一通りの退院準備が整うと、看護師長さんから病理解剖して研究に役立ったことへの感謝状と、御霊前の金一封をもらいました。

予定通り、昼前に退院。

不安なこともあったけど、この大学病院で人工死産できて良かった。
設備も整っていて、医師も助産師さんもみんな親切だった。
感謝してもしきれません。


家に戻り、葬儀社さんが昼過ぎに桐の小さな棺に入った翼を連れてきてくれました。

小さな小さな棺でした。
きっとこの光景も一生忘れらないだろうなと思いました。

解剖しましたが、服に隠されていて縫い目はわかりませんでした。
この結果がわかるのは数ヶ月後とのことでした。

棺には、私が作ったカエルのマスコットと、夫が作った飛行機のマスコットをまず入れました。
長女妊娠の時に作った布製のガラガラも。鈴の部分がプラスチックなので入れました。
助産師さんと一緒に作った小さなペーパーポンポンも入れました。
そして、翼への手紙。
夫からの手紙と、長女のお絵描きも棺へ。

その日、クーラーをガンガンに効かせて、翼と同じ部屋に寝ました。


次の日、朝から火葬場へ行きました。
まさか、自分の子のために喪服を着るなんて、思ってもいなかったなあ……
お骨は残らない、とネットで見ていましたが、炉の中の子供用?の部分があるらしく、そこで火葬してくれるとのことでした。

炉に入れる前の焼香。
これで本当に翼とはお別れなんだな、と思うと涙が止まらなくなりました。
夫も私も、泣きじゃくりながら翼を見送りました。

40分ほどで火葬は終わりました。

串くらいの細さの、小さな小さな骨でした。
小さくても、きちんと骨の形で、それを見てまた涙が出てきました。
翼と対面したのは短い時間だったけれど、ガーゼに包まれて目を閉じている姿や、抱っこした時の横顔や、胸の前で閉じられた華奢な手首や手を思い出しました。
もう全てお骨になってしまった。
もう本当に会えないんだ。

湯呑みくらいの大きさの、翼の名前が書かれた骨壷に全てのお骨を入れ、火葬が終わりました。
奇しくも、その日は夫の30歳の誕生日でした。
夫は、自分は忘れやすいから、きっと翼が忘れないように、この日を選んでくれたんだと泣きました。
翼を産んでくれてありがとう、と。


入院してからずっと天気が悪かったのに、その日は青空が広がっていました。
お空の上に行っても、ママのこと忘れないでね。
ママは翼のこと、何があっても絶対に忘れない。


翼とのお別れはこれで終わりました。
やれることは全てやったので、お別れに関しては悔いはありません。
今でも、翼のことを思うと涙が出てきます。
それでも、きっと少しずつ、日常生活に戻っていくと思います。
この妊娠で周囲の人や環境に恵まれてるな、と改めて知って感謝することができました。
1歳の長女は翼を妊娠して亡くなったこともわからないですが、その天真爛漫な笑顔でどれだけ救われたでしょう。
夫には幻滅していた部分もあったけど、入院中も入院の雑務や葬儀社や実家・義実家との連絡も完璧にこなしてくれて、退院してから一週間は仕事を休んで料理も洗濯も掃除も長女の面倒も積極的に見てくれています。本当にありがたいです。
入院中から夫の仕事も休めて、夫の職場にも感謝です。
改めて、この人と結婚してよかったと思います。この妊娠を通して、更に夫を愛することができました。

翼とはもう会えないけれど、翼と出会えてよかった。
まだ心の整理はできていませんが、体が回復したらまたゆるゆる妊活しようと思います。
そのとき出会う赤ちゃんは、翼ではないけれど、翼の分まで大切に育ててゆきたいと思います。

翼を妊娠して良かった。
翼には何もしてあげられなかくて、ママばかり沢山の贈り物をもらったね。
それが心残りだけど…また生まれ変わってもママの元に来てね。ずっと待ってるから。
それまでは、お空の上で楽しく遊んでいてね。
さようなら、翼。