・手術翌日は絶対安静。一般に、腸閉塞(イレウス)のリスクを下げるため術後はなるべく早くに歩行訓練を始めることが励行されているが、部分切除の場合は傷ついた腎臓の回復を優先させるようだ(翌日から歩かせるケースもあるようです)。
・食事はお昼からで、このとき初めて上半身を起こすことになった。硬膜外麻酔がばっちり効いているので痛みはさほどではない、と思いきやこれ以上動くと何かやばいという緊張が走った。手術して文字通り身をもって理解したが、何気ない動作の一つ一つに腹筋・腹斜筋が使われており、それらが一斉に悲鳴を上げているのである。
・切開は腹斜筋に沿って行われているので腹筋への直接的なダメージは大きくはなさそう。とはいえ、少しでも体に「ねじる」・「ひねる」といった動きが加わると途端に痛みが襲う。どの程度の動きと手順なら痛みが少ないかをちょっとずつ試し、最終的に「腹筋を固めてベッド脇のフレームを利用し、腕の力だけで一気に起き上がる」という方法を見つけ出した。
・こう書くとなんだか随分と痛がりなようだが、「30代男性が最も痛みに弱い」と何かで読んだ記憶がある。これに該当しない方はそれほど心配しなくて良いし、不幸にもまさに「30代男性」という方は多少の覚悟が必要かもしれない、ということである(結局、手術内容と痛みは人それぞれ)。
・ようやく起き上がったものの同じ姿勢を保つだけでも辛い。食事を掻き込むと同じ要領で、しかし身を投げるようにベッドに横たわる。ベッドの上では右膝に続いて左膝も立てられるようになっていた。これで、尺取り虫のように多少は体を動かせる。ベッド脇にあった携帯などの私用電源は全て抜かれていたのでなんとか挿し直した。
・こんなときのためと用意していた電子書籍・音楽・仕事道具・新聞電子版・ゲームを取っ替え引っ替え眺めてみるものの全く頭に入ってこない。10分もすれば集中力がなくなってしまう。それもこれも、同じ姿勢でいるだけで辛いし、寝ている状態で携帯を持ち続けるというのはなかなか疲れるのだ。
・昼過ぎに嫁がお見舞いにきて少し話す。夕方には義父。そのたびに、なんとか上半身を起こして少しずつこの動作に慣れていく。明日はいよいよ歩行開始。このときはまだ頑張れる気がしていた。
・因みに、自分が受けた手術は、「腹腔鏡下小切開左腎部分切除」、いわゆる「ミニマム創内視鏡下手術」だ。詳しい内容はページ最下段のリンクをご覧いただければと思うが、平たくいうと、早い(低侵襲)!、安い(保険適用)!、うまい(部分切除適用可)!の三拍子が揃った術式と理解している。
・その他の腎臓癌における外科手術と比べてみるとよりわかりやすいと思う。例えば、①一般的な腹腔鏡手術は複雑な動きが求められる部分切除には適さない、②ロボット支援による腹腔鏡手術(ダビンチ手術)は当時は保険適用外(16年4月より適用)、③開腹手術は最後の手段(もっとも適用症例範囲が広いが体へのダメージが大きい)といった具合だ(あくまで私見です)。
・ということで、自分の場合には小切開が最も適していたと考えている。ひょっとしたら、「開腹手術でないと部分切除は無理」と言われた方は小切開での可能性を探ってもよいかもしれない。なお自分の切開幅は約8cmとなった。リンパ節切除のため通常より傷口が大きくなっている。
・個人的には「腸閉塞のリスクが低い」ことも、結構ポイントが高いのではと考えている。手術を終えて転移再発のリスクに専念したい身としては正直、合併症リスクまでは面倒を見切れない、笑。
・実際に、職場には盲腸の手術から腸閉塞を発症して1カ月以上入院された方がいる。そもそも、自分の胃腸には甚だ自信がない、、。その観点で、主治医の「仮に腸閉塞になっても今回の手術が原因ということはないと思うよ」という言葉は心配事を一つ消してくれた。そう、病気の経過によって優先順位は異なるが心配は尽きないのである。
<ミニマム創内視鏡下手術関連サイト>
日本ミニマム創泌尿器内視鏡外科学会
http://www.minimumendo.jp/gaiyou.html
東京医科歯科大学
http://www.tmd.ac.jp/med/uro/practice/cure/pnx.html
がん研有明病院
http://www.jfcr.or.jp/hospital/department/clinic/disease/urology/feature.html#cat05
オムロン
http://www.healthcare.omron.co.jp/resource/column/topics/47.html