かかりつけの内科の先生から皮膚科に行けと言われ,いったん帰宅したわたしは,娘が世話になっている小児科の隣に皮膚科があったことを思い出し,電話を入れました。すると1時間後に予約ができたので,クルマで出かけました。


そこはショッピングセンターのなかにあるクリニックで,平日の昼間とはいえ,とにかく人目につく。帽子を目深にかぶり,マスクをしてうつむき加減に歩いて も,顔の脇はイボイボだらけ。足早にクリニックに入ると,ふつうの待合室でしばらく待たされました。前を通る別の患者さんがチラ見しているのを感じつつ 待っていると,ようやく診察室に通されました。


さて,顔や体を見るなり,お医者さんは「水疱瘡はやったことありますか?」と聞いてきたので,「はい,子供の頃に」というと,「ちょっと調べますね」と 言って,やおらメスを持ち出してきて,腕の水ほうのひとつを軽く削り,汁を採取しました。そしてそれをプレパラート(だったっけ)にのせて試薬のようなも のをたらし,顕微鏡で観察しました。


「あ,やっぱり水疱瘡ですね~」


まさか二度目の水疱瘡にかかるとは…そんなことがあるのかを聞くと,「まず,体のなかにウイルスがあって,極度の体力や抵抗力が落ちたときに発症してしま うことがあります。あと,いちどかかっても,免疫力が切れてしまうことがあります。どちらかとは言えないですが,いずれにしても稀です」。


なんでそんな稀な事態になるのか…


「でも水疱瘡は特効薬がありますから」とのこと。それは「バルトレックス」という飲み薬で,発症から早めに飲むと,ウイルスの増殖を防いでくれると言います。言い換えると,72時間以上経ってから飲んでもあまり意味はないらしいです。


隣の薬局で薬を出してもらい,さっそくクルマに乗り込んで飲みました。ほんとうに効いてくれると良いのですが…



というのも,たしかに自分が飲み始めたのは発症から24時間弱だったので,早く対処できたと思います。
しかし,時間が経つと,とにかくどんどんどんどん水ほうができてくるのです。驚くべきは場所を選ばないということです。体全体,上は頭の表面から下はつま 先まで。(以下,申し訳ないです…)お尻の穴のまわり,それに性器まで,とにかく場所を選ばずにできます。グロすぎてグロすぎて,元に戻ることはないん じゃないかと絶望するくらいにできます。口の中には水ほうの代わりに口内炎が何カ所もできます。これも辛いです。


喉の痛みも抜けず,そのうち発熱しました。最高は39.6度。これが二日続きました。なにに驚いたかというと,自分が熱を出したときや,なにか痛みを覚え たときは,「ロキソニン」に代表される鎮痛・消炎剤を飲むと劇的に効くのが,このときばかりは熱も下がらないし,痛みもほとんどとれなかったことです。こ んなことってあるんですね。


ここまでは発症から3日までの様子で,いわば水疱瘡の成長期とでも言うべき時です。このころは「水疱瘡 大人」というワードでネットの検索をかけ,いろい ろと見まくっていました。同じような経験をしている方たちの生々しい文章を読みながら,深く共感していたものです。実はわたしがブログに水疱瘡の体験記を 書こうと思ったのも,なんとなく同じ思いをした・している方に読んでもらって,ちょっとは慰めになるかもしれないと感じたからでした…。

人生でふつうは1回だけの水疱瘡に,先月またもや罹ってしまいました。


その名の通り,水ほうが体にできるわけですが,それが最初に観察されたのが5月19日。その日を発症日とすると,2~3日前から前兆はありました。


まずは熱。38度強くらいありました。あと腰痛。そして喉の痛み。だるさ。
なのでてっきり風邪でも引いたと思いこみ,対症療法で解熱剤・鎮痛剤の定番「ロキソニン」を飲んでいました。これがよく効いていました。


そして19日。その日は夕方に教え子の披露宴がありました。昼過ぎになってちょっと昼寝をすると,起きたときにかなりだるい。それでも行かなきゃと支度して出かけました。そしてタクシーに乗っているときに,ふと左手を見ると,ポツっと小さな水ほうが2つほど。


会場について,披露宴が始まると,腕や指にポツポツと小さな水ほうが。それでもまさか水疱瘡とは想像できなかったので,ロキソニン飲んでいて酒を飲んだ,そのせいかなと思っていました。


そして帰宅。風呂に入ろうと服を脱いで鏡を見ると,全身に赤い斑点が。それでもいったいなにかがわからず,さすがに家内も気味悪がって「あしたすぐに病院行って!」。


その後,夜から朝にかけて,体中にどんどん水ほうができていきました。その早さはすさまじいものがありました。朝起きると,とうとう顔中に水ほうができていて,たとえると「イボガエル」でした。やさしく顔を洗おうとしたときに,手の感覚をわすれることができません。ぼこぼこなのです。



もう,まとも顔を出して外を歩くことはできません。あまりにグロい顔です。体も同じです。


とりあえず,顔をそんなにさらさなくてよい,近くのかかりつけの内科に行きました。すると自分を見るなり,受付もただならぬものを感じたのか,すぐに別室に通してくれました。


そしてかかりつけ医が来て見せたのですが,「なんだ,これは?」とわからない様子。「水疱瘡はやったことはありますか?」と聞かれ,「子供の頃に」と答えると,いよいよ困った様子でした。


まさか二度目の水疱瘡とは思わなかったようです。最後は,「自分ではわからない。申し訳ないが,皮膚科に行って見てもらって欲しい」とのこと。ここではそれだけで終わってしまいました。


そのときは,まさか水疱瘡などとは思ってもいなかったので,抗生物質かなにかをくれて,それを飲めばなんとかなると,漠然と考えていました。なので,診断を下せないお医者さんにはがっくりしてしまったのですが,このとき,この方がいい加減な診断をせず,「わからない。皮膚科に行ってくれ」と言ってくれたことが,わたしを最悪の状態に陥るのを救ってくれることになるのです…。(つづく)