先週、父の散髪をしてブログに書いたばかりでした。

あの日からわずか3日後、父は慢性心不全の急性憎悪で静かに息を引き取りました。

86歳でした。

亡くなるまでの約4年間は認知症の介護の日々でしたが、大変なことも多かった反面、父との温かい思い出もたくさん残っています。

子どもの頃から父のことが大好きでした。

とにかく優しくて、何でも話せて、私の事を大切に思ってくれてるのが分かり、笑顔を見るのが嬉しかった。

そんな父だからこそ、介護をしながらも嫌いになることなく、続けることができました。


認知症になって、色んなことが出来なくなったり、分からなくなることもありました。


財布や通帳、保険証、家の鍵、マイナンバーカードなどがなくなり、再発行手続きに区役所や銀行などへ何度も行ったこともあります。

さっきの出来事を忘れてしまうので、こちらが疲れるほど動き回っても、「こんなとこから出てきたわ」とにっこりしていたりして、思わず笑ってしまうこともありました。


何度も同じ内容の電話がかかってきたり、同じ食品を何個も買ってきたり、食べたことを忘れてまた食べてしまったり…。

でもそんな中でも、父は私に向けて変わらない優しさを見せてくれました。

行くと「暑かったやろう」と気遣ってくれたり、脱いだ上着をハンガーにかけてくれたり、いつも笑顔で「ありがとうな」「すまんなぁ」「また寄ってな」と言ってくれたり…。


「他の事を忘れてもいいから、私の事は

忘れんといてな」と泣きながら抱きついた事もありましたが、父は「忘れる訳ないわ」と言い、最期までしっかり分かってくれていました。


認知症になっても、父の優しさは昔から変わらず、最期まで大好きな父でした。


小さな出来事のひとつひとつが、今となっては大切な思い出です。


父の大好物だった巻き寿司を毎週持って行っていましたが、それをもう届けられないと思うと、やはり寂しさを感じます。


振り返ると、父との介護の日々がきっかけで「介護美容」に出会い、介護の資格を取ったり、人生が大きく変わりました。

父が私を本当にやりたいことへ導いてくれたのかもしれません。


父との時間を思い出に、私なりに前に進んでいきたいと思います。