6月最後の土曜は両国へ。SUNRIZE。ちょうど半年前に来た。

入ると、2バンド目のKokeshiの最後ぐらいであった。

次はトリ前でJURASSIC JADE。7月のライヴからは新ギタリスト(誰なのか全く想像さえも出来ないが。)を迎えて新体制になり、今回で長谷川さんは脱退…。ライヴには89〜99年という11年間は全く行っていなかったから、87年の鹿鳴館から見に行っているとはいっても、37年ずっと見ていたわけではない。それでも、やはり寂しさは間違いなくあるが…。
ライヴは暗転して、無音状態の中Hizumiさんが舞い踊り、Hayaさんの16分ハットの刻みにクリーン・トーンのギターが重なり、さらにベースが入り、"Small World"からいつものようにスタート。そして、キックの連打から"暗い部屋の黒い猫(Black cats in the dark room)"へとアルバム通りに進行する。「いいぞ、いいぞォ〜〜!」とHizumiさんが煽るが、ここでHayaさんシンバル関係のトラブル。すぐに復旧して、次は、"Cave Sorrow"。アタマ打ちにリフが乗る。リフにアクセントが入って、2ビートで進む。中間のベースが印象的であり、またその後のスキャットのパートのコードの雰囲気がやはり、独特だ。「『悲しみのほら穴』という曲でした。」とタイトルの事を言ったが、"Cave Of Sorrow"にしていないのは何か意味があったのかな?さらに、"Rain In Black"。イントロのギターのリフにベースが乗り、ツーバスを鳴らしつつ、リズムに入っていく。続けざま数年ぶりか?久しぶりの"Let's Go Heroes"を演奏。この曲はやはりエンディングのドラムのフィルによるアレンジが曲の表情を変える感じで、印象深い。続く激しいフィルから"22nd Hemiplegia"。この曲も今日のメニューの中ではだいぶストレートなナンバーである。Hizumiさんが長谷川さんの方を見てから「余計な事は言わない…というわけだ。」と言う。次は、"朝5時に戦争が始まる"。これも「Nyx Filia」からの曲であるが、それほど頻繁にはやっていない感がある。今日のセットはあの最新作からは3〜4曲、その前の「id」から2曲。そしてクラシック…というバランスになっている。新旧様々な曲が配置されている感じだ。さらにまたフィルで繋げて、前作の1曲目"ないことあること(Addicted To The Likes)"。この曲のテーマとフレーズはさすがだと思ったなぁ。さらに次も珍しい前作の2曲目の"PK"。Hizumiさんは「これも大変なの速くて。」と言っていたが、オーディエンス側から見ると、全部速くて大変に見えるが、そういう意味合いではないだろうなぁ…。ベースから名曲、"触れてはいけない"がスタート。今後も演奏していくとは思うが、中間のギターの感触は今回が最後のものになるだろう…。
「この日が来ちゃいました。…そう、私の誕生日…いや、娘の…冗談です。…公式にこの4人でステージに立つのは今日が最後です。次回から新ギタリストの人が入ります。9月には長谷川さんもゲストで出るそうです。」と、今日の長谷川さんを含むラインナップでの公式なステージのラストと、今後の予定に関して触れた。次のギタリストは誰なのだろう?ベテランなのか、このシーンで有名な人?それとも全くの新人か?それは7月のステージで分かるとバンドは言っている…。
"恋するアトミックボーイ"のリフが響く。そして、80年代のクラシック・ナンバーのメドレーへ。"The Individual D-Day"から"精神病質(Seishin-Byo-Shitsu)"。どちらも長谷川さんの弾くソロがあった。ラストは「ガキ共用意はいいか?俺達は永遠のクソガキだ!」"鏡よ鏡"!!「鏡に写ってしまった現実はこんなにも醜いものだよ、という事を歌っています。」と昔のインタビューで語っていたが、人間の智とは、今、悪い方にかなり向いてしまったと思う。だが、生きている限り、諦めはしない…と自分の本能は思っている…。
「On Guitar, Nobクン、On Drums, Hayaクン、On Bass, Watanabeさん!」そしてオーディエンスに対し、「みんながいたから、ずっと舞台に立てた。ありがとう、また会いましょう!」と言って、ステージを去った。

JURASSIC JADE@両国SUNRIZE 2024.6.29
SET LIST:
1. A Small World〜暗い部屋の黒い猫(Black cats in the dark room)
2. Cave Sorrow
3. Rain In Black
4. Let's Go Heroes
5. 22nd Hemiplegia
6. 朝5時に戦争が始まる
7. ないことあること(Addicted To The Likes)
8. PK
9. 触れてはいけない
10.恋するアトミックボーイ
11.The Individual D-Day〜精神病質(Seishin-Byo-Shitsu)
12.鏡よ鏡

(↓新HP)
https://jurassicjade.jimdofree.com/

http://www.facebook.com/JurassicJade/

トリは、SxOxB。
2018年の1月に、SELF DECONSTRUCTIONの企画でEARTHDOMで見て以来だと思う。
いきなりフィードバックのノイズが入って幕が上がる!1曲目はミドルからファストに急激に変化する87年のファースト・アルバム「DON'T BE SWINDLE」トップの短いナンバー、"Raging In Hell"。そして既に2曲目にして名曲の"Leave Me Alone"を演奏してしまう潔さ!3曲目、刻むリフからミドル・テンポで進み、またファストに駆け抜ける"Over The Line"。さらにドラムのフィルから8ビートで進み、2ビートに変化する"Downfall Of Civilization"。
MCで「いや、JURASSIC JADE、凄かったなぁ。」とEtsushiさん。さらに5曲目へ進む。重めのリズム/リフから速くなるというパターンを繰り返す"Delusion Of Terror"、そして6曲目は"Obsessed With Wickedness"。ミドルで進む部分が多いが、短さの中に強力な爆発力を持つ曲だ。「"Nightmare"!」とタイトルコール。激速で始まり、ファスト/ミドルを繰り返していくナンバーである。そして、ストレートな2分のハードコア、"Suck Up Brain Or Fuck Ya Brain?"。
「東京久しぶりやな。実は、今日、今年最後のライヴやねん。…ということで、灰になってくれ!」とEtsushiさん。「ただ、俺らは飲めへんねん。すぐ帰らなならんで…。」結構オーディエンスからは「飲もうよ。」という声が上がっていたが…。というところで、"What's the Truth?"をタイトルコール。全体的にミドル・テンポで進み、重めのリフが支配する。後半はリフが変化して2ビートパートも…そしてラストはイントロのリフが復活して終了。次はアルバム「WHAT'S THE TRUTH?」のラスト・ナンバー"Why?"。激烈なリフにほぼブラストとも言うべきメチャ速の2ビートが入ってくる。途中は多少スローな(というよりミドル)パートや三連のパートもある。ラストはまたメチャ速になってフィニッシュ!11曲目は"Crisis Prophecy"。こちらは完全にミドルでガッツリ進むナンバー。途中はかなりのスロー・テンポに。12曲目、"Mind Empty Of Happiness"。SxOxBにしては速いテンポではないが、普通に考えるとスピード・ナンバーなぐらいのテンポ。しかし、この疾走感もまた魅力的だ。
Etsushiさん、「水飲むわ。」と言って水を飲んでから、「やっと半分終わったわ!」と言っていたが、スピーディなコアなナンバー連発であっという間に過ぎた感じであった。「JURASSIC JADEの次にやらせてもらってることをメチャメチャ感謝してます。次、新曲やりますんで…8月にリリースします。お前ら、プレイヤー買えよ。」と言っていたので、アナログ盤で出るんかなぁ〜。新曲の"Zero"はタイトルコールされて、フィードバックからリフへ。アクセントが入って、2ビートで疾走する。その他にも展開が色々あったけど、敢えて書かない。新曲だから。(^^)
そしてさらに、初期のメチャ速の"Fuck Or Die"を披露。Etsushiさん、クラウド・サーフされて一番後方まで運ばれ、最後はステージに戻された。「次の曲は一番速い曲!」と言って、バンド名の"SxOxB"!一瞬の閃光が走る感じで瞬殺グラインドであった。さらに"Vicious World"。激速のブラストで駆け抜ける。「じゃ、あと5曲やで。」まずは、"Never Ever"。こちらも物凄い速度ではないが、疾走感のあるスピード・ナンバー。リフとアクセントになる部分、ベースのみになる部分で「タメ」を作って加速する感じがカッコイイ。
「今日、年内最後なんやけど、来年はまたKANDARIVASのえげつない祭り(激昂祭〜其の五〜)で来ますんで、よろしく!」ううむ、これは行きたいと思っているのである!…という告知があって、次は、アルバム「WHAT'S THE TRUTH?」の2曲目の"Meddlesome Heart"。ゴキゴキのリフが8ビートで進む。途中から2ビートやブラストで加速。再び8ビートになるが、すぐに強烈な加速をして、猛攻ブラストで終了!「あと3曲、イベントTシャツも買って帰ってな。」と言いつつ、激速2ビートの上で叫びまくる"Shoot Mind"を演奏。「あと、2曲!! "Not Me"!」EP「LEAVE ME ALONE」のドアタマのナンバーだ。ほぼブラストという感じの2ビートで突っ走る!!「ありがとう、最高の1年でしたー。」笑っているオーディエンス。本編ラストは、「DON'T BE SWINDLE」のA面ラストの"Let's Go Beach"!前半激速で飛ばしまくり、最後はマッタリと8ビート。でも、ここでオーディエンスは大合唱!名曲だ。

アンコールは、「持ち時間60分なんで、まだ60分になってない。」と企画者のVeppy氏に言われて、1曲披露。「ゴリゴリ行くでー!」と言って、"Repeat At Length"!8ビートで始まり、2ビートへなだれ込む!

アンコール含め22曲の怒涛のハードコア・ライヴ、今年はこれにて終了…良いお年を!!

SxOxB@両国SUNRIZE 2024.6.29
SET LIST:
1. Raging In Hell
2. Leave Me Alone
3. Over The Line
4. Downfall Of Civilization
5. Delusion Of Terror
6. Obsessed With Wickedness
7. Nightmare
8. Suck Up Brain Or Fuck Ya Brain?
9. What's The Truth
10.Why?
11.Crisis Prophecy
12.Mind Empty Of Happiness
13.Zero(New Song)
14.Fuck Or Die
15.SxOxB
16.Vicious World
17.Never Ever
18.Meddlesome Heart
19.Shoot Mind
20.Not Me
21.Let's Go Beach
-Encore-
1. Repeat At Length

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2日目の日曜日も、THE PAUL GASKIN PROJECTは同じく5分押しでスタートした。セットリストは前日と同じ。ただ、2曲目までは、ポールのヴォーカルは音程がかなり不安定で(昨日もある程度そうだったが)、ちょっと大丈夫かな?という感じだったが、後半は完全に持ち直した。
2曲終わって、昨日と同じように「44年」と結成からの年数を言っていた。そして、「1981年の曲をやるよ。」と言って、名曲"Sweet Dream Maker"。この曲の中でヴォーカルの音程はかなり持ち直したので安心した。4曲目前でブルージーなフレーズを弾くポールだが、「なんかとても静かじゃないか?」と言ったので、そんなことはないとオーディエンスはみんなワイワイ騒いでいる。フィードバック音から"No Way Out"、演奏が終わると、"Beautiful people!"と叫んでいた。
"End Of The World"をタイトルコールして、5曲目スタート。短いMCを挟んで、ラストの"I'm No Fool"。こちらもフィードバック音から始まる。この曲ではポールの弾くメイン・ソロがかなり音量が小さかったのがちょっと疑問ではあったが…最後は、日本人メンバーと4人でカーテンコールをして、記念撮影。最後にポールがステージとフロアの間の柵の前を歩いて、ファンにタッチしていった。

THE PAUL GASKIN PROJECT@HOLIDAY SHINJUKU 2024.6.16
SET LIST:
1. Burning Alive
2. Ready For Love
3. Sweet Dream Maker
4. No Way Out
5. End Of The World
6. I'm No Fool

(全てGASKINの曲。)

当然、昨日と同じ出順で、TYTANのステージが始まる。
暗転して、幕が開くとすぐに、"Money For Love"の演奏を開始。8分刻みのキーボードのコードの刻みからリズムが入る。やはり、イアンのリードは速弾き含めてカッコ良い。ソロの後のサビの部分ではオーディエンスは手拍子をする。そのままリズムが入って来て、ラストに"Money!"のシャウトでフィニッシュ。(ちなみにこちらも"Cold Bitch"でゲストのデイヴがドラムを叩くというところまで同じで、セットリストは特に変わらなかった。)
2曲目はセカンドからのストレートでストイックな感じのナンバー"Fight The Fight"。ケヴィンがMCを取り、「アリガト、ドウモ、アリガト!」と言いつつ、同じくセカンドからの"Love You To Death"をタイトルコールする。ミドル8から単音リフ、そしてシュレッド全開なソロ、最後にサビを2回繰り返した。再びケヴィンが"Forever Gone"をタイトルコールして、ラウドでハデなドラム・ソロのイントロから8ビートのリズムがスタート。メロディアスなソロを経て最後のサビへ。
そして5曲目はTYTANならではのメロディックでハーモニックなナンバー、"Far Side Of Destiny"。クリーンのアルペジオにキーボードが入り、ケヴィンとトニーのハーモニー・ヴォーカルが入る。さらにフィルから重いタイトな8ビートが始まって、再びクリーンのアルペジオが響き、ハーモニー・ヴォーカル。オーディエンスは手を横に振る。そしてソロ。ここは結構クレイジーなリードであった。再びAメロに戻ってサビを繰り返してエンディングへ。
ケヴィン、また目頭を熱くして涙流す。昨日のライヴのレポでは、単に日本に来れた感慨深さで泣いたのではない…と書いたが、実に、この日本公演のライヴを最後にヴォーカルのトニーとドラムスのギャリーは脱退してそれぞれのプロジェクトを中心に活動するということで、その時は発表されていなかったからわからなかったが、そういった内情もあったのだろう。しかし、涙脆くなってしまったのだなぁ。
キックにキーボードとベース音、そしてミドル/スローで進むリズムにリフが乗る。"The Cradle"。2回目のサビの後、一瞬、静寂があり、ベースのラインが入って来て、三連のリズムにリフが乗る。アクセントが入りながら、ギターがフレーズを数回弾いて、リズムが入ってメロディアスなソロを奏でる。ギターとキーボードが三連のリフを繰り返し、サビが入って終了。ここは昨日も書いたが、スタジオ盤とは違うライヴ・アレンジだ。ケヴィンが「This is the special...This is "Rude Awakening"!」とタイトルコール。昨日のレポではLED ZEPPELINの"Kashmir"を彷彿させると書いた曲だ。エンディング・ソロはそこそこ長く、最後のスクリームの後、バンドもパワーコードを鳴らしっぱなしにして、ダン!で終了。
昨日もここで初代ドラマーのデイヴ・デュフォートが呼ばれて"Cold Bitch"を叩いたが、その前に女性のアナウンスの声がしたと思ったが、ステージにガイドの方が来ていて、「彼がANGEL WITCHの後、TYTANを作ったんです。」と日本語で解説していた。速い8ビートで疾走し、2コーラスやってソロ。さらにサビからスクリーム炸裂!デイヴとケヴィンが抱き合う…。そしてデイヴはスティックをフロアに飛ばした。…そういえば、ダグ・アルドリッチは過去にカル・スワンの事を、「彼はもう音楽業界にはいない。引退したんだ。」と言っていた事があるが、どうしているのだろうか…。
ドラム・キットには、ギャリーが戻る。昨日はイントロのソロはなかったが、今日はタム類を回して、最後にスネアの連打というドラム・ソロがあってスタート。アタマ打ちにリフが乗る。2コーラスの後、例のベースとキーボードの鐘の音…そしてそこに入ってくるヴォーカル…すぐにソロになる。ギターのサスティーンが伸びて、キーボードのノイズも伸びる。そこにベース・ラインが入ってきて、単音のリフ。最後は三連のリズムでソロ。リタルダンドしてエンディング。しかし、キーボードの音は鳴りっぱなしで、重いリフが始まる。必殺の"Blind Men & Fools"!!「Liars!!」のコーラスで大合唱になる!速弾きのソロの後、一瞬空白が出来て、全員がパワーコード全開!そしてフィニッシュ!!ケヴィンが最後の"Ballad Of Edward Case"をタイトルコール。速い2ビート、そしてスピードがハンパない速弾きのソロ、そしてツーバス連打の後、また空白(静寂)。再び全員がコードを鳴らしてカオス状態になり、最後の一音でキメた!
5人で肩を組んでカーテンコールして、記念撮影…だが、上手くいかなかったのか、もう1度。今となっては、このラインナップのラスト・ギグという事になったのだから、貴重な体験でもあったのだった…。

TYTAN@HOLIDAY SHINJUKU 2024.6.16
SET LIST:
1. Money For Love
2. Fight The Fight
3. Love You To Death
4. Forever Gone
5. Far Side Of Destiny
6. The Cradle
7. Rude Awakening
8. Cold Bitch(Ds:Dave Dufort)
9. The Watcher
10.Blind Men & Fools
11.Ballad Of Edward Case

https://www.facebook.com/Tytanofficialpage/

トリ、DEMON。
初めに述べておくと、演奏された楽曲は、全く昨日と同じだったので、セトリは3バンド全部同じという事に…だが、やはりライヴは1本、1本違うということは、現場で見ている人なら分かるだろう。
SEの"Full Moon"が鳴って、リズムのみ叩き出され、今日は例の仮面は手に持ってはいるが、被らないで出てきたデイヴ。たしかに棺桶もつかっていないし、仮面も被らないが、それはDEMONにとっては単なるギミックでしかない。それが1曲目の"Night Of The Demon"が演奏されて証明される。リフが入ってサビになると昨日と同じで大合唱だ。最後のサビでリタルダンドしてコードをかき鳴らす間をデイヴの「アーーーッ!!」というシャウトが響く。そのまま間髪入れずに2曲目のイントロへ繋げる。"Hurricane"。メジャー・キーでスピーディーなこの曲も人気曲である。
「2夜目だね。昨日も来た?」みたいな事をデイヴは言っていたような感じ。(英語が完全に聞き取れてないけど。w)そして、セカンドから"Sign Of A Madman"。仮面の代わりに?していたグラサンを外して歌いだす。しかし、このなんとも言えない安心感は何なんだろう。楽曲を聴いた瞬間に普遍的なロックンロールの「いつもここにいるよ。」と言っているような雰囲気があるのだ。短いMCを入れて、SEが流れ、"The Plague"。サビの入り方が独特なので変拍子のように聞こえるが、実は拍子は普通に4/4で流れていて、リフの構成が複雑なのでそう聞こえるのである。
「Having a good time?Having a good night?」と問うデイヴ。SEが鳴って、昨日と同じようにアルバム順通りの"Nowhere To Run"。ただ、ここで昨日よりベースの音量がかなり大きい事に気が付く。さらに、出だしのイントロのフレーズが昨日とは全く違っていた。「新作出したんだ。」と言って、"Face The Master"を披露。昨日とは変えて、もう1本MVが作られたちょっとQUEENみたいなクワイアを入れた"In My Blood"をやるかな?と想像していたが、同じ曲であった。謎のピコピコな音のキーボードのイントロからリフが入る。オーディエンスは手拍子で迎える。ラストのサビの"〜The Master!"のところで、デイヴはあの例の仮面を指していたのが笑った。いきなりなんで?みたいな。(笑)
そして昨日と同じあの感動的大作。「It's called "Remembrance Day"!」とタイトルコール。イントロから手を横振りするオーディエンス。途中のスネアのアレンジは見事である。そしてデイヴィッドの長いソロがあり、最後はデイヴのアカペラでの"Remembrance Day..."が空間に響いていった。SEが鳴り、"The Spell"。ポールのソロがキマる。やはり、ちょっとドラマーのニールはオカズで速くなっている面はあるが…もうそれもまた味で良いのだ。
「This is called "Life On The Wire"!」とタイトルコールして、DEMONナンバー中、最もヘヴィな曲が始まる。キーボードの音とデイヴィッドのソロがイントロを彩り、重いリズムが入ってギターのハモリが入る。そこからメイン・リフへ。最後は下手のデイヴィッドのソロが圧巻。昨日よりもテクニカルではなく、どちらかというと感情に任せた即興プレイで荒々しかったが、それもロックンロールだ!デイヴはそのソロの途中で2、3回シャウトする。そして、ポールとデイヴィッドのハモリのパートが決まり、エンディングへ。
昨日と同じように、例の仮面を最前列のオーディエンスに被るようにと促して渡し、「ファーストからやるよ!」と言って、"Liar"。ポールのソロは今回はライトハンド/タッピングが凄まじかった。ラストは、当然、"Don't Break The Circle"。これまた大合唱となる!素晴らしい代表曲である。

演奏が終わって、楽器陣は袖に消えていく。だが、何故かデイヴ・ヒルだけはアンプの前に立ち止まって、みんなを呼び戻し始めた。昨日はアンコールという感じではなかったが、今回はアンコールという事になるかな?という事で、当然アンコールに用意されているのはスピーディーなロックンロールの"One Helluva Night"!昨日も書いたけど、聴けば分かるけど、このリフの始まりの音の流れは一体どこから出てきたんだと思うほど個性的なラインなのだ。ソロはデイヴィッドからポールへと流れる。そして、ヴォーカルとドラムだけになるところで、オーディエンスの手拍子、さらにちょっとだけラストにデイヴィッドとポールのソロ合戦があって、エンディング!
嗚呼、ついに神のような悪魔のバンドを見ることが出来ました。しかも2回も!

また来てくれることはあるだろうか?デイヴ・ヒルはあんなに元気だけど、76歳なのだ。いや、まぁSAXONのビフも74歳とかだから…NWOBHMやり出した人はずっと若い!これからもずっと世界中にそのサウンドを響かせていってほしいと思う!!!

https://x.com/RubiconMusicTW/status/1803097899850752494

DEMON@HOLIDAY SHINJUKU 2024.6.16
SET LIST:
1. SE:Full Moon〜Night Of The Demon
2. Hurricane
3. Sign Of A Madman
4. The Plague
5. Nowhere To Run
6. Face The Master
7. Remembrance Day (A Song For Peace)
8. The Spell
9. Life On The Wire
10.Liar
11.Don't Break The Circle
-Encore-
1. One Helluva Night
 


http://www.demon.band/

 

本来なら、
「N.W.O.B.H.M 45TH ANNIVERSARY「DEMON & TYTAN & THE PAUL GASKIN PROJECT JAPAN TOUR 2024」(Day1)@HOLIDAY SHINJUKU」
とタイトルはしたいところですが、日記掲題の文字数制限を完全に越えました…。ww

 


2020年5月に話は遡る。当初、このライヴはGASKINとDEMONというツーマンでのNWOBHMのお祭り的な形で企画されたものであった。
しかし、もちろん2020年の春というのは、「コロナ禍」が始まった頃であり、3月に初めての「緊急事態宣言」が出されて、会場の大小に関わらず、またメジャーかインディーズかという垣根もなく、多くのライヴ・ショウは中止、もしくは延期となった。来日公演も軒並みキャンセルとなり、この企画も延期となった。コロナ禍は(本当は今もまだ終わっていないが。)予想以上に長くなり、延期は3〜4回起きて、2022年にはウクライナとロシアの戦争も起こった影響もあり、完全に保留となってしまい、一時期は、もう開催しないのでは?という雰囲気にさえなっていた。
当初予定されていたラインナップに、さらに再結成したTYTANが加わり、逆に一度はGASKINが解散し、DEMONとTYTANのツーマンになったりもしたが、ポール・ガスキンが日本人ミュージシャンをバックにつけてのTHE PAUL GASKIN PROJECTとして加わり、結果として、スリーマンとなった。そして、2024年6月の来日がやっとアナウンスされたのであった。

さて、1日目。HOLIDAY SHINJUKUに行くのは14年前にBULLDOZERのライヴを見に行って以来だ。V系やアイドルが強いハコという認識のHOLIDAYは、そういった国内のバンドを見に来ることがほぼない。(V系の流れでいえば、ありそうでもあるが…。)
あの14年前と比べると、ホストさんの姿はちょっと減ったかな?という感じ。今でもそういったお店が立ち並ぶ拠点である事には間違いはないのだが。いや、そうではなく、パッチを付けたメタル・ヘッズ軍団が集まっているからそう見えるのかな?
さて、入場して、そろそろ始まるかという段になって、ハコの中を見渡すと、それなりに人と人の間の距離は詰まっている。やはりこのスリーマンを見逃したくないというコアなファンはそれなりにいるということだろう。関東以外から来ている方も少なくないはずだ。(俺ほどDEMONというバンドに固執しているという人は少ないとは思うが。)

5分押しで、暗転してカーテンが開く。1バンド目はTHE PAUL GASKIN PROJECT。バックを固めるのは、まずギターにJeroさん(ABIGAIL)、ベースにはOshinoさん(DORAID)、ドラムスはShinji Tachiさん(MAGNESIUM、G.A.T.E.S.)である。
1曲目は"Burning Alive"。イントロは、スタジオ盤とは違って、ヘヴィなリフが何回か繰り返される。これは「STAND OR FALL」アルバムの日本限定盤のライヴを聴くと分かるライヴ用のアレンジである。そしてメインのNWOBHM独特のリフが始まり、疾走。ソロの部分では一度スロー・ダウン、再び速度を上げてエンディングまで。途中にリフを変化させたブレイク的な部分があるのがニクい。2曲目のイントロは歪ませてコーラスと思われるエフェクトをかけたポールのギターから始まり、ところどころにJeroさんのオブリガートが入る。"Ready For Love"。セカンドのアナログB面1曲目(NWOBHM時代なら、CDで何曲目という感じではないだろう。)のナンバー。ミドル・テンポで進むが、ポールのヴォーカルは1曲目もそうだが、少し音程がビミョー…。2コーラスやって、メインのソロは再びポールが弾く。そしてサビがあって、エンディング・ソロはJeroさんが弾くという順。
MCでは、「44年」と言っていたが、おそらくGASKINを結成して、日本に来るまで44年という事を言っていたのだと思う。1980年結成であるから。そして、次の曲では、手拍子を求められる。曲は、ファーストのオープナー、"Sweet Dream Maker"。
ブリッジ・ミュートの開放弦とパワーコードでの刻むリフがスタートして、リズム隊のアクセントが入る。そして8ビートで進んでいく。この曲もNWOBHMを代表するナンバーであると言っていいだろう。ソロの後、再びメイン・リフにアクセントが入ってくる。最後のサビはハモリのコーラスが入っている。そしてJeroさんとポールが背中合わせになってポーズを取り、エンディング。
「How do you do? Have a good time?」とポール。そしてクリーン・トーンでアルペジオを弾き始める。途中からブルージーなフレーズを弾いて、激しいリフを弾きだした。110ぐらい?の速い曲。セカンドのタイトル・トラック、"No Way Out"!テンポ的にはパワー/スラッシュ・メタルの180以上ぐらいのものに慣れているので、そんなにスピード・ナンバーではないのだが、このリフの激しい感じとリズムの雰囲気が凄い疾走感を醸し出す。そこが音楽のマジックだ。テンポそのものではない速度感である。メイン・ソロの後、リフにアクセントが入って、そのままエンディング・ソロ(これはポール)へ。そして、ファーストのタイトルトラックである"End Of The World"をタイトルコールして、リフが始まる。ソロの後、1コーラスやって、リフが変化し、ゴツゴツとしたリズムとなる。そこにソロが乗る。スタジオ・ヴァージョンではここでフェイドアウトしてしまうが、このソロに今日はペールギュントの「山の魔王の宮殿にて」のフレーズを入れていた。(笑)さらにJeroさんとハモリでエンディングへ。
ラストは、81年にシングルとしても出た(「ファースト・シングル!」とポールは言っていた。)"I'm No Fool"。フィードバック音からミドル…いやスローなテンポでスタートする。サビの部分で少しビートが減ってフィルも入るアレンジが雰囲気を変える。エンディング・ソロの後、リフが変わってシャウトでフィニッシュ!
「Thank you good night!You're beautiful!」と言って去っていった。

THE PAUL GASKIN PROJECT@HOLIDAY SHINJUKU 2024.6.15
SET LIST:
1. Burning Alive
2. Ready For Love
3. Sweet Dream Maker
4. No Way Out
5. End Of The World
6. I'm No Fool

(全てGASKINの曲。)

そして、次はTYTAN。
このバンドの歴史も少し触れておこう。元は現在も在籍するベースのケヴィン・リドゥルスとドラマーのデイヴ・デュフォート(この2人はANGEL WITCHの初期リズム隊であり、ケヴィンは、オリジナル・メンバーでANGEL WITCHのファーストでも弾いている。デイヴはファーストの後に入った2代目ドラマー。)が後にLION、BAD MOON RISINGなどで活躍するヴォーカリスト、カル・スワン、それにスティーブ・ギブスとスチュワーティ・アダムスという2人のギタリストと共に組んだバンドであり、ギタリストはその後アダムスは抜けて、最初のシングル「BLIND MEN AND FOOLS」ではその4人でリリース、解散してからバンドの権利を無視した形で出たファースト「ROUGH JUSTICE」の時には、ドラマーが元JUDAS PRIESTのレス・ビンクスにチェンジしている。その後、多様なメンバーチェンジがあったが、1983年に解散、先ほど述べたファースト・アルバムが85年にメンバーが全く知らないうちにリリースされた…。(というのも、契約していたKamaflage Recordsは音源をリリースする前に倒産してしまったため、メンバーは音源の権利を持つことは不可能だったのだ。)
2012年のドイツの「Keep It True XV Festival」に於いてTYTANは再結成し(元々は長く続くか分からないものだったようだ。)、セカンド・アルバム「JUSTICE SAVED!」(故・クリス・タンガリーディスがプロデュース。)をリリースし、その後も多くのメンバー・チェンジを経て、今回の来日となったというわけである。
(この人脈を辿ると、在籍したメンバーはANGEL WITCHからAC/DCまでがつながるような様相を呈するが、TYTANはTYTANである。)

幕が開いて、すぐに演奏スタート。ミドルで始まる"Money For Love"。ファーストの2曲目だ。ヴォーカルのトニー・コールダムは、高いレンジも余裕で、非常に上手い!またギタリストのイアン・ナッシュのソロは、速弾きが入りながら、凄くメロディアスで楽曲が映えるソロを弾くところが素晴らしい。サビを繰り返して終わり、ベース音にドラムのリズムが入って来て、そこにギターのトリルが加わり、ソロが少し入る。ギャロップのリズムの"Fight The Fight"。これはおそらく、オーディエンスにはあまり馴染みがないセカンドからのナンバーである。セカンドはファーストより硬質でストレートでメタリックなナンバーが多いのだが、こちらもリフ自体、かなりストイックな8分刻みで迫る。サビからミドル8に入り、転調し、流れるメロディのソロへ。最後のサビは途中からアタマ打ちのリズムに変わり、終了。
「TYTAN」コールが凄まじい。トニーは、ここで、"Love You To Death"とタイトル・コール。再びセカンドからの曲である。長いフレーズのリフがキーボード、ギター、ベースでユニゾンする。そしてキーボードが主導してAメロに入っていく。スタジオ盤のトム・バーナのヴォーカルと比較するとトニーのヴォーカルはよりメロディが豊かな感じがする。ソロはミュートした単音の動きから速弾きありのメロディアスなプレイへと続く。結構長めのソロであった。サビを繰り返してフィニッシュ。「アリガト!」とケヴィンがMC。そしてファーストから"Forever Gone"。ツーバスとスネア/タムが絡むハデなドラム・ソロのイントロから始まり、メロディアスなフレーズのリフが始まる。そして少し速い8ビートで進む。速弾きのソロがあり、サビを何回か繰り返し(後半はやはりアタマ打ちになる。)、シャウトして終了。
ケヴィンのMC。後ろでイアンがアルペジオを弾いている。なんでも、初日はよくわかっていなかったが、ケヴィンは感極まって涙している時があったそうだが、それは日本にやってきたという感慨だけではなかったのではないかと、後に思う事が起こったが、それは2日目のレポで…。そのクリーンのメジャー・キーのアルペジオから、キーボードが入って、ケヴィンとトニーのヴォーカル・ハーモニーが乗る。そしてフィルが入り、重いビートへ。"Far Side Of Destiny"。こうしたANGEL WITCHよりメロディ/ハーモニーが顕著な音楽性は、ケヴィンが元々モーツァルトなどのクラシックがフェイバリットであるという側面からきているようである。(ANGEL WITCHではそういったアレンジは不可能だったとインタビューでは述べていた。)再びハーモニー・ヴォーカルのパートがあり、ソロ。そして、最後にサビを歌って感動的に終わった。この曲はNWOBHMの中でもTYTANというバンドならではの曲のような気はした。ケヴィンは「君達も俺達も"Having fun!!"」と言って楽しそうだ。
キックが鳴って、キーボードとベース・ラインが乗る。セカンドのラストの曲、"The Cradle"だ。重めのギター・リフが始まり、リフ自体に二拍三連のアクセントが入る部分も…。さらにサビ。このパターンを2回繰り返し、一度全くの静寂になった後、ベースのラインが入って来て、三連のリズムにリフが乗る。オーディエンスは手拍子で応える。ギターのフレーズがアクセントが入りながら、数回繰り返され、リズムが入って独特のメロディを奏でる。ギターとキーボードが三連のリフを繰り返し、スタジオ盤では重めのリフになるところをサビをスローにして歌い、エンディング。これはライヴ・アレンジのようだ。ケヴィンはMCの中でLED ZEPPELINの名前を出していたが、次の曲、"Rude Awakening"では、少し"Kashmir"に似た感じのリズムはあった。ネタバラシ?だった?中間の2回のソロは短く、最後のサビの後、同じリフの上で少し長いソロ。リタルダンドして終了。
そしてここで、なんとTYTANオリジナルのドラマー、デイヴ・デュフォートが呼ばれる!1曲叩くということらしい。曲は、ファーストから"Cold Bitch"!速い8ビートで進む!この速度感が凄い!2コーラスの後、ソロ。強烈にアグレッシヴなソロである。そしてサビに戻り、終了。オーディエンスは喝采の嵐!そしてドラマーがギャリーに戻り、"The Watcher"。スタジオ盤にある最初のハデなソロはなく、アタマ打ちのリズムからスタート。中間でベースとキーボードの鐘の音だけになり、そこにヴォーカルが乗る。すぐに速弾きのソロ。凄まじいシュレッドなギターだが、曲の場面構成には合っている感じで素晴らしい。そのままノイズが続き、ベースのリズムが先導する。オーディエンスは手拍子をし、三連の単音のリフが奏でられる。そのまま三連のリズムが続き、リタルダンドして……キーボードのコードだけはずっと鳴っている。楽器陣も含め、コーラスが分厚くなり、始まったそのメロディは…!TYTAN最強のファースト・シングル、"Blind Men & Fools"!!スタジオ盤でのカル・スワンのヴォーカルは後のLIONの"Power Love"に近い雰囲気を既に持っている。タイトな8ビートからサビで急激に倍のビートになり速くなる。"Liars!!"のコーラスがオーディエンスから強烈な叫びとなって放たれる!ギター・ソロはサビの部分に乗って凄まじいエネルギーを放出…さすがに、「この1曲は外せない。」という名曲を持つバンドは強い!と思わせる瞬間である!!「TYTAN」コールが物凄い!大喝采である。そして、バンドはその"Blind Men〜"のシングルのアナログB面に入っている"Ballad Of Edward Case"というバラードでもなんでもないスピード・チューンを最後に披露。アタマ打ちのリズムからツーバス連打になり、シュレッドなソロを経てツーバス連打に再び。いきなりサイレントになり、オーディエンスの声が凄い勢いになる。そして、大サビが来て、エンディングは全楽器がコードをかき鳴らしカオス状態に!…フィニッシュ!!
素晴らしいライヴであった!

TYTAN@HOLIDAY SHINJUKU 2024.6.15
SET LIST:
1. Money For Love
2. Fight The Fight
3. Love You To Death
4. Forever Gone
5. Far Side Of Destiny
6. The Cradle
7. Rude Awakening
8. Cold Bitch(Ds:Dave Dufort)
9. The Watcher
10.Blind Men & Fools
11.Ballad Of Edward Case

https://www.facebook.com/Tytanofficialpage/

 

DEMONというバンドの事…。
NWOBHMのバンドでは最も好きなバンドだ。(おそらく次に好きなのはDIAMOND HEAD。)キャッチーなメロディを持ち、プログレッシヴ・ロックやメロディック・ハードに近い音像の部分もあり、ヘヴィ・メタルというよりは、ハード・ロックという形容が合うバンドで、NWOBHM特有のオカルト的なニュアンスを出すためにDEMONというバンド名があり、ファーストの禍々しいジャケがあり、棺桶からヴォーカルが登場するという演出(BLACK WIDOWもやっていたのかな?ロード・サッチとか…。)がある。だが、音楽はそれとはまったく無関係にポップでありキャッチーであり、昔は「BLACK SABBATHに影響された〜」という的外れな解説が多かったが、どちらかというとUFOなどに近い雰囲気である。そして特筆すべきは「駄作なし」とさえ言えるアルバムの楽曲の良さ…先日リリースされた14枚目の「INVINCIBLE」も現代的にはなっているが、基本的な音楽的方向は変わらず、どの曲も本当に優れた出来だ。
36年前だと記憶しているが、新宿レコードでファーストのLPを買って、それから次々にアルバムを買ったのだが、このバンドが来日することはほぼ「夢」であった。来日が実現しなかった理由は様々あったのだろうと思うし、最近になってCANDLEMASSや、延期にはなってしまったがWARLORDなどの来日が決まるというのは30年前では到底考えられない。ヨーロッパにRAVENを見に行った友達がDEMONも見たと聞いて、とても羨ましくなったし、「DREAMS COME TRUE」という言葉は幻になるのか?と思っていた矢先に来日が決まった。コロナ禍で4年待たされはしたが、本当に生演奏が見れたのだ…。実に、初日に家を出る時は、いつ以来かライヴに行くのに非常に緊張してドキドキしていたのだ…。

スタート前、もう、ソワソワして一度トイレに行く。トリは当然、DEMON。
ステージ前の緊張はメンバーさん以上かも??
少しして暗転すると、SEで例の誰もが騙されたあのイントロがSEで流れる。不気味な"Full Moon"。幕が開くと、ドラムのリズムのみが叩き出される…デイヴ・ヒルがあの例の仮面を被って出てきた!棺桶から出てくるのを期待していた人もいたようだが、それはさすがになかったが、仮面を脱いでも、少しメイクしていたし、昨今のデイヴのシアトリカル復活の側面が見えるので、嬉しい限り。ともかく、肉眼でデイヴ・ヒルを見れた事で「ついに!本物が!夢じゃない!」となってしまった!!ドラムのリズムについに、リフが乗り、彼らのテーマ曲"Night Of The Demon"がスタート!ファースト・アルバムは、"Full Moon"からいきなりこのキャッチーなハード・ロックに入るところで、「えっ?」となるのである。誰もが騙されたであろう。ジャケの不気味さ→イントロの不気味さ→いきなりキャッチーなロックンロールというギャップ!これは仕掛けだよな!でも、その"Night Of The Demon"が素晴らしい曲だから、心を鷲掴みにされるのである。リズムも、泣きまくるギターも、メロディの流れも全てが完璧である。サビはオーディエンスも大合唱!みんな好きなんだなぁ〜。
そして次に間髪入れずにスタートしたのは、ちょっとスピーディな6th「BREAKOUT」からの"Hurricane"。これもキャッチーなメジャー・キーのハード・ロック。久々にヘッドバンギングしてしまった!もうこの歳になると(首もあまりよくないので。)相当な興奮状態でない限りヘドバンはしないのだが、これはタマランチ!下手のデイヴィッド・コッターリル(と読むと思う。)のレスポールの音が素晴らしく良い。「Good evening, Tokyo!!」と言って3曲目は、歪んだコードをかき鳴らしたリフから、"Sign Of A Madman"。これもホント、サイコーのロックンロールだ。オブリガートで入ってくるギターがまたたまらない。終了すると、「DEMON!」コールが(ほとんどの人は「デーモン」と呼んでいたが、日本語としてはそれが一般的だし、普通そう言ってしまうと思うが、国内盤帯などに書かれている通り、どちらかというと、「ディーモン」という感じらしい。「モ」も「マ」に近い。)鳴りやまない!これは、みんな相当に興奮状態だな!
SEが(おそらくキーボードで)鳴らされて、サード・アルバムのタイトルトラック"The Plague"に入る。まさにPlague(疫病)に今回はしてやられたよなぁ…。3枚目で既にプログレ的な要素が大きくなり、キーボードによるアレンジが大きくはなったのだが、基本的にデイヴのDEMON節が変わらないし、ガラリと何かが変わったようには思えないという所が彼らの凄さである。また、この辺りでサウンド・バランスは絶好調になってきていたのだが、熟練のプレイヤーが醸し出すサウンドに漂う色気みたいなものが凄い。演奏が上手いのは当然の事として、サウンドに艶があるというのは、これぞプロという感じだ。(ドラマーのニール・オグデン…と読むはず…はオカズが入るとちょっと走り気味にはなるが、それはもう完全に味の一つとして消化されている。…というか俺がドラマーだから気が付くだけで、他のオーディエンスは気がついてはいないのでは?というレベルだと思う。)次の曲もSEから始まって、ちょっとイントロが長く…ベースのアクセントが何回か入る…俺もここだよな?と思って歌いそうになったのだが、デイヴも入りを間違えていた。ヴォーカルパートにはハモリの(おそらくキーボードでコントロールしてるはず)装飾音でのコーラスが入り、そこからスタートする。サードのアルバム通りの曲順での演奏である。この曲はやはりギター・ソロが素晴らしい。
「I can't hear you, Louder〜!」とデイヴが煽るとオーディエンスは声を上げる。「新作聴いた?"Face The Master"という新曲をやるぜ。」と言って、グラサンをするデイヴ。これと"In My Blood"の2本はMVが出来上がったが、来日後の先週、"Beyond The Darkside"のLyric Videoもアップされた。Frontiers Musicも結構、今回は気合が入ってる感じである。大体、PV自体、これまで作られたのは、ゲームのサントラに入った"The Devil Rides Out"のものがあるぐらいで、2000年代まではPVは全く作られなかったのだから。でも、DEMONはPVがあった方が良いと思う。歌詞のテーマやパフォーマンスからしてもNWOBHMの中ではシアトリカルな面が最も大きいバンドであるのだから。"Face The Master"は曲調的にはDEMONの基本ラインの曲で、シンプルな作風である。
そして、ここで、キーボードが笛の音でメロディを奏でた。最もコンセプト・アルバム的な7作目「TAKING THE WORLD BY STORM」のアナログA面ラストの10分弱の大作、"Remembrance Day (A Song For Peace)"!このイントロだけで、多くの人から感嘆の声が聴かれた。そして、フレーズに対して手を横に振る…。美しい光景だ。ヨーロッパで演奏していたのは知っていたので、おそらくやるだろうと予測していたが(1月のCANDLEMASSの"Samarithan"のように。)、これも生演奏で聴くと、目頭が熱くなる…。もう少しで泣きそうになってしまった。素晴らしいエピカルな大作だが、この笛のサウンドは、現在のフォーク・メタル(知らない方にはフォークとメタルって真逆のサウンドじゃないのか?と思われるだろうが、聴いてもらえば納得は行くと思う。そういったジャンルもあるのである。)でやっているアプローチを既にやっているという感じで、しかも、これは彼らの英国人としての作風としては普通の感覚で入れたのだろうし、ジャンルがどうこうなんていう事は考えていなかっただろう。デイヴィッドのエンディング・ソロが美しい…。
「アリガトー、Thank you!」と言って、SEが鳴り"The Spell"。セカンドからは結構な数で演奏される。やはり、ファーストとセカンドはNWOBHMの中でも名盤の誉れ高い部分があるからだろうか。この曲はソロは上手のポール・ヒュームが弾く。ちょっと音が小さく感じたが、下手側にいたからか?ラストはヘヴィなリフで締めくくった。さらに"Life On The Wire"とデイヴがタイトル・コール。そろそろ終盤に差し掛かったということだろうか?この曲が来るという事は…。SEからデイヴィッドのソロがあり、重いリズムへと入っていく。ハモリのパートを経て、ヴォーカル・パートに入る。DEMON史上でも最もヘヴィな質感のある曲だが、BLACK SABBATHのようなギター・リフで押すタイプではなく、キーボードもかなり大きな要素になっている80年代後期の独特の名曲である。所謂ヘヴィ・メタルのサウンドという感じではなく、どことなくブルージーな感触もある。ラストは転調してキーが上がり、ラストのサビの後、デイヴィッドの長い即興のエンディング・ソロ。これがまた凄まじい泣きを誘う。最後はポールとのハモリを奏で、リタルダンドして終了。
ここで(YouTubeでも海外のライヴのもので見たが)、最前列のオーディエンスにあの仮面を渡して被らせるデイヴ。YouTubeで見た時は、みんな被っては記念写真を撮っていたが(笑)、それはなかったが。次の曲はファーストのアナログB面1曲目の"Liar"。この曲はですねー、こうしてライヴで聴いていても、当時、ウチのプレイヤーがこの曲になると針飛びを起こすという現象があって、それ込みで曲を記憶してるようなところがあるんですよ。CDで聴くようになっても、初体験で生じたトラウマはなかなか取れないという…。だから、どこで演奏が針飛び(するわけねーっつの。)するか、不安がよぎった。(笑)そして、ここでベースの巨漢のポール・ジョンソンがMCを取って挨拶をした。ラスト・ナンバーとして、やらないわけにはいかないセカンドの代表曲、"Don't Break The Circle"が披露される。これも、サビは大合唱になる。またソロは上手のポールが演奏。ラストはコードをチェンジしながらエンディングへと持って行った。
メンバーはステージを離れようとするが、デイヴは「まだ、聴きたいかい?」とニコニコしている。オーディエンスは「もちろん!」という感じで叫ぶ。「DEMON」コールが物凄い!アンコールというか、ラストは、あのスタートの音使いが独特なリフから始まるファーストの最後の曲、"One Helluva Night"!速い曲だが、メタルというよりは、ロックンロールなナンバーで、明るい。これもポールがソロを取り、2回目のソロ後のスタジオ・ヴァージョンでもドラムとコーラスのみになるサビの部分はオーディエンスはみんなで手拍子!さらにインスト陣のバトルになった。そして本当に最後のサビを演奏して終了。最後には記念撮影。

明日も来るぞ〜〜!

DEMON@HOLIDAY SHINJUKU 2024.6.15
SET LIST:
1. SE:Full Moon〜Night Of The Demon
2. Hurricane
3. Sign Of A Madman
4. The Plague
5. Nowhere To Run
6. Face The Master
7. Remembrance Day (A Song For Peace)
8. The Spell
9. Life On The Wire
10.Liar
11.Don't Break The Circle
12.One Helluva Night
 



http://www.demon.band/