↓ 台北の友だちから年末に届いたカード。彼女はわたしより日本通で、驚かされてばかりです!
さて。
「近況その1」で、『新スタートレック』を観始めた、わたくし。
ふと、
「SF小説を読みたいな」
と感じました。
しかし、
「面白い小説って何だろう?」
という命題は引きつづき残っており……「自分は『小説』というものを楽しめない人間なのではないか?」という根本的な疑問さえ湧いていて……ほぼ毎日WORDに写している『豊饒の海』や眉村先生の作品は、確かに「面白い」のだけれど……。
そうして選んだのが、大学時代に読んだ瀬名秀明先生の『パラサイト・イヴ』だったのです。
眉村卓先生が、瀬名先生も子どものころ眉村先生の作品を読んでSFの道に進んだそうだという話を伺ったことがありました。
20年以上ぶりに、読みました。
さすがに大半を忘れていました!
近ごろ、1人称視点の、わりと地味な物語を楽しんでいたわたしは、久々に本格的なエンターテイメント作品を読んで……感動しました!
人称を切り替える意味、人称が切り替わるからこそ生まれる物語のドラマ性。そんなことに驚かされました。
そうして、中島らも先輩の『ガダラの豚』も、とても迫力のある作品だったなと思い出しました。
全3巻からなるその作品。2巻までしか手元になく、2巻を読み終えたところでつづきが気になってたまらなくなり、風呂上がりでパジャマ姿だったにも関わらず、ものぐさなこのわたしが、着替えて化粧までして、近所の書店へ3巻を買いに走ったものでした。
というわけで。
よそごとをする気にもなれず、ま、ほかにすべきこともなかったのも幸いしたのですが、「本を読むのが遅い!」とコンプレックスを持っているこのわたしが、文庫本500ページほどのこの作品を、2日で読破しました!
お陰で、自分がけっして小説を楽しめない人間ではない、ということが確認できました、良かった♪
ただ。
偏桃体が必要以上に肥大しているために、「面白い」と感じられるものが普通の人より少ないんだろうな、そんなふうに偏った人間だから、一部の人たちにしか楽しんでもらえないものしか書けないんだろうな、という、覚悟のようなものができました。
『パラサイト・イヴ』について、好きな点はたくさんあるのですが、主体になる登場人物たちすべてに好感が持てて、感情移入していける、という点が挙げられます。
それは、書かれたかたのやさしさに起因しているんだろうなと感じます。眉村先生の作品から受けるやさしさに通じるものを感じました。
そして。
この本を読むのは3度目だったのですが。
3度目にして初めて、
「難しくて理解できない部分がある」
ということが、わかりました。
つまり、これまでの2回は、
「わからないこともわからずに読んでいた」
ということです。
それでも、
「面白っかった」
という印象を強く残してくれていた、ということは、この作品が持つ強さなんだなと感じました。とてもまねできません!
この本を、謂わば「読書スランプ」な時期に読み返すことができて、本当に良かったなと感じました、おしまい。