死産した翌日、病院で目覚めると、隣に優翔が可愛い顔をして眠っていた。

広くて心細かったMFICUの部屋も、今は優翔が一緒だから、全然寂しくない。

「優翔おはよう(*^^*)」

と言って、一緒にテレビを見たり、朝食を食べたりした。

心はとっても穏やかだった。

いつでも抱っこできるし、いつでも頭をナデナデできる。

もうなにも悩む必要はない。
何の不安もない。



看護師さんが、定期的に優翔の保冷剤の交換に来てくれる。

「おはよう(^^)
 ちょっと交換させてね」

と、生きている赤ちゃんと同じように、優翔にも話しかけてくれた。


交換してもらっている間は、私が優翔を抱っこする。

ひんやりと、冷たい。

それでも、何故か抱っこ出来ることが嬉しくて、ずっとにこにこしていた。

たぶん入院してから、一番の笑顔だった。


昨日の日中についていてくれた助産師さんも会いに来てくれて、
「可愛いねぇ。とっても穏やかな顔してる」

と、優翔の顔を覗き込んで、優翔に沢山話しかけてくれた。

私は、死産したなんて思えなくて、なんだかとても幸せな気分だった。

すぐ隣ですやすや眠る、
普通の赤ちゃんを出産したような・・・。


3時間ごとにおっぱいって泣かないし、オムツ交換も必要ない、抱っこしてと泣き叫ぶこともない、とっても手のかからない赤ちゃんを出産した。

ただただ、ひたすら抱っこして、話しかけて、ナデナデする。

お世話に明け暮れることなく、ただひたすらに慈しむことだけに専念できた。

とっても幸せな時間だった。


きっと他人からしたら、この時の私は不気味だったことだろう。

死んだ我が子を抱いて、にこにこしていたんだから。

でも、この時の私は


お腹の中でついこの間まで激しく暴れて、看護師さんと鬼ごっこをして遊んでいたのは貴方だったのね。

9ヶ月間、ずっと逢えるのを楽しみにしていたんだよ。
やっと逢えたね。
ちょっと予定より早かったけど、貴方に逢えて嬉しいよ。
可愛いお顔を見せてくれて、ありがとう。


たとえ心臓が止まっていても、可愛い我が子には変わりない。

だって昨日、頑張って私のお腹から産まれてきたばっかりなんだもん。

可愛くないはずが無い。


産後ハイと言えば、そうだったのかも知れない。

とにかく、この時の私はとっても幸せだった。


私達の所に産まれてきてくれて、ありがとう。