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実は昨年11月から今年の2月にかけて、「日本アニメーション・シアター」のYouTubeチャンネルで、全話を放映したので、リアルタイム以来、ほぼ50年ぶりで全話を見た。
元の原作がかなりの短編として出来ているため、このTVアニメ版にはオリジナルのストーリーが各所にある。特に、1~2クールは多く、キャラクターでもアニメ独自のキャラが出てくる。このアニメ版では最も悪人とされるあのハンスも、実は原作には出てこない人物である。つまり、原作ではバース・コゼツ(アニメでは、バースという名前は出てこない。皆、「コゼツの旦那」と呼ぶが、これは姓であって、アロアの本名もアロア・コゼツである。)1人がネロを嫌っているというシチュエーションである。レギュラーでは、ハンス、アンドレ、ジョルジュ、ポールはアニメのオリジナルのキャラクターであり、また34話まで隣に住んでいるヌレットおばさんも、木こりのミシェルおじさんも、原作では名前しか出てこないキャラなのである。
パトラッシュをこき使っていた金物屋というキャラは有名で、放映当時、何を逆恨みしたか本物の(現実の)金物屋さんが風評被害に遭うような社会現象もあったというぐらい、この金物屋(アンソール)の悪党さ加減はシャレではない。声の出演の飯塚昭三さん(「キカイダー」のハカイダーや「ガンダム」のリュウ・ホセイなどを演じた。)も悪役を演じるのは好きなんだけれど、コイツだけは嫌い、という程のキャラであった。ちなみに、原作では酒場での喧嘩の末死亡しているため、21話以降全く登場しないのはそれが要因と思われるが、さすがにこのシリーズでそういった喧嘩の末に死んだというような演出をするのは避けたのだと思う。
そして、1クール辺りまではこのアンソールと意地悪なハンスぐらいがネロにとっての天敵であった。コゼツも、ハンスがネロに礼を言わなければならないのに何も言わず去ろうとした時に、子供でも礼を言うべきだろう、と彼に言ったぐらい(13話)、まだネロに対して嫌悪はしていなかった。だが、いつものハンスの情報によりほぼ洗脳されていき、24話では、ついにネロに対してアロアと今後会ってはいけないと言い渡す。(そのくせ、ネロの描いたアロアの絵をいたく気に入って持って行ってしまう。ただし、礼として1フランの金貨を渡そうとするが、アロアの絵を売るという行為を自分の中で許せなかったネロは、原作同様に父親に対してもその金貨を受け取るのを拒否してしまう。)コゼツがネロを嫌悪しているのは、自分がネロと同じ10歳の時にはもっと勉学に励んだ、だから今の地位や財産が手に入ったのに、ネロは絵ばかり描いて、夢を見ているだけだという理由からである。だが、ネロと一緒に住んでいるジェハンじいさんは、38話ではコゼツに対して決してネロは怠け者ではなく、コンクールに絵を出そうとしているが、前よりいっそうよく働いていると、事実を言う場面もある。
自分が、原作とは違ってアニメ版には、よりネロの生きるための希望も、目的も、また救ってくれるはずの人も周りにいたというのに、最終的にスポンサーであった当時のカルピス社長がクリスチャンであって、この方のキリスト教の信仰に合わせた天に召される至福という形のラスト・シーンになってしまっており、個人的には、今回見ても疑問符が残ったのである。それはそれで今は評価もあるので、全否定をするものでもない。しかし、自分の中ではつまり「フランダースの犬」という作品は、原作はある意味でアンソール(この名前は出てこない。)にこき使われるばかりの苦痛ばかりであったパトラッシュがネロと出会い、晩年を楽しく暮らしたという意味で、タイトル通りパトラッシュが主人公なのかもしれないとしても、TVアニメ版はパトラッシュが主人公という位置付けもあるが、ネロ視点での物語という風に見える。そう解釈せざるを得ず、また未来の希望を見出せるような話が3クールに至っても多々あるのに、ほぼ原作に沿った形の4クールで、その希望はほぼなくなっていくのだ。4クールに入った途端、ガラリと演出が変わり、3話に1回は絶望的な事件が起こり、最終話前の51話で原作とほぼ同じに、ついにネロはパトラッシュさえ置いて失踪してしまう。この失踪に行く当てはない。故に、見方としてはこれは心理的な逃避であって、追いつめられた果ての行動である。村の人々からは風車小屋に放火した疑いで村八分にされているとはいえ、木こりのミシェルと共に村から離れて暮らすという選択肢もあったはず…。ネロが失踪した後にコゼツの改心があり、またルーベンスを越えるであろう才能を持っている少年と評価しているコンクールの審査員の1人の画家ヘンドリック・レイが、ネロの家にやってくるという展開…少し待っていれば、ネロのこれからは開けたのに、それを与えない最後には、どうしても納得はいかなかったのである。(同意見の人もかなりいるようだ。)
そこで、このTVアニメ版最終話が50年前に放映されたこの12/28(奇しくも今年は丁度日曜日である。)に、敢えて自分は、最終52話で「パトラッシュ、疲れたろう。僕も疲れたんだ。何だかとても眠いんだ。パトラッシュ…。」と目を伏せてしまった後からの私独自の「フランダースの犬」のラストを「伝説巨神イデオン」の劇場版「発動篇」さながらに、あのシーンからのストーリーを書いてみた。これは、今年2月に配信で最終話を見てから考えていた事の具現化である。(次の日記(アメンバー限定)は、所謂53話、もしくは「発動篇」や「エヴァ」旧劇ラストに当たる部分と考えてもらいたい。)
12/6は久々の初台。DOORS。ここに来たのは、いつ以来だろう?X.Y.Z.→AとVOLCANOがツーマンでやった時…?もうちょっといつ以来か覚えていない…。
さて、今回はあっという間だなと思うけれども、HEAD PHONES PRESIDENT(以下HPPと表記。)の25周年ギグ。まずは、オリジナル・メンバーであり、かなりテクニカル/シュレッドなギターを弾くギターのHiroさんのソロ・パフォーマンスから。
ほぼ定刻通りに始まり、音源を鳴らしてギターを弾きまくるHiroさん。まずは、”Breakthrough Starshot”という速い8ビートの曲。挨拶のMCがあり、2曲目は新曲。ちょっと重めのリフから始まり、最初の方は結構メロディアスなフレーズが奏でられたが、後半はアヴァンギャルドな雰囲気になった。続けざま3曲目は”Open World”。エフェクトをかけた独特のギター・サウンドでムーディなミドル・テンポの楽曲の上を弾いていく。途中からシュレッド全開で弾きまくって、中間はエモーショナルな部分もあった。
ライヴの告知のMCがあって、激しい刻みから4曲目の”Escape From The Horizons”。こちらもシュレッド・ギター全開!そして、最後の曲と言って、「最後にふさわしいノリのいい6/8拍子の曲。」とHiroさん。やっぱりラストもそう来ないと行けない!楽曲は所謂プログ・メタルな感じ。リズムも使うコードもかなり前衛的で、スケールも特殊という感じがする。ラストのライトハンド(というよりは、あれはタッピングと呼ぶべきか…。)も凄まじいものであった。
HIRO@初台DOORS 2025.12.6
SET LIST:
1. Breakthrough Starshot
2. (New Instrumental)
3. Open World
4. Escape From The Horizons
5. Super Strings Theory
2番手は、VORCHAOS。数年前に新宿Wildside Tokyoで見た以来。
幕が開き、1曲目。重めのニューウェイヴという感じの楽曲。そして、2曲目はヴォーカルとハモリの同期音源(だと思う)で始まり、8ビートへ。拳を上げるオーディエンス。中間部はサイレントになり、急激にインテンポに戻る。こういった静と動のコントラストでの楽曲の表現がVORCHAOSの独特な部分である。
「素敵な先輩(HPPの事)のイベントなんで、最後まで楽しんで行ってほしい。」と言って、「歌えるか!?」と煽る。3曲目はヴォーカルから始まって、アクセントが入り、130ぐらいのDビートっぽいリズム。途中から、8ビートのハーフになるのは、メタルコア的なニュアンスがある。オーソドックスなギター・ソロもあった。やはり、静と動のコントラストが大きい。さらに4曲目はギターのアルペジオのSEがかかって、ヘヴィなリフとリズムに入っていく。フォルテッシモとピアニッシモを両極端で使う演出がここにも登場。三連のリズムになってから、ソロ。一瞬サイレントになり、ヘヴィなリフへ入る。ベースも凄く動き回る…。さらにハウリングの中、スネアのカンカン…のビートが入って来る。ヴォーカルはオーディエンスを煽り、拳とシャウトを上げさせる。アタマ打ちから、少々スラッシュ・メタル的なニュアンスのノリに入る。しかし、ヴォーカルはメロディアスに歌い上げた。ラストは疾走し、オーディエンスはヘッドバンギングの嵐へと。
VORCHAOSは今年で14年らしく、「14年のうちには色んな人との出会いがあった。色んな事を来年に続けていきたい。」と語り、6曲目に入る。リズム隊の雰囲気モノのリズムから、アンビエント的な空間系のエフェクトのギターが絡んでいく。歌に入って、スローなリズムで進み、パワー・バラード的な展開から疾走パートへ。最後のサビはやはりパワー・バラード風になり終了。7曲目は8ビートで飛ばし、サビではオーディエンスのジグザグな独特の腕のリアクションがあった。(ちょっとマネ出来ないレベル。)そして、ラストはフレーズを歌わせる。
ヴォーカル氏に「良い年だった?」と訊かれたが、多くの人は手を上げていたが、正直、今年もあまり良い年ではなかったので、手を上げる事はしなかった。良い事もあったけども…。ラスト・ナンバーは、メジャー・キーの8ビートの曲。途中ビートがハーフになってバラード調になり、ソロへ入る。
ラストは、「We’re VORCHAOS!!」と言ってシメた。
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exist†traceを見るのは、6年前のCLUB ASIA以来かな。LAST MAY JAGUARとの企画の「ROCK HEROINE FESTIVAL #02」…。
さて、暗転し、SE。メンバー、ポジションにつき、ヴォーカルにハモリのコーラスが入って、1曲目の”WHO I AM”。11月にリリースされたアルバムのトップ・ナンバーで、タイトル・トラックだが、スローな曲でスタートというのは、意外であった。下手のMiko嬢は、笛のような音でギターを奏でているように思えたが、あれは同期の音だったのかな?そして、2曲目は激しいオカズから、アルバムの流れ通りに”REMEMBER ME”。キックの4つ打ちから速い8ビートで疾走する。1~2曲目で、スロー→ファストという展開で、火が付いた。
挨拶のMCをして、「HPP、25周年おめでとうございます。」と述べたが、こちらもメンバー・チェンジなく22年もやっているので、3年後輩ではあるが、ここまでのキャリアは海外での活動も含めて、同じぐらいに濃密なものだと言えるかもしれない。
3曲目もニュー・アルバムからで、”LOOP ON LINK”。4つ打ちのキックに手拍子を入れるオーディエンス。そして8ビートへ。曲は短い。さらにドラムのトライバルなリズムから単音リフとコーラスが入って、”閉ざされた世界”。間奏でも、また最初の単音リフが現れる形。さらに、3~5曲目とアルバムとは逆の順で演奏され、次は”ひとひら”。イントロの同期音源が鳴って、ドラムが入る。ヴォーカルのパートに入ってからピアノの同期が鳴り、さらに楽器隊が入る。曲調は、完全にバラード。メロディアスで良い曲だと思った。彼女達は、それまでにもいたとは思うが、女性メンバーのみのヴィジュアル系というコンセプトで始めたバンドであり、音楽ジャンル的にヘヴィ・メタルとか、ニュー・ウェイヴというキーワードで集まったメンバーではないだけに、音楽的には逆にかなり自由度が効くという側面がある。単純に「ロック」だと言って良いのかもしれない。それだけに、楽曲の幅の広さはかなりある。ただ、22年もやってきているため、exist†trace節は確固たるものがあるが。
「少しでも、面白そうだと思った人は、ワンマンライヴに来てみて下さい。」とワンマンの告知を入れる。確かに今日の出演バンドの中では少し特異なスタイルかもしれず、初めて見た人も多いかもしれない。
アルバムのラス前の”君に会いたくて”というポップな8ビートの曲を披露。ヴィジュアル系のアレンジとしては王道の、コーラス(エフェクトの方)を絡めたギター・リフが冴える。「まだまだ行けるかー!」とヴォーカルのジョウさんが煽り、代表曲、”DREAM RIDER”へ。こちらはワンコーラス毎でのアレンジが多彩なナンバーだ。そして、その勢いもハンパではない。そしてさらに「今日一番の大きな声を聴かせてくれ!聴かせてくれ!!」と最後の煽りが入って、ラスト・ナンバーは速い8ビートで駆け抜ける”VOICE”。ギターの2人は、上手下手を入れ替わって弾きまくる。ソロは上手の乙魅(おみ)嬢から下手のMiko嬢へと繋いだ。
アウェーというほどではないが、イベントの中では少し異色の存在ではあったが、かなり会場を熱くした彼女達は、ステージを後にした。
exist†trace@初台DOORS 2025.12.6
SET LIST:
1. SE~WHO I AM
2. REMEMBER ME
3. LOOP ON LINK
4. 閉ざされた世界
5. ひとひら
6. 君に会いたくて
7. DREAM RIDER
8. VOICE
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JURASSIC JADE。
前回11月のCLUB CITTA川崎のイベントは行けなかったので、今回、今年最後のライヴとなるこのイベントがあって良かったし、morry王子と呼ばれている「AFTER KILLING MAM」から「WONDERFUL MONUMENT」まで参加のYasunoriさんが、今年のライヴでのサポート・ベーシストだったが、今回で再び星へ(?)お帰りになってしまうということで、寂しい限りではあるけれど、旅立ち前のステージを見れて良かった。
シンバルを静かに鳴らすHayaさん…。いきなり幕が開いて、ドドドンドン…というドラム・リフを鳴らし始める。Hizumiさんは舞いを披露し、ギターのフレーズから必殺の”血が出るまで”がスタート。さらにリフが複雑な”G.D.G”へ。「いいぞ、いいぞ!」とHizumiさん。今回は新しい赤いドレスが素晴らしい。
そして、Morry王子が入って初のアルバムからタイトル・トラックの”After Killing Mam”。Hizumiさん曰く、「当時の曲をやってみると、やっぱり良いなぁ、と。」やっぱり、どの時期でもJURASSIC JADEの楽曲は唯一無二であり、名曲ばかりであると思う。さらに同じアルバムから”Chaos Queen”。Morry王子のベースのピッキングの音が物凄い。とても固い音だ。さらに、このタイミングで、この曲か!というような、”天安門上太阳升”。しかし、重要な曲なので外せない。さらに、”誰かが殺した日々(Never Forget Those Days)”と続く。まさか、2025年に至ってこれらの強烈な名曲をライヴで聴けるとは思わなかった。
リズムのウラを感じさせるリフの”This Is Ma' Song”を演奏し、次の曲に入ろうとしたら、Hayaさんがちょっと待ったコールで、立ち上がり、シンバルを見ている。「またやった?」とHizumiさん。強力パワーのHayaさん、今回はシンバルスタンドの一番上のネジが外れて、下に落ちたようだった。これで閉めておかないと、シンバルは落ちてしまって大変な事になるので、ネジを探すHayaさんだが、なんとか見つかって、”ドク・ユメ・スペルマ”へ突入。さらに強力リフにアクセントが入って”Go To The Dogs”!
「いいぞ、いいぞーーー!」と言いつつ、Morry王子が再び旅に出ますと言うHizumiさん。そして、ここ最新の2枚のアルバムでベースを弾き、長年ローディーをやってきたWatanabe氏はこのライヴを以て、JURASSIC JADEを脱退ということになり、次はNew comer…一体誰なのか…それはそのうちにアナウンスがあるだろうと思われる。Watanabe氏に関しては、急遽ヘルプでベースを弾き、結果的に正式メンバーとなり、2枚の強力な作品を残したという意味でも、また長年のローディーとしての影の力の事を考えても、本当にお疲れ様と申し上げたい。そして、またMorry王子ことYasunoriさんのサポートで、今年は近年演奏されなかった貴重な曲群も聴けたし、またアタックの強い独特のプレイも良かった。(帰りに物販で、今彼がやっているデス・メタル・バンドのDAMNATION ALLEYのアルバムを買ってしまった。)
そして、ここからはクラシック・ナンバーのオンパレードとなる。メドレーでまず、”Child, Child, You shall die!!”とコーラスを叫び、”Child Abuse”へ。スローになるパートの前で切って、強烈な刻みリフから”The Individual D-Day”へ。こちらはソロもあり。そして、初期の名曲である”精神病質(Seishin-Byo-Shitsu)”。自分にとっても、V.A.の「SKULL THRASH ZONE VOLUME I」を別にすれば、初めて手にしたシングルの1曲目であるし、10代後半を彩ったスラッシュ・メタルという音楽の中でも忘れられないショックを受けた曲である。
“鏡よ鏡”を当然この後演奏するが、今年はMorry王子とラストには必ず演る約束をしているという、ブラスト直前の最速、最凶の2ビートでHayaさんが痛烈なプレイを体現する”僕等の狂気”が恐ろしい速度で疾走!ブラストとは違う、恐るべき速度を感じる最速2ビートは圧巻であり、またHizumiさんのヴォーカルも歌詞も凄まじい殺気を感じる!
最後は手を繋いでカーテン・コール。また新たなラインナップで来年のステージを見たいと思う。
JURASSIC JADE@初台DOORS 2025.12.6
SET LIST:
1. 血が出るまで
2. G.D.G
3. After Killing Mam
4. Chaos Queen
5. 天安門上太阳升
6. 誰かが殺した日々(Never Forget Those Days)
7. This Is Ma' Song
8. ドク・ユメ・スペルマ
9. Go To The Dogs
10.(Medley)Child Abuse~The Individual D-Day~精神病質(Seishin-Byo-Shitsu)
11.鏡よ鏡
12.僕等の狂気
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そして、企画のHPP。こちらもかなり久しぶりに見るような気がするが…ほぼ2年前のWildside Tokyoで見ていた。あの時も対バンにはJURASSIC JADEが出ていたが…。
さて、今日は25周年特別メニューで、初期のナンバーばかりを演奏するということらしい。本当の初期というなら、2000年代の初頭ということになるかもしれないが、自分が初めてHPPを見たのは、05年の9月の下北沢のSHELTERで、その時もJURASSIC JADEの対バンとして見た。(他に、OUTRAGEも出演していた。)当時、元アイドルの人がメタルのシーンに入って来たというのは「BURRN!」などでも紹介されていたのだが、全くバンド名などは頭に入っていなかったから、その時に見たバンドがそうだとは知らず、どちらかというと、所謂サイケデリック且つ、ダークな雰囲気のバンドとして見た。まだLUNA SEAがLUNACYと名乗っていた時期のサウンド(極端に言うと、”The Slain”のようなタイプ。)を、よりヘヴィ/ラウドな音にしたような感じで、90年代に見たニューウェイヴ系のダークなサウンドのインディー・バンドに近いサウンドのバンドはいて、そういう類のバンドだと思っていた。(つまり、今現在のHPPとはだいぶ違っていて、その後に見た時は同じバンドとは思えなかったぐらいであった。)そして本日は、あの頃の独特のサウンドの楽曲をまた見れると思い、今の彼らがあの頃の曲をやるとどうなるのかは興味深いと思った。
暗転して幕が開くと、ベース音がして、ファーストEPの”Alien Blood”のイントロにあるアカペラをAnzaさんが歌う。そしてそれはその部分だけで、すぐにセカンドシングルに収録の”Room”のヘヴィなサウンドに移行していった。当時は、日本語ではない意味不明なアンザ語と呼ばれていたつぶやきなどもかなりあったらしいが、このあたりの楽曲ではそういった物もつかっていたのかな?バックスクリーンには、水に墨が混ざって濁る時のような映像が使われる。最後にあるHiroさんのソロはロングトーンで伸ばされて終わった。次はワウをかけた独特のリフが奏でられ、”Crap head”。同名のセカンド・シングルのタイトル・トラックである。ハネる8ビートで重めのナンバーだ。実際この曲をリリースした01年の5月というのはリズム隊も違っており(ギターもHiroさんの他にMarさんというもう1人のギタリストがいた。)、現在のリズム隊のNarumiさん(ベース)とBatchさん(ドラム)としては、ライヴで初めて演奏したナンバーという事になった。(バンドとしては24年ぶりの演奏。)Anzaさんは狂気の表現をしている部分なのか、少し世離れした雰囲気を作り出していた。またこの曲は日本語だが、シングルで出す曲としては、日本語詞の曲はこれが最後となった。
アンビエント風のイントロからすぐにリズム隊が入ってヘヴィになった。”What’s”(ファーストミニ「id」の3曲目)。さらにAnzaさんのウィスパーから、同期でピアノの弦のような音が入って、バンド演奏へ。”Sacrificed”(ファースト・フル「VARY」の6曲目)。後半はとてもカオティックなバンド・サウンドとなり、最後は再びピアノの弦のような音でエンディングとなった。次はベースのイントロからギター、ドラムと入り、サードシングル「de ja dub」のトップ曲、”Corroded”。一度リフとドラムのフィルのみになって、ヴォーカルが入り、インテンポに戻る。さらにサイレントな単音リフのパート、ヴォーカルのみのパートを経て再びヘヴィなバンド演奏へと…基本ミドル/スローな曲だが、途中スピーディーになる箇所もある。また、所謂ダウンチューニングのゴツゴツガツガツした質感の音が特徴的な曲だが、この数曲の間ではかなりチューニングの調整をしていたようだ。今のサウンドはセットリスト共通で統一したチューニングなのかもしれないが、2000年代の初頭となると、まだ多様なダウンチューニングを使って、実験的なアプローチをしていたためだ。それを統一したチューニングでは再現出来ないのだろう。例えば、80年代に人気のあったバンドが90年代になって過去の曲をダウンチューニングで演奏した事が多々あったが、どうしても、オリジナルのキーとの比較があるからなのか、違和感があった。(ちなみに、蛇足になるが、キーによっての雰囲気が変わる(メジャー、マイナーの差ではなく)という事も云われてはいる。それを錯覚だと言う人もいるが、鍵盤で弾いてみると、確かに雰囲気は違うと思える面もある。)
MCはなく、坦々と曲を演奏していく。6曲目は、ウィスパーとクリーントーンのギター、それにベースが入ってアンビエント的なイントロが奏でられる”Ill_Treat”。(シングルの曲順通り。2曲目。)バックスクリーンには、また水に溶ける何かの映像が映る。そして曲調はヘヴィになるが、少しメロディの断片が感じられるヴォーカル・ラインが顕れる。再びラストはアンビエント風になり、エンディング。またファースト・ミニに戻り、”Life is not fair”。クリーントーンのギターのアルペジオから始まるが、雰囲気は独特。徐々にヘヴィな音像になり、激しくなる。アウトロは再びクリーントーンのアルペジオで終了。次の8曲目のイントロでは、Anzaさんの叫びがいきなりあり、すぐに激しい演奏に入った。代表曲、”Chain”。(セカンド・フル「folie a deux」のトップ曲…ここからは07年以降の楽曲を演奏していく。ごく初期の曲は7曲目までである。つまり、今回は2000年代の楽曲の演奏という事かもしれない。)中間部で刻むギターのみになる箇所、またラストのウィスパーというぐらいで、他はミドルのヘヴィなリズムで進んでいく。さらに9曲目、”Nowhere”(SPIRITUAL BEASTからリリースしたサード・ミニ「PRODIGIUM」2曲目)。フィードバック音からディレイをかけたミュート単音のリフが奏でられるが、これはスタジオ・ヴァージョンではアコギのパートである。すぐにヘヴィになり、またサイレントな部分でミュート単音リフが出現、途中からはツーバス全開になった。ちなみに、この曲のPVでのAnzaさんは、少々ケイト・ブッシュっぽい雰囲気が漂っている。ラス前、”Lie Waste”(セカンド・フルの7曲目)。ウィスパーからメロディがあるスキャットへ移行し、ギターとベースが入ってくる。そして徐々にヘヴィな音圧になり、ドラムも入る。ヘヴィなままで同期の奇妙な音が入り、少しソロも入る。ピアノやストリングスの同期も入って、さらにゴツゴツしたバッキングになる。ラストは音のカオスと化した。最後は、”Light to Die”(こちらもセカンド・フルの9曲目)。ウィスパーにギターの音が乗り、ドラムのカウントでインテンポになる。同期の装飾音も鳴っている。メロディ・ラインがハッキリしたヴォーカルが聴こえる。こうして、初期のカオティックな表現から今の様なスタイルに徐々に変化してきたのだ…。ラストはアカペラを披露した。
ここでやっとMC。「ありがとうございました!」と言い、今回の出演バンドに感謝の言葉を述べ、また明日もあると言い残して、ステージを去った。バックスクリーンにはエンディングとして短い動画が流れていた。
HEAD PHONES PRESIDENT @初台DOORS 2025.12.6
SET LIST:
1. Alien Blood~Room
2. Crap head
3. What’s
4. Sacrificed
5. Corroded
6. Ill_Treat
7. Life is not fair
8. Chain
9. Nowhere
10.Lie waste
11.Light to Die
12.(Ending Movie)

