りら荘事件 (創元推理文庫)/東京創元社
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今日は東京の方はすごい雪だったそうですね。
皆さんお怪我などされませんでしたでしょうか。
成人式で振袖を着られた方なんかは
大変だったことでしょう。
 
私は今日もひきこもり生活です。
いい加減運動を始めなきゃなぁと思って
バスに乗ったつもり貯金を実行することにしました。
バスに乗るところを歩いて、その分のお金を貯金。
お金も貯まるし痩せるしで一石二鳥です。
ただし晴れてる日限定。
気長にやろうと思います。
 
さて、本日ご紹介するのは
鮎川哲也さん『りら荘事件」です。
鮎川さんも「この人解説でよく見るけど実際読んだことない」
という人の一人でした。
五つの時計を遥か昔に読んだ記憶がありますが
その記憶も全くなく…。
「名作をきちんと読もう年間」にしようと思った2013年
挑戦してみることにしました。
 
これは、とある富豪が建てたりら荘という建物で起こる
連続殺人事件のお話でございます。
りら荘に集まった6人+1人の芸大生たちが
次々と謎の死を遂げ、傍らにはスペードのトランプが置かれている…。
非常にミステリアスな内容で、
語り口もハラハラドキドキ感を煽ります。
 
■第一の事件
 
須田佐吉…炭焼き。崖からの転落死。
リリスのレインコートを着ていた。
それは午前中に盗まれたもよう。
ポケットからリリスの万年筆。
スペードのA
 
■第二の事件
 
松平紗絽女…学生。ヒ素による中毒死
ココアに入れられたヒ素による。
そのココアは彼女自身が入れ、
リリスも同じココアを別のカップで飲んでいた。
カップに毒を入れる機会があったのは安孫子だけ。
死ぬ直前に赤いナイフが転がり落ちる。
スペードの2
 
■第三の事件
 
橘秋夫…学生。延髄を刺されて死亡。
凶器はサロメの赤いナイフ。
死体は水に浸かっていたせいで死亡時刻曖昧。
スペードの3
 
■第四の事件
 
園田花…管理人夫妻の妻。タオルによる絞殺。
裏庭で絞殺されていた。
死亡直前に、緑のペンで書かれた
メモについて何か思うところがあったらしい。
スペードの4
 
■第五の事件
 
行武栄一…学生。撲殺。
緑色のペパーミントを飲んでしまい。悪態をついていた。
スペードの5
 
■第六の事件
 
二条義房…学生。吹き矢による毒殺。
事件の謎を解いたと吹聴していた。
スペードの6
 
■第七の事件
 
尼リリス…学生。溺死。
風呂の水で溺死させられた後に
三階のから落下させられていた。
スペードの7
 
残った容疑者は日高鉄子と牧数人だけになりました。
が、二人に一連の事件を起こすのは絶対に不可能です。
そこで星影龍三さん登場。気障すぎる名前ですwww
発言もいけ好かない。けど憎めないwww
 
さて、一連の殺人事件ですが、
このように順番を指定するカード的なものが出てくると
「もしかして殺人の順番入れ替わってんじゃねーの?」
と思いたくなるのが人情というもの。
私も、サロメと橘の殺害順序気になるなぁと思っていましたが、
赤いナイフの一件でどうしてもそれが崩せませんでした。
( `・ω・) ウーム…、素晴らしい。
さらにこの一連のカードが、「同一人物による連続殺人」
という思い込みをも誘発させています。うまい…。
 
ヒ素に美白効果があることは知りませんでした。
さらに飲んでいくうちに耐性がついていくことも。
まさかこんな大胆なトリックを使うなんて
リリス嬢の機転の速さと大胆さは
ミステリ界に間違いなく名を残します。
 
赤緑色盲の件は、確かに誤解を招きそうですが
フィクションだしこういうのもありかなと思います。
ブルーサンセトとペパーミントのくだりが
そういうふうに繋がるのか!
と丁寧な構成に感嘆のため息がもれます。
 
二条くんはただの残念な人。
 
最後に尼リリスを葬った鉄子ですが、
もう少し鉄子にクローズアップしてくれても良かったかな。
鮎川氏の小説では美女が出てこないのがフェミニズム(?)だそうですが
そのぶんリリスと鉄子の心中がビシビシ伝わって痛い(゜´Д`゜)
ブスに愛の手を!
 
卓越した構成力と確かな筆力が光る名作でした。
新本格に影響を与えた一人というのも納得の作品。