祖父が残してくれたカメラは
「カメラ1台と望遠レンズ1本 と それがぴったりおさまるカメラバッグ」
だった。
わたしは遺品をもらったとき、
すぐさま標準レンズを探し始めた。
普段つかっていたのなら、標準レンズは絶対どこかにあるだろうって。
とかいいながら探しまわっていたけども
でもやっぱりなくて、
親戚に聞いてみたら
「カメラバッグから出したことがないよ」
って言われ
まさしく、カメラバッグにはレンズとカメラが
ずっとまるで昔からそこにあったかのように
ちょうどぴったりとおさまっていて、
誰も使ってないかのように 綺麗だった。
「あ、、そういえば・・・」と言われ
その真相がやっと分かった。
「標準レンズでは外の景色までは届かないけれども
望遠レンズならやっと外の景色を撮ることができたんだって。」
がんの闘病生活をしていた入院中の祖父が
動けない体で
でもベッドからでも撮れるようにって
写真を撮りたくて
だからこんなにも長い望遠レンズなんだなぁ。
それが遺品となり
まわりまわって わたしのそばにきてくれた。
そのカメラをみるたびに
わたしも祖父のように
そうやって写真を撮る根性があるのだとうかと
たまに考えたりする。
あ、そうだ。
また
「今度、こういうの撮影したよ」って 報告しにいかなくちゃ。