
ルーシー・アドリントン 著
宇丹貴代実 訳
針と糸、そしてミシンが私たちの命を救った――アウシュヴィッツに収容されながら、ナチス幹部たちやその家族の衣服を仕立てることで、地獄を生き抜いた女性たちの衝撃の記録。
絶滅収容所のファッションサロンをめぐる、
衝撃と感動の実話!!
ナチス幹部家族らの服を仕立てることで、地獄を生き延びたユダヤ人女性たちがいた。
針と糸、そして強い友情の絆で抵抗した、不屈の物語。
「とうてい信じられない話でしょう?」
不屈の囚われ人の一団が、ヘス夫人をはじめ、ナチス親衛隊の妻たちのために
型紙を起こし、布を裁断して縫いあわせ、装飾をつけて、
美しい衣服を作っていた。
まさに自分たちを劣等人種として蔑む人々のために。
アウシュヴィッツのサロンのお針子たちにとって、
縫うことはガス室と焼却炉から逃れる手段だったのだ」(本文より)
[著]ルーシー・アドリントン ユダヤ人の大量虐殺の場であったアウシュビッツ収容所、そこにはさまざまな人間悲劇があった。幾多の時間を経ても、その現実は検証、継承されなければならない。本書は従来の書にない史実の紹介である。 アウシュビッツには、婦人服仕立て作業場(ファッションサロン)があった。ナチス親衛隊員の妻たちのための服装作業場。設立したのは所長ヘスの妻である。 そこに集められたお針子たちが生き抜く闘いの姿を服飾史研究家の著者は、証言や資料をもとに描きだす。初めに、お針子の中心であるユダヤ人女性たちの個人史が説かれる。ナチス権力が登場する前の各国での生活、意識はありふれたヨーロッパの庶民の実像だ。女性たちの家族写真が何葉か掲載されているが、その団欒(だんらん)がいかに破壊されたかが裏付けられる。 本の前半の、ナチスによるユダヤ人家族の解体、被服産業からのユダヤ人追い出し、制服での支配と差別の描写には、著者の目が行き届いている。生き延びた女性の証言が細部に及ぶ。収容所での1千日は、1日に1千回死んでもおかしくないと思っていた、という証言などは貴重である。 後半では、お針子たちの生活の実態、彼女たちの団結、助け合い、抵抗組織の結成、逃亡計画などが語られている。レジスタンスと接触してくれる親衛隊病院の看護師などは、これまで知られていないエピソードである。収容所長ヘスの側の動きも紹介している。作業場の試着室でヘスの子どもに、いつかあなたたちは絞首刑になるよと囁(ささや)くお針子がいる。子どもは顔を出さなくなったという。 監視人の中には、非人間的行為に苦しむ者がいたとの証言もある。お針子たちは収容所のあらゆる仕組みに通じることで、自らの命を守る知恵を学んだ。気まぐれで人が殺され、あるいは助けられる、と著者の語るエピソードを読むと、理を超えた虚無がナチスの病だったとわかる。
アウシュビッツI の入り口の門の上に浮かんでいるの は、幅16フィートの錬鉄製の看板で、「働けば自由になる」(「働けば自由になる」)と書かれています。囚人たちは毎日、長くて過酷な労働の詳細に出入りする標識の下を通り過ぎ、冷笑的な表現を読み、自由への唯一の真の道は仕事ではなく死であることを知っていました。
お針子達は働き生き延びた。
生き延びた喜びも有り仲間との友情ありました。
生き延びたたことで苦しみを背負う事になりました。