横浜デッドクルージング

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2人は短いうめき声ともに左右に飛んだ


銃弾は数秒前まで九宝の頭があった位置を突き抜けていた


九宝は猫のような身のこなしで転がりながら電柱の陰に隠れた


九宝は新名へ叫んだ


「いつからヤクザの犬になったんだよ!」


「すっこんでろ、亮二!」


新名も答える


待ち伏せされていたにも関わらず新名は落ち着き払っている


どんな切羽詰まった状況でも冷静さを失わないこのタフガイに何度助けられたことか・・・


新名は凄まじい量の銃弾の雨を九宝と木内に浴びせ続ける


「裏切りもんのくせに元気よすぎるぜ!」


木内は身を屈めながら吠える


九宝はジーンズの後ろのポケットからトランシーバーを掴んだ


「一郎、なにやってんだ!」



横では、木内が両手に銃を持ちクロスさせながら交互に銃弾を放ち応戦する


「ワイアットアープ!」


九宝は自分を呪った


西部劇の観すぎだろ・・・



九宝はもう一度トランシーバーに叫ぶ


「一郎!」



スコープ越しに一部始終を傍観者のように眺めていた一郎は


弟の合図と共に、死神の鎌を振りおろす


舌打ちしながら人差し指の引き金を引く




目の前にいる新名は糸の切れた人形のように膝から崩れ落ちた



横須賀の闇にライフル特有の尾をひくような音が響き渡った