インターネットがあって、個人トレーダーがリアルタイムで相場の動きを見ることができる現代のトレードでは、株もFXも、先物取引等も、チャートを見ながら、自分の目当ての商品が上がるのか下がるのかを読みといていくというのは同じだと思うんですが、
不思議と、プロのディーラーとして仕事柄全ジャンルを経験してこられたような方以外の個人トレーダーは自分の分野があります。
 
株をしている人は、FXには手を出さない、
FXをやっている人は、先物売買には手を出さない、
というような状況が多いのではないかと思います。
今まで話をしたことがあるトレーダーの人も、ほとんどの場合、なにか一つの場所で相場を張っておられました。
 
その相場なりの特徴があり、他のジャンルは片手間に、チャートだけみて勝てるようにはならないのが、相場の世界であるという意味なのでしょう。
 
私の場合はFXですが、一番大きな理由は夜型人間なので、昼の9時から15時までしか取引できない日本の株式相場は初めから考えていなかったのと、先物は昔、先物業者に騙されて三百万ほど溶かしてしまった経験があるから、いいイメージがないのです(笑)
 
昔の先物業者はほんとにひどくて、証券会社のように、「手数料でご飯を食べるために」とかかわいいものでなくて、最初から財産狙いの追いはぎのようなやり方で営業していました。(もちろん善良な業者さんもあったと思うので、全部がそうだという意味ではありません。)

今は、インターネットを通じて自分で取引できるので、悪質な業者もほとんどいなくなったと思うのですが。
 
あるところで不動産の業界に動いた元先物の営業マン氏の話を聞く機会がありました。
 
苦情がいかに多いか、が成績に付随する名誉だったと言っておられました。
全財産をなくして、自殺するような追い込み方をしたケースも、口を濁しておられましたが、実際に何件もあったようです。
 
そういう事実がどうも、投機は怖い、という印象を世の中に与えているのだと思います。
(FXも、先物も投資ではなく、投機に分類されると思います。)
 
このように失くすとき一気になくしどん底になる印象から、とんでもない危険なギャンブルのイメージですが、本質はそうではなくて、相場は実はとても地道な職人の世界と思います。生き残る人はその考え方と思います。
 
通信教育の空手をイメージしてもらえばわかりやすいと思いますが、
「空手」とはいったいどういうもので、どういう技があるのかは、通信教育で送られてくる教材を見ればわかります。
しかし、その空手を自分で使えるようになるためには、人のまねではなく、技を何十回も何百回も、何千回も何万回も繰り返し、体に覚えこませなくてはいけません。
それができるかできないか、ということです。
自分で理解して、チャートの見方を身につけないと、次に上に行くか下にいくかは、読めるようにはなりません。
 
前の記事でも書いた、「このサインだけで勝てます!」という宣伝文句は、言葉を変えると
「この空手の通信教材を買って読むだけで、あなたはすぐにボクシングヘビー級の世界チャンピオンに勝てます!!」
と言っているのに等しいのです。
だって、相場の初心者が向こうに回して戦うのは、生命保険、銀行などのファンドマネージャー。
ヘビー級のチャンピオンクラスの方たちに間違いないでしょう。
そんなことがあり得るかどうか。ありえないですよね。
 
先ほどの先物営業の被害者は、一般のサラリーマンよりも、中小企業の経営者が多かったとのことです。
自分の才覚で会社を興し、事業を成り立たせている有能な人。それがたたき上げの中小企業の経営者です。
世間一般では有能な成功者という認識の方々です。
そういう人が、詐欺師に手もなくひねられて、財産を吐き出している。
お医者さんや弁護士さんという一般社会ではかなり優秀と認識されている職業の方も、相場の世界ではうまくいかないことがほとんどだそうです。
つまり、相場の世界は、通常の社会の頭の良しあしや才覚ではないということです。
専門職。職人の世界です。
ということは、いかに、諦めずにコツコツとやり続けたか、という努力の世界です。
 
やり続ければ、チャートを見続ければ誰でも勝てると私は思います。
けれど、やり続けることができるかできないかも、一種の才能です。
その才能がなければ、相場では勝てるようにはなりません。
 
最初は一攫千金のような計算で相場の世界を見ている人も、必ずどこかで一度は負けます。
その規模がどんなものかは人によって変わりますが、ともかく
「普通に働いて普通にお金を稼いだほうがよほどましだ」と思う場所があります。そこで諦めるか、それでもやるか。
相場でやっていけるかどうかは、それだけの違いだと私は思います。
 
優秀な頭脳があれば勝てるわけではありません。
天才のひらめきでもありません。
熟練の料理職人が、素人が全く見分けがつかない食材の細かな違いを明らかに見極めるように、チャートのちょっとした動きを見て判断できるようになるところまでチャートを見続けた人が、勝てるようになっていく人なのではないかと思います。
 
それが半年先なのか、10年先なのかが人によって、大きく変わってくるという違いはあると思いますけども。
 
FXの本や教材をかなり勉強しました。我ながら。

まったくの独学ですから、当然そういうものにしか学習の機会はないわけです。
 
勉強することは、いついかなるときも無駄にはなりません。
どこかで何かしらの思考回路を構築する糧にはなっていると思います。
出来上がってしまえば、手法はすごく簡単ですが、今現在私が「とんでもなく簡単」と感じているやり方も、ある程度相場やチャートの見方をわかっている人に話しても、「まったく意味がわからない」と言われることがあります。
 
移動平均線と、その他一つ二つのテクニカルを使うだけでのとてもシンプルな方法と自分では思っているのですが、やはり、先の記事で書いたように、交差点の信号が青か赤かの微妙な判断が、交差点に何回も入らないと経験として身につかない、ということだと思います。
 
結局チャートを見ていく作業は、職人の技なんだと思います。
 
先日、たまたま、パチプロでご飯を食べていた、という方と話をする機会がありました。
その方が言うには「FXでご飯食べてる人がいるなんて信じられない」ということでしたが、私に言わせれば、パチスロでご飯を食べられる人のほうが脅威です。
 
けれど、パチスロの勝ち方も、FXの勝ち方も極論すると、同じなのではないかと私は思います。
その彼は、パチンコスロットは、規制もどんどん大きくなってきて、趣味以上にやっていくのはかなり厳しくなってきているので、やめて就職したとのことでした。
 
相場をしているトレーダーの中には、パチプロ出身の人も多いと聞きます。

パチンコで勝つ思考回路と、相場で勝つ思考回路はかなり似ているのではないかと私は思います。
私は、パチンコとかスロットで安定的に勝つことはできません。というかほとんどやったことがありません。
それは、FXよりはるかに難しいと思うからです。趣味や遊びではなく、お金を稼ぐための手段と考えたときには。
 
けれど、根底に流れる勝つための理論は同じなので、計算して理性的にパチンコスロットで勝てていた人はスロットと同じように、チャートの動きの理屈を覚えればFXで勝てるようになるのではないかと思います。
 
 
 
 
FXに関しては、本や、先生と言われる人は、よく次のような言い方をされます。
 
少しずつ堅実に相場で取引していても、やがては、必ず一気に勝負したくなって、よくわからないまま大きく勝負をして、勝つことがあっても、いつかは必ず大きく負けて相場から退場します。注意しましょう。
堅実に堅実に行くべきです。それが大事です。
 
その通りだと思うんですが、けれど、たぶん、それはもともと、パチンコなどで大きく勝負して、大きく負けても仕方ないと思えるような感覚の人です。
通常の人は、むしろ、勉強して勉強して、間違いない間違いないと思っていても、怖くて勝負に入っていけないことで、「相場は向いてない」と思って相場から撤退します。
大負けして撤退する人もいるでしょうが、自分には向いてないと思って撤退する人がほとんどだと思います。
 
ほんとに怖いんですね。入る瞬間は。
1枚どころか、0.1枚しかポジション持たなくて、仮に10pips負けても100円損をするだけ、なんだけど、それでも勝負に入るのが怖い。
何言ってるの?
あなた馬鹿?
この話を聞いて、そう思う人は、大きく勝負ができる人です。
根本的な度胸が私とは違います。
私は、ほんとに怖がりなんだと思います。
少しでも共感してもらえる、恐怖心旺盛仲間がいると信じて話を続けます。
 
私は、ほぼ間違いなく勝てる手法は、少なくとも5個は編み出していると思います。
けれど、それがあっても、実際に勝負していけるようになるまで1年かかりました。
5枚のポジションを持てるようになるまで1年かかってます。
 
勉強しすぎて、複雑にしすぎて、自分でわけがわからなくなったのもあるんですけど、最初、小心者はスキャルピングだと思って
(持っている時間を短くすることが大事だと思ったので)ずいぶん長い間、1分足で練習していました。
 
1時間足とか、4時間足の長い足のほうが簡単ですよ、といろんな人が言ってます。
そして、実際にその通りだと思います。今は。
 
しかし、小心者は何を考えるかというと、「大きい足であればあるほど負けた時の損切はでかいじゃないか」と考えます。
1分足なら損切3pipsで行ける。
5分足なら損切5pipsで行ける。
そして、1pipsを100回抜いていけば、100pips取れる。
簡単じゃないか。
勝てるじゃないか。
絶対の自信がついたら、10枚で勝負すれば、1pipsでも1000円抜けるから、1分で1000円増やせる。
100pips取れば1日10万勝てる。
スキャルピングの神になれる!
と思いましたが、1分足で、これ実際にやった人わかると思いますが。。。。
「そううまくはいかない」
「うまくいっても、ずっとやってると頭がおかしくなる」
という結論になること共感いただけると思います。
 
1分足でよくある手法なんですが、なんらかのテクニカルの基準を定めて(例えばエンベロープなど)、乖離幅が大きくなったらそこからの戻りを取る、という方法。これは完全に逆張り手法なんですが、私は1分足で最初にこの手法を学んだので、いまだに、行き過ぎの相場を見ると、そこからの戻りを取ろうと入ろうとしてしまう癖が抜けません・・・。
1分足のこの手法は、ほんとに地獄の一丁目です。
相場が好きで好きでしょうがない、というある種の変態でないと成り立たない方法です。
必ず負けます。通常の人は。
 
私思うに、やはりなんだかんだと方向感を得るのは、15分足以上でやらないと、神経が持たないと思うんです。
私は最初先に書いたようなやり方で相場をはじめたので、「相場から目を離す」ということができるようになるのにずいぶんかかりました。

そして、目を離してはじめて、勝った負けたを冷静に見れるようになりました。
 
チコチコ動く相場を見続けているのが一番恐怖なんだと思います。
ただ見ているだけなのはいいのですが、自分が持ったポジションと反対方向にどんどん進む相場を見ているのが恐怖なんです。
1分足だと、せいぜい3pipsしか動いてなくても、なんだかすんごい動いたように見えて、変な汗がどんどん出てきます。
その恐怖感覚から抜け出すのにずいぶん時間がかかったんだと思います。
今となって思えば。
 
相場は、その人なりのやり方があると思います。
けれど、どなたでも勝てる方法は必ずあります。
どの時間を使うか、どんな手法を使うか、どんなテクニカルを使うか、どれがが違うと全く方法が異なります。
それを発見するまではやり続けないと勝てるようにならないのが相場の難しいところなんでしょうね。
そして発見した方法を体にしみこませるまでやり続けないと、勝てないのでしょう。