吹き抜けていく風
そして
遠ざかった風は
戻ることはない
朽ちかけたドアの前で
僕は意味もなく
ノックをする
繰り返し
繰り返し
これが僕の日課なんだ
その音を聴くための―――
廃れた部屋の向こう側で
君はどこかで
拾ってきたのだろうか
ガラスの破片を
黙々と
並べ遊んでいる
その姿を傍観している僕を
君は決して視ることはない
遠ざかったものは
二度と戻ることなく
そして残された選択を手に
僕はひとつ破片を選んで
君の目の前で
粉々に砕いてやる
無形の叫び声に意味を与えよう
今が在ることを刻んで
傷だらけの掌で覚えるんだ
君も僕も
希望はレミングが教えてくれた
その身を投げて
教えてくれたんだ
これは
盲目と聾唖の二人の子供の話
二人だけの話
それだけ