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まむし三代記 木下昌輝
戦国時代三代悪人の一人 美濃の毒まむしこと斎藤道三をあの宇喜多の毒嫁の木下昌輝が書く。
しかもこの本は道三だけでなく、父の法蓮房、祖父の松波高丸の三代を書く。
毒まむし道三は突然無から世に生じたわけではなく、その父の因があり子の果により生じるものだった。
祖父が思い立ち、父が集め、その恐るべき破壊力を発揮した謎の兵器、国滅ぼし。
それを受け継ぎ、美濃を手中に収め、日ノ本すら手中に収めん、または滅ぼさんと道三はするのか?
国滅ぼしとは何か?それは最後の展開になるまで明かされない。
そして多くの歴史通の読者もまた裏を掻かれる。自分もだまされた。貴方もだまされて下さい。
ヒントは国滅ぼしは国崩しに非ず、である(笑)
400ページを超す本書は、蛇の章、蝮の章、と続き龍の章で終わる。
ん!? 蝮の章が第二章? 蝮とは毒まむし道三では? そう気付いた読者は鋭い。
左様、三代の毒まむしの系譜に幕を曳くべく龍が立つ。
後の斎藤義龍、道三の直系四代目、豊田丸である。
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最終決戦は史実通りの舞台設定の長良川の親子決戦。だがそこでの闘いがまたスゴい!
両軍の侍大将が誰も彼もスター・ウォーズか、アベンジャーズかッ?って位強くて恰好良いのだ。
そいつ奴が戦場でタイマン張りながら壮絶に一人また一人と倒れてゆく、
最後にラスボスのバトルまでが一気呵成にしっかりコッテリ実況中継される。
道三が張飛ばりの神速の蛇鋒を繰り出し、義龍が金剛乾坤の剛槍で迎え撃つ!!
コレは燃えるわ。ココが面白くないわけがない!
それだけではない、重厚で壮大、ユニークでありながらリアル。
読んだことのなかった意外な解釈なのに、さもありなんという説得力。
まさに昌輝の原点回帰。
戦国下剋上大名、悪の梟雄達のサーガ、であり、
闇社会での のし上がりゴッドファーザーばりの三代記物語だ。
木下先生の最近の他の著作ではやや新規読者ウケ指向、エンタメ意識が強く、多方面多角的に展開されているものの、鋭さや焦点がブレているような気がしていたが 今回は良かった。
全部載せトッピングラーメンよりも、激熱濃厚スープに厚切チャーシューのみの渾身の一杯をさあ喰ってみろ!とカウンターにドン!と置かれたような気がしてしまったよ。(笑)
これは木下昌輝好きにはお勧め! 且つ必ず押さえるべき課題図書である。