まず装丁に惹かれて手に取ったこの本。読んでみると想像以上に素敵な内容で、まるでこの本そのものが自分へのプレゼントのように感じられました。出会いに感謝です
この世に生まれてから、一番最初にもらうプレゼントである「名前」に始まり、結婚式での「ヴェール」や、この世を去るときにもらう「涙」まで、形あるものも、ないものも、様々なプレゼントが描かれています。こうして一生を通して見ると、プレゼントは、あげるよりももらうほうがいかに多いことかと気づかされました。
そしてプレゼントというものは、単なる品物ではないということも。それを贈ることによって、その人の存在を、過去も未来も含めてふんわりあたたかく包んでくれるもののような気がします。特にそれを感じたのが「ランドセル」のお話。小学生になるときに初めてそれを手にした主人公の女の子は、ランドセルをこんな風に考えていました。
“ひょっとしたら赤いランドセルは、もしくは奇妙なにおいのする四角い空洞は、私にとって扉だったのかもしれない。(中略)世界が依然として私に背を向けるなら、この空洞に全財産を詰めてさっさとどこかへ逃げ出せばいい。”
こうして考えられるようになったことで、彼女はそれまでに比べてだいぶ生きやすくなっていました。もちろん、大きくなればなるほど、ランドセルほどの空間では全財産なんて入りきらなくなってしまいます。それでも、このときランドセルをもらったことによって、彼女の「扉」が開き、その後の生き方が変わったということが、何より大事なことかと思います。
最後にもう一編、「うに煎餅」より、妙に納得してしまった台詞です。
“正しくて美しくてプラスなことはいつだって肯定すべきで、間違っていてださくてマイナスなことはいつだって遠ざけるべきだという、至極まっとうな計算式が、いつのまにか、私のなかでは通用しなくなっていることに気がついた。社会に出るといくとこは、ううん、生きていくということは、ひょっとしたらだれよりもときめかない男に恋をするようなことなのかもしれないね。”
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