映画「たかが世界の終わり」 | 渋谷宙希のブログ

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「たかが世界の終わり」

★★★★★

【公開】2016年
【製作国】カナダ、フランス
【上映時間】99分
【監督】グザヴィエ・ドラン
【原題】Juste la fin du monde

 

 

 

個人的に今最も注目している映画監督と言ってもいいかもしれないグザヴィエ・ドランの最新作です。

 

 

現在、劇場で公開中の作品で、映画館に行ってきました。

 

 

この作品はジャン=リュック・ラガルスの戯曲「まさに世界の終わり」を原作としています。

 

 

この映画を観て改めて

 

 

ドラン天才だな!

 

 

って思いました。

 

 

この映画、登場人物はほぼ5人だけ、場所はほぼ家の中だけ、それでももの凄くドラマがあって感動があるんだから。

 

 

演出的にも様々な面白いことをやってて、凄いなぁって単純に思える作品でした。

 

 

 

 

自らの死期が近いことを告げるため12年ぶりに帰郷した劇作家のルイ。

 

 

母マルティーヌは12年ぶりにルイと話せる喜びと、ルイに対する様々な気持ちを抱えている。

 

 

幼い頃に別れ、その後有名な劇作家になった兄に憧れと幻想を持っている妹シュザンヌ。

 

 

何かとルイに突っかかる兄アントワーヌ。

 

 

アントワーヌの妻カトリーヌとは初対面。

 

 

自らの死を告げるタイミングをうかがいながら家族との息苦しい会話が無意味に続く。

 

 

ルイはデザートを食べながら告白するつもりだったが・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

といった内容。

 

 

ストーリーらしい、ストーリーはほぼありません。

 

 

12年ぶりに有名になった息子が帰ってくる。自らの死期が近いことを告げるために。

 

 

それだけの話です。

 

 

それだけの物語なのに、ものすごく感情を揺さぶられます。

 

 

まず、面白いのはこの映画のほとんどのシーンが

 

 

顔のアップ

 

 

なんですね。

 

 

もう8割から9割ほどのシーンがひたすら顔のアップなんです。

 

 

顔のアップばかりなんで、観ているとどんどん息苦しくなってくるんです。

 

 

隙間というか、空間がないので、圧迫感が凄いんですよ。

 

 

その息苦しい、身動きが取れない感じが家族の中に帰ってきたルイの気持ちをそのまま画面で表現しているような感じするんです。

 

 

そして、アップばかりの中で圧倒的な演技をしている役者さんたちも凄い。

 

 

主人公ルイを演じるのは

 

 

ギャスパー・ウリエル

 

 

 

 

ルイは死を目前に控えた人気の劇作家で、どうやらゲイのようです。

 

 

繊細な心を持っているルイを完璧に演じているように見えました。

 

 

言葉は少ないんですけど、表情などで凄く上手に表現しています。

 

 

ギャスパー・ウリエルはジャン=ピエール・ジュネの「ロング・エンゲージメント」に出てるんですね。すっかり忘れてました。「ハンニバル・ライジング」ではハンニバル・レクターを演じています。

 

 

母親マルティーヌを演じるのは

 

 

ナタリー・バイ

 

 

 

 

この人は「わたしはロランス」に出てましたね。

 

 

実力派の女優さんって感じがします。

 

 

妹シュザンヌを演じるのは今フランスの女優さんでは最も熱い

 

 

レア・セドゥ

 

 

 

 

 

この女優さんと言えばやはり「アデル、ブルーは熱い色」が印象的でした。

 

 

今作では、幼いころに別れ有名になった兄に対して幻想を抱いている少女の役柄です。しかし、兄に対して屈折した感情も抱いており、兄に様々な文句を言っちゃうんです。

 

 

もっと自分を大切にしてほしい

 

 

と願っている可愛い少女です。

 

 

でも、見た目はヤンママみたいになっちゃってるんですよね。

 

 

そこがリアルでいい。

 

 

兄アントワーヌを演じるのは

 

 

ヴァンサン・カッセル

 

 

 

 

映画観ながら

 

 

「あー、この人めっちゃ観たことあるなぁ~、誰だっけなぁ~」

 

 

って思ってたんですけど、映画終わってから思い出しました。

 

 

個人的に大好きな映画

 

 

憎しみ

 

 

に出てた人でした!

 

 

兄ちゃんもかなり屈折してます。

 

 

地元の工場で働く兄は、都会で劇作家として成功している弟ルイに対してかなりのコンプレックスを抱いてるようで、屈折しまくりです。

 

 

弟を愛してはいるけど、比較されたくないし、自分がバカにされているのではないかと感じています。

 

 

アントワーヌの妻カトリーヌを演じるのは

 

 

マリオン・コティヤール

 

 

 

 

このカトリーヌという人物は物語の中では重要なポイントになっているような気がするんです。

 

 

唯一血がつながっていない人物なので。

 

 

「東京物語」で言えば原節子が演じた紀子みたいな感じかなぁ、と。

 

 

そこまでいい役ではないんですけど、この人は結構重要なポジションにいる気がしました。

 

 

ドラン映画といえば美しい映像も見どころだと思うんですけど、今作は最初にも書いた通りほとんどのシーンが顔のアップなんです。

 

 

しかし、ところどころ回想シーンが入ってくるんですけど、そこが息をのむほど美しい。

 

 

特に、世界的なヒット曲O-Zoneの「Dragostea Din Tei」(放題は「恋のマイアヒ」)がラジオからかかってきて、母と妹が踊りだし、それと同時にルイの回想が一瞬入るんです。

 

 

その回想シーンはおそらく、幼いルイと兄アントワーヌ。そして、若き母の姿が出てきます。

 

 

このシーンが本当にかっこいい。

 

 

そして、美しいんです。

 

 

この辺の回想シーンに一切の説明がないのもいいですね。

 

 

あと、音楽の使い方が本当にうまいなって思います。

 

 

ベタなヒット曲でも使い方によってはこんなにカッコよく使えるんだぁ、って感心しました。

 

 

批評家からの評価はそれほど高くないようですが、個人的には凄く好きな作品でした。

 

 

気になった方は現在公開中です。ぜひ映画館に観に行ってください。

 

 

 

 

 

予告編

 

 

 

 

 


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