『告白の余白』下村敦史下村敦史さんの『告白の余白』を読みました。少し前のこと。双子の兄の語られぬ真相を探るべく今日の京都へ。会話を紡ぐ一言一言がまるで碁盤の目に打つ駒のよう。せめぎ合い、交わし合う。言葉の奥は真か否か。胸の内の在処は何処か。兄を知る人を兄として訪ね、兄として会話しながら、知り得た一つ一つを解釈する。その姿や速度が緩やかで、何でもない素人が日常から解析するリアルさみたいなものを感じました。読了をもってしても語られきらぬ真相に、京の妖気を感じています。ありがとうございます。
『 i 』西加奈子西加奈子さんの『 i 』を読みました。「この世界にアイは存在しません。」入学式の翌日に数学教師に告げられた言葉が、ワイルド曽田アイに衝撃を与え、長くその胸に居座り続ける。何度も何度も中断し、それでも離せずページを開き、強く惹かれるわけでもないままに“読み切らない”を選択できなかった一冊。「この世界にアイは存在しません。」呪縛のように纏わりつき、生き進むにつれて強度を増す。一人の人の、心のヒダの奥にあるはずの、まだ見えず、もしかしたらないのかも知れない、正解も不正解もない、深い本音を追った長い長いメンタルドキュメンタリーのようでした。比較し、矛盾を肯定し、想像し、抱擁して。ありがとうございます。
心軽く、仕事始める初夢がいつなのかは毎年曖昧なのだけど、年明けてはじめて見た夢がちょっと奇妙で、記憶に残ってる状況で夢占い。ぞわっ!っていう時だけ知りたくなる弱虫。結果は吉夢でよかったよかった。先入観やトラウマを手放せるらしい。そういわれると、途端に心が軽くなる単純マンです。一足お先の仕事始め。お正月といえども月初なので。年始とゴールデンウィークをどう乗り切るかがこの職の醍醐味。人の少ない電車で一緒に揺られる人が、みんな仕事に向かうようで不思議な同志感。ご苦労様です。静かに業務に徹していていられるから、休日返上というよりは、むしろ好き。ギューっと集中して黙々と進め、のんびりしてはいないけどやっぱり最後は駆け足に。やらねばのところまでは意地で終えました。いよいよ本格的に今年の日常が始まります。感謝して日々過ごさないとな。ありがとうございます。