破水後、陣痛が来る気配も無いまま、朝食の時間に・・・。

配膳をしてくれる方が、部屋に入ってくる。

大部屋にいた時に、犬の話をしてくれたあの方だった。

噛まれた手は少し良くなったのか、包帯は外れて、ガーゼとテープだけになっていた。

その方も気づいたようで、
「〇〇さん。えっ!?
 大部屋にいた、〇〇さん?」

って、MFICUに私がいることに、びっくりされたようだった。

そりゃあびっくりするよね。
あの時、あの大部屋の中で一番元気そうにしていた私が、MFICUにいるんだから・・・。

最後に会った時には点滴も外れていたし、きっと退院したと思われていたはず・・・。

「はい。(大部屋に)いました・・・。」

それ以上、何も言うことは出来ませんでした。

「赤ちゃんの心臓が止まっちゃって、これから産むところなんです。」
なんて言葉、そんなすぐに出てこない。

心配そうな顔をされたまま、食事を置いて、退室していきました。

その後、この方と会うことも無かったので、何も事情を話せないまま、お別れとなってしまったのは、残念だったなと思います。

産まれた後に、一目会ってもらいたかったなぁと思いましたが、産んでから退院までは早かったので、また会うことは叶いませんでした。


朝食が終わると、主治医がやってきました。
内診をするから、診察室まで来てほしいとのこと。

破水してるところに内診するから、診察台もびしょびしょにタラー
素早く看護師さんが拭いてくれました(^_^;)


内診した結果、子宮口を広げるためのラミナリアもバルーンも必要ないだろうということでした。

「一時間おきに1錠ずつ、陣痛を促進させる飲み薬を6錠飲んでもらいます。
分娩時に痛みが強いようであれば、痛み止めの点滴なども使っていきたいと思いますので、よろしくお願いします。」

と言っていただけたので、少しほっとしました。

そして、看護師さんが薬を持ってやってきた。
1時間ごとに1錠ずつ、その都度持ってきてくれるようだった。

正直この時は、
3週間も張り止めの点滴して、病棟からも出られずずっと安静にしてたのに、今度は陣痛起こすために、薬を6回も飲まなきゃいけないのか・・・。

と、少しブルーになりました。


今考えると、ラミナリアやバルーンを使わないで飲み薬だけで良いって言うんだから、かなり恵まれていたはずなんだけど、当時はそんなふうには思えませんでした。


薬を飲んでしばらくすると、主治医が様子を見に来てくれました。
お腹の痛みなどは無いかなどを聞かれましたが、痛みなどは全然無く、特に変化もないことを伝えました。

そして、気になったので質問をしました。

「今までは切迫で安静だったけど、今は陣痛を促進するために、動いた方が良いんですか?
それとも、破水してるからあんまり動かない方が良いんですか?」

すると主治医は、
「うーん。特に・・・普通にしててください(^^)」
「今までのようにずっと横になっていないといけない訳でもないですし、頑張って急に動く必要も無いです。」
とのことでした。

「わかりました」

普通にしてて良いと言われると、逆に何して良いか分からなくて、そわそわしてしまいました。

動いた方が良いとか言われた方が、よっぽど楽なような気がしました。
何かしなきゃいけないことがある方が、余計なことを考えて落ち込まずにすんだのに・・・。


それからしばらくすると、チョロチョロだった破水の量が、急に水道から水がジャーっと出るような感じになり、パットでは吸収が追いつかなくてベッドと床をびしょびしょにしながらなんとかトイレに駆け込みました。

そのままトイレで10分くらい羊水がジョボジョボ出続け、お腹もどんどん萎んでいき、目で見て完全に赤ちゃんの形が分かるくらい、全ての羊水が出てきてしまったようでした。

看護師さんにびしょびしょになった床を綺麗にしてもらい、再びベッドへ。

2錠目の薬を飲んで、しばらくすると主治医が再び様子を見に来てくれました。

モニターも付け、痛みはまだ生理痛程度だったけれど、規則的な張りもみられるので、このままお産が進むと思われるとのこと。

そして、もう促進剤は飲まなくても良いでしょうとのことでした。

6錠飲まないといけないと思っていたのが、2錠でもう飲まなくて良いと言われたので、嬉しかったです。


もうすぐ赤ちゃんに会えると思うと、楽しみなような、不安なような・・・。

もう亡くなっているし、奇形もあるって言われているし・・・。いったいどんな姿で出てくるのか・・・私は本当に受け入れられるのか・・・。

対面したら、また哀しくなって大泣きしてしまうのか・・・。

自分がどうなってしまうのか分からず、この時は不安の方が大きかったように思います。