実家は滋賀県だ。

親戚と親しか知り合いはいない。

キャバも出来ない。

そんなとこに私が住む事になった。

元々認知症の祖母が1人で住んで居た為私の両親は滋賀に来たのだ。

その祖母も今は施設に入っている。

私の部屋は既に作られていた。

あとは引越しで届く物ばかり。

この引越しで20万近く無くなった。

その時の私にはお金に少し余裕があったし何より

そんな事を考える暇は無かった。


新幹線の母はすごく優しかった。

そしてお守りをくれた。

手作りの巾着袋に1万円を入れた物だ。


万引きしそうになったら10秒考えてこれ使うんだよ。


はい。

その言葉が精一杯だった。

迎えに来た父は無言だった。

私は小さな声でごめんなさいと言うだけだ。


家に帰った瞬間怒鳴られた。

当たり前の事だけどなんだかスッキリした。


もうしません。そんな簡単な言葉じゃ信じられないけど絶対行動に移すと決めた。



滋賀に来て1ヶ月


仕事を始めようとした。

そして面接を二つ受けた

メンズアクセの店だ。

そこで私の人生は変わった。


私が辞退したお店の店長が今の主人なのだ。

両方とも受かったのに主人の店を辞退したのは一緒の店だと嫌な面も見てしまいそうだったから。

もう一目惚れに近い。

口にピアス開けて耳にも大きなピアスをたくさん開けてるチャラそうな男に私は惚れてしまった。


名前は隼人にしておきます。

理由は市原隼人が好きだから


そして私は3階のショップでバイト隼人は2階のショップで店長をしていた。


喫煙所があり私はタバコを吸いながらいつも隼人が来るのを待っていた。

来たらアピール

【滋賀県分からないので今度どっか連れて行って下さいよ。】

携帯番号も私から聞いた

そして社員用出口の喫煙所で一服してから帰るのが日課になってた私達は

2人でタバコを吸った後に私が告白した。

向こうはすごくテンパっててとりあえず送るからと反対方向の家の私を車で送ってくれて

車の中で話しした


急に言われても…返事今度じゃダメかな?


私はすごく心配性だから今度になるとその待ってる時間が怖くて何も出来ない…

なので今すぐと要求した。

嫌ならすぐに振っても良いから今すぐの返事が欲しい

すると隼人は家ギリギリのとこで


じゃぁ付きあおっか…?


滋賀に来て良かった。

初めてそう思った瞬間だった。

22歳冬


私は人生最大のバカをやってしまった。


キャバという仕事に少し疲れてきてしまった私は

仕事の後酒で安定剤を毎日のように飲んでいた。

仕事は楽しい。


けど体のどこかで悲鳴をあげていた…


そして客に言われた呆れるような一言で私は警察沙汰を起こしてしまう…


新しいお客さんがポスターを見て指名してきてくれた。

その男に見覚えがあった。

某洋服屋の社長だ。

偶然にもその洋服屋に友達がいたので知っていた。

その話題で行こうかと考えていた時だった…


【お前写真詐欺りすぎ…ってかレベル低いねぇこの店】


ムカツイた。

いや…普段ならムカツクで終わった私だが

最近精神的体調の悪い私だったのでムカツクなんて言葉じゃ収まらなかった。

外まで客を追いかけ客も私をあおってきた。

ボーイが必死で止めるものの私はその事をあまり覚えていない。

怒りすぎるとその時の記憶があいまいになってしまうのだ。

そして気づいた時私はその男が社長をしている店の前にいた。

六本木なので朝までやってる服屋はたくさんある。

そして憎しみのあまり欲しくも無いアクセサリーを鞄に詰め込んだ。

周りを見ずに淡々と…

店員の声を聞いた瞬間また自分をコントロールできなくなってしまった

何故かその男の名前を叫びながら暴れまわってしまったのだ。

気づいた時には警察にいた。


東京で1人暮らしをしている私には身元引受人がいない。

警察が実家の親に電話した。

けど親にキャバをしてる事も病気の事もバレたくなかった。

結局母が朝一の新幹線で迎えにくる事になった。


中学のときよく父に言われた…

万引きだけはするな!欲しい物は買ってやる!


1人っ子だった私は親に甘えられて育った。

けど何でも許す訳ではない。

タバコも20歳になるまで父には内緒にしてた。

もちろん私が吸ってる事は知っているが決して許してくれなかった。

高校の頃母の前で夜中制服姿でコッソリ吸っていた記憶がある。

2人の内緒だねなんて言っていた。


そんな事を思い出していたら留置所で涙が止まらなかった。

そしてどうにかここで死ねないか

そればかりを考えていた。

親の悲しい顔を見るくらいなら死ねばいい。

そう思った。


朝の10時

母が来たと警察のおじさんが言ってくれた

とても優しいおじさんだった。

キャバの事は黙っててあげるけどドレス持ってるとバレちゃうかな?

私は即座にお願いだから捨てて下さいと言った。


母が涙目で来た。

私は泣くことも歩くこと出来ない状態だった。

警察の方に支えられてタクシーに乗った。

車の中で母がギュっと手を握っていた。

私の部屋に入った瞬間母が言った。


実家帰って病気治そう


私はうなずくしかなかった。

問題も起こしたし給料いりませんと電話で伝えた。


私は最悪な形で東京を去る事にした。


友達もいない街に家族と住む事になった。

東京で18歳から1人暮らしをしていた。

元々東京にいた私ですが親の都合により1人東京に残った。

そして元々憧れていた歌舞伎町デビューをした。

最初は何をして良いのか分からず色々な方の席については他の席に。

いわゆるヘルプからのスタートになった。

時給は3500円。

名前も知られていないような店にしてはそこそこ。

そこで私はお金の素晴らしさに気づいてしまった。

お金こそ人生。

客を掴めばお金も掴める。


私は努力して努力してお客さんに毎日のようにメールをした。

元々昼間も接客業のバイトをしていたからおじさんと話すのは得意なもんだ。


仲良くなった友達と話した結果

もっと時給の良い店に行こうという事になった。

そして色々な店を体験入店していた間も私は好きを見て次働く店のお客にしようとした。

それが無理な人はプライベートで会いたいと言って洋服にバック、アクセサリーに高級焼肉屋

タクシー代で5万円だった。


そんなこんなで私が最後にキャバ嬢として働いたのは六本木だった。

時給は特別に7000円

もっと上はいるけれどこの時の私なら抜かす自信があった。


当時21歳


思った通り初日で金持ちのおじ様と同伴して周りの人間を驚かせた。

というかこれが私の精一杯のプライドだった。

おじ様は思った通り蘭の来店祝いと言ってドンペリをたくさんいれてくれた。

これによって私はマネージャーと店長への株を上げた。

この2人を見方につける。

そして女の子とは当たり障りない会話をする。

新しく出来上がったポスターの中心は私だった。

ポスターの位置

これは女の子からすればとても重要な事だ。

かわいいから中心にするという店もあるが私が働いてた店は違った。

売り上げなのだ…

ちなみに可愛い子だったら私は下から数えた方が早いかもしれない…

決して顔が可愛い訳ではない。

私の営業は全て口だ。

そして相手によってキャラを変えるのがもっとも得意だった。

ある意味病気に感謝しなくては…

相手によって違う自分になりすましてしまい誰からも嫌われたくない。

中学からずっとそうだった。

敵が一番嫌い。

なんで人は敵味方を作るのだろう?

これが私の中の人生の謎だ。


店にも慣れてきてドレスは毎日違うもの。

衣装代だけで月10万は使っていた。

私服はお客さんに買ってもらったり

1人でバカみたく買ったりしてた。

すごく楽しい人生を楽々と送っていた私に人生最大の事件が起こった。


罰が当たったのかな?