2022年5月、福岡県大野城市で生後7ヶ月の男の子が亡くなった事件がとても記憶に残っています。

死因は腹部圧迫による肝破裂

母親はシングルマザーで、無くなった男の子は双子の兄だったとのこと。

(事件時のニュースは以下の通り)

 14日午後4時頃、福岡県春日市の病院から県警に、搬送されてきた男児が亡くなったと通報があった。

 県警の発表によると、死亡したのは同県大野城市に住む生後7か月の男児。体には複数のあざがあった。司法解剖の結果、死因は胸腹部圧迫による肝破裂で、死亡推定時刻は14日午後1時頃だった。県警は母親から事情を聞いている。

男児は双子で、母親と弟の3人暮らし。一家を支援対象とし、定期的に面談などを実施していた大野城市は「虐待の兆候は見られなかった」としている。



私が娘を妊娠中に同じ福岡県内で発生した事件でしたので、今でも強く心に残っています。


被告人である母親は特定妊婦だったようなのですが、

私も未婚ひとり親ということで特定妊婦扱いで

共通点が多いこともあり、

ニュースを見かけなくなった後でも気になっていました。

実は、最近になってこの事件を思い出したのには理由があって。


たまたま傍聴に行った裁判員裁判が、ちょうどこの事件だったんです。

令和5年(わ)第996号 傷害、殺人

令和7年の2月19日に福岡地裁で初公判が開かれ、今週末の令和7年3月14日に判決が出る予定です。


仕事の都合上、1度しか公判を見に行けていないのですが

裁判の内容は、事件発生当時私が抱いていた印象とは180度違うものでした。

事件発生当時にニュースを見た段階では、

不謹慎ながらも被告人に対する同情の意が強かったです。


『父親は何をしてるのか』

『頼る相手はいなかったのか』


1人を育てるだけでも精神的にも体力的にも負担がすごいはずなのに、

双子を1人で育てるとなると想像を絶する苦労があったに違いません。


当時妊娠中の私は、1人の子供を1人で育てていく事でさえ

不安で押しつぶされそうだったのに、

被告人は2人の幼児を1人で育てていたと考えると、

勝手に被告人の気持ちを想像してニュースを見て泣いてしまいまっていました。


追い込まれて追い込まれて精神的に逃げ場がなくなって、

何かの拍子でプチッと忍耐の糸が切れてしまい、

判断力を失ってしまった上でのこの事件だったのかな、

と当時は勝手に想像を膨らませていました。


もし、被告人が正常な判断力に戻ったら

判断力が無くなっていたとはいえ可愛い我が子を自分の手で殺めてしまったという事実は

耐え難いものだろうなと思っていました。



私が傍聴したのは2025年2月20日の第二回公判でした。

その日は、検察側の証人尋問と書証の証拠調べが1日かけて開催されました。


証言台に立った証人は、

・事件発生当時住んでいたマンションの隣の部屋の住人

・救急搬送時に対応した徳洲会病院の救急救命医

の2人。


書証は、放射線技師(だったかな、、)が被害者のCT画像(MRIだったかも)の読影結果についてコメントした文書でした。


その時の内容を簡単にまとめると

    

・被害者は肋骨を骨折していた
・肋骨の骨折は新旧複数のものが入り混じっていた
・腕も骨折していた
・腹腔内で大量に血が溜まっていた
・肝臓が断裂した状態だった(最重度)
・双子の弟に比べて、体格が小さかった

・隣人と話した際に『双子の兄は癇癪持ち』である旨話していた
・事件の前月頃に、ひどい泣き声(死ぬんじゃないかと疑うレベル)が隣人宅まで聞こえていた
・事件発生当日は泣き声は聞こえず。隣人は救急隊の出入りで事件を知る

・九大病院に搬送できれば処置できた可能性もあるが、搬送中の体力等を見据えて九大側と相談した結果、搬送せず徳洲会病院で処置することとなった

というものでした(私主観で大事そうなところを大雑把にまとめています)



被告は、肋骨骨折は心臓マッサージをしたからだと主張しているようなのですが、

実際の所見では骨折箇所が新旧複数混じっている点や、心臓の側ではない方が折れていたところから、心臓マッサージによる骨折と断定するのは難しいんじゃないかな、とういう心象でした。


ただ、救急救命医の証言では、大人の手のひらをひらけば肝臓あたりに手がかかることもあるとのことで、必ずしも否定はできないのかな、と。


また肝破裂について

肝臓は自動車事故や自転車ハンドル事故等、大きな外部的な圧力がかからない限り破裂はしないものだということだったのですが

今回は肝破裂の中でも最重度とのことだったので、どれだけ大きな力で腹部を圧迫したのだろうと考えると恐怖を感じました。

今回の裁判で特に印象深かったのが被告の表情です。


CT結果の写真を見せられてる時や放射線技師からのコメントを読み上げられてる時、

息子くんのこと思い出して辛くなったりしないのかな、大丈夫かなっと勝手に心配して(コメント等読み上げを聞いている私の方が泣きそうでした)、

被告をみたら顔色が全く変わってなかったのが少し印象的で、被告に対する怖さを感じました。



それでもなお、傍聴中は被告に対して同情する気持ち(暴力を擁護する気持ちは一切ないのですが、状況を打開できる解決策を見つける手段を得ることができなかったことに対しての憤りの気持ち)が強かったのですが


帰宅後に、2歳になった娘と一緒にお風呂入って

娘の可愛いぽよぽよお腹をぷにぷに触りながら、

その日の裁判の内容を思い出したところ


肝断裂するほどの力で腹部を圧迫って相当エグし、メンタルが追い込まれていたとしても絶対にやってはいけない・一線を越えてはいけない力加減でのやり方だよなと思って

改めて被告人に対する強い恐怖心を覚えました。

検察側は懲役13年を求刑し、判決は2025年3月14日に福岡地裁であります。




この事件を通して、また、私がひとり親として子供を育てていく中で感じるのが

行政からの支援不足についてです。


支援はたくさんあるので、

支援不足と言っては語弊があるかもしれませんが。。。


市や県からはさまざまな子育てに関するサポート体制が用意されていて、とてもありがたい気持ちでいっぱいです。



でも、1人で子育てしていると、

自分の精神的体力的に余裕がない日って確かにあるんですよね。


頼る親族もいない、不安を洩らすこともできない、叫び出すことも逃げ出すこともできない。

(育児では子供可愛い気持ちが100%ですが、自分に余裕がない日は誰かに助けてほしいと叫びたくなります)



そういった時に寄り添ってくれる機関(事務的なものではなく)があればいいのになって思います。

(メンタル死んでる時に、行政に助けを求めて事務的に正論をぶつけられると、もっとメンタルが死にます)


産後すぐに、産院で産後ケアサポートを受けたことがあるのですが、

そのような施設をひとり親世帯向けに作っていただけたら

とても気が楽になるのになと考えてしまいます。

(施設を使用しないにしても、いざとなった時に助けてもらえる場所があるという事実だけで少し気が楽になります。たぶん)



もしかすると、既にそのような機関や施設は存在しているのに

知らないだけな可能性もありますが....💦


気分が落ち込んでいるときは、

そういう助けを求められる機関を探す余裕もなくなると思うので

そのような機関や施設を周知する動きに力を入れるだけでも

今回のような事件は少しでも減らしていけるのではないかな、と思いました。



強く記憶に残ってるニュース

 

 

 

 

 

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