世界中にはきっと星の数ほど癌を患う人がいて、


そして、それぞれ治療を受けていて、


人によっていろいろだろうから、一概に言えないが、


私に関して言えば、


癌の治療を受けてから、対人恐怖がひどくなったように思う。



子供の頃から寡黙で、人付き合いの苦手な子供だったし、


大人になってからも、友人は少なく、


人と一緒にいると苦痛を感じていたけれど、


まだ、心の底では、人と仲良くなりたい気持ちがあったと思う。



それが、抗癌剤治療、手術、放射線を経て、


今、細胞レベルで他者に対して猛烈に脅えているのを感じる。




体の全細胞を襲った、突然の猛烈な攻撃の数々。




癌細胞もダメージを受け、こうして私は生き長らえているのだけれど、


残った正常細胞にも、大きな爪あとを残しているように思う。



そして、変な感じ方かもしれないが、


癌細胞といえども、やっぱり私自身だった。


その私自身が、必要の無いものとして、


攻撃を受け、そして、手術で排除されたのだ。



何か、自分という存在も、


この世に必要の無い存在ではないかと、感じてしまうのだ。



一生、こんなふうに感じて生きていくのだろうか。


それとも、体が癒えていくうちに、


だんだんと心も癒えていくのだろうか。



わからないけれど、それでも、今は、


自分のできることをして生きていくだけだ。