満月に出会うと、ある日のようちゃんとの会話を思い出します。
いつもの海岸線でのお散歩中、その日はとても綺麗な満月でした。
大きくて明るい。
その光が海面にひらひらと降り注いでいました。
かぐや姫が月の世界に帰るときもこんなお月様だったかな。
そんな話をしていました。
ちょっと待て。
かぐや姫は竹から生まれたんだよね?
なのに帰る場所は月?
竹じゃないの?
おかしくね?
するとようちゃんは言いました。
竹と月は繋がってんじゃないの?
根っことか電波でさ。
ええええええ?
まじ?
話を変えて、
ところでかぐや姫を迎えに来たのは家来の皆さんだよね?
お父さんやお母さんが迎えに来たって話は聞いたことがない。
普通は親が迎えに来るよね?
娘を育ててくれたおじいさんやおばあさんに直接会って
「娘をここまで立派に育てていただいて、ありがとうございました」って言うべきじゃないの?
なのにお礼の一言も言わずに娘を連れて行くって、どうなの?
いくらお土産をもらったってさ、おじいさんやおばあさんは嬉しくないよね?
おじいさんやおばあさんがその不老不死のお薬を火に焚べちゃったって気持ち、わかるわぁ。
するとようちゃんは言いました。
んんん?
お父さんもお母さんも忙しかったんじゃないの?お仕事で。
家来がいっぱいいるくらいだから、お仕事を頑張ってて偉い人なんだと思うよ。
へええええ、そっかあ。
でもさぁ、いくら偉くてもそぉゆぅのって、親としてどおなの?
そんなグダグダな母の文句にようちゃんは面倒臭そうでした。
別にいいっしょ、いろんな家庭があるってことで。
そうだね、いろんな事情があって本物のお父さんとお母さんはかぐや姫と一緒に暮らせなかったのでしょう。
お父さんお母さんも、きっと辛かったろうね。
ようちゃんは無言で明るい月の光の中をスタスタと歩いていきました。
その無言のスタスタは、どんな気持ちだったのでしょうか。
(そうとう面倒臭かったか?)

