(ぽーんちゃん!)


ペラッ




『ひゃっ…!』


(あはは!半年以上経ってもやっぱその反応変わらないね!)




聴き慣れた声だ。不気味に思ったがそれは一瞬で。
こうやって天の声形式で現れるのは…。




『盆になったから来たの?』


(あ、今回はすぐわかってくれたのね!そう!あとぽんに会いたかったから。)


『でも現れたしるしに問題集のページめくりするのはびっくりするからやめて欲しいな…』


(ごめんって!そういえば声変わったね)


『あ、そうなんだ。自分では気づかないね。』


(なんか変な感じ…!学校はどう?)


『楽しいよ。今年から軽音部入って…この間部長になった…』


(部長!?ぽんが!?)


『そうだよ、投票で…軽音部って超人気で人もたくさんいる中だから不安でさ………』


(そっか…ま、頼まれるんだからできるよ!)


『そう…?』


(そうだよ。超人気の大所帯の中投票1位を勝ち取ったんだよ?気負わずやってみたらいいよ。)


『そっか。』


(投票いっぱいされるってことは、ぽん上手なの?演奏聞かせて!)


『えぇ…』


(お願い!なんか適当なのちょっとでいいから!)


『うん…』



じゃあ、と考えに考えて 渋谷川 を選曲した。暗渠された川に相手への思いを重ね合わせた歌。
僕らにぴったりではないか。





いつまでも いつまでも 
時が過ぎて景色から消えても 
関係は途絶えることなく…









(…!ありがとう。)


『どうも。こんな感じで一人で歌ったり、何人かで組んでやってるよ。』


(そうなんだ!うん、これは部長だわ。)


『そう?』


(うん!本当にアーティストみたいだったよ?すごい!)


『そうか…嬉しいかも。ちょっと自信ついた』


(よかったじゃん!じゃあ、たくさん楽しんでね。ぽんならきっと大丈夫!もうそろそろ行くね。)


『うん!元気でな!』







今回は窓辺に青いバラが残った。



初盆に戻ってきたりさ。律儀に節目にちゃんと戻って来るんだな。



きっと来年もまた来るだろう。でも来なくてもいい。



お化けとかって本当にいるのかわからないけど、こうやって会いに来たい人がいるから出て来るのかな なんて思ったり。


またねとは言わないから。元気でな。