらは、これから開発する踏切プラモデルの1部分のモデルになります。
一見簡単そうに見えるこちらのタグ【1/80 踏切A】
この文字を2色で再現する方法で、ちょっと難しい点があるんですよ
何が難しいのか いまいちわからん。
そもそもムズカシイのか…というモハ太郎
見てもらいたいポイントをお教え致します
まず、8という文字に注目して下さい。
8の〇〇の内側にも黄色い樹脂が流れていますよね。
どうやって内側に黄色い樹脂が流れると思いますか??( ゚Д゚)
同様な所が4箇所ありますが、これ、実は不思議な事になっているのが分かります?
モハ太郎『え❓0と口と日と△の内側の所、黒の中に黄色を入れるには普通ゲートが必要なんじゃ…』
さとみ『正解!!そうなんです。黒に囲われている部分に樹脂をどう流すのかがポイントになるんですよ!』
では、こちらのタグの裏側を見てみましょう。
黒のタグに黄色が所どころありますよね。ここの断面を見て頂くと・・・
お判りになりますでしょうか。ヒミツがここにあります
裏側で黄色が繋がっているんですよ!この構造がちょっと厄介で難しいんですよ
という事で。
さとみ『長くなってしまったので、こちらの構造とどうやって設計したかについては、また次回ご説明いたします』
モハ太郎『めっちゃイイところで次回へ続くんですね…なんかヤバイヒミツが隠されているに違いない!
早く解説が聞きたい!気になって寝られん』
さとみ『ちゃんと寝てください(冒頭でも眠いって言ってたなコヤツ…)』
【プロジェクトドキュメント】挑戦者達の記録「面倒な塗装せずに踏切を作りたい件」①
今回はここまで。
たかがプラモデル。されどプラモデル。
今後も我々が挑む2色成形の裏側をお伝えしていきます
※現在こちらの2色成形機で商品化している双盾のご予約はこちらから
*掲載画像は試験段階の試作品です。実際の商品とは異なります。
*商品仕様・企画は予告なく変更する場合がございます。
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