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マイホームがほしい父と母 でも、子供たちの願いは、ただひとつ── 毎日、抱きしめて。
 
イギリス、ニューカッスルに住むある家族。ターナー家の父リッキーはマイホーム購入の夢をかなえるために、フランチャイズの宅配ドライバーとして独立を決意。「勝つのも負けるのもすべて自分次第。できるか?」と本部のマロニーにあおられて「ああ、長い間、こんなチャンスを待っていた」と答えるが、どこか不安を隠し切れない。
母のアビーはパートタイムの介護福祉士として、時間外まで1日中働いている。リッキーがフランチャイズの配送事業を始めるには、アビーの車を売って資本にする以外に資金はなかった。遠く離れたお年寄りの家へも通うアビーには車が必要だったが1日14時間週6日、2年も働けば夫婦の夢のマイホームが買えるというリッキーの言葉に折れるのだった。
 
介護先へバスで通うことになったアビーは、長い移動時間のせいでますます家にいる時間がなくなっていく。16歳の息子セブと12歳の娘のライザ・ジェーンとのコミュニケーションも、留守番電話のメッセージで一方的に語りかけるばかり。家族を幸せにするはずの仕事が家族との時間を奪っていき、子供たちは寂しい想いを募らせてゆく。そんな中、リッキーがある事件に巻き込まれてしまう──。
舞台はイギリス北部の都市ニューカッスル。主人公はターナー家の父リッキー、母アビー、16歳の息子セブ、12歳の娘ライザ・ジェーンの4人。一家は自分の家を持つのが夢なのだが、10年前に起こった金融危機で取引銀行が破綻し、それまで払っていた住宅ローンが無に帰し、以後、借家住まいから抜け出せずにいる。
 
独立心旺盛なリッキーは個人事業主となって、めいっぱい働けば2年でマイホーム購入にこぎ着けられると計算。訪問介護士のアビーの大事な足である車を売って、フランチャイズの権利を買い、宅配ドライバー業を始める。
 
 
ところが、個人事業主とは名ばかりで、本部にノルマで縛りつけられる。最初は順調だった宅配も、実入りのいいルートに変更した頃から余裕がなくなり、ほころびが生じてくる。車がなくなったアビーは移動に時間をとられ、介護にも家族にも十分な世話ができない。学校嫌いのセブはますます親に反発し、繊細なライザ・ジェーンはバラバラな家族に心を痛める。そして、ついに決定的な事件が起きる……。
 
それは“怒り”だ。ローチはこれまでも社会の理不尽に対する怒りをパワーにして映画を撮ってきた人だが、『家族を想うとき』には今まで以上の怒りが込められていた。
キャストは全員オーディションで選ばれた半分プロ、半分アマチュアの人々。父リッキー役のクリス・ヒッチェンは実際にマンチェスター出身で、元配管工。40歳から俳優を志したという。マンUのTシャツを着て宅配先の住人から揶揄される場面に、地元のコミュニティからちょっと浮いたリッキーの性格がよく表れている。
特筆は、フランチャイズ本部のマロニーを演じるロス・ブリュースターが勤続20年の現役警官だということ。人に命令し慣れた尊大な感じは(もちろん演技だろうが)、いかにも本部の人間だ。また、集配場で働く人たちも本物のドライバーによるエキストラと聞くと、ターナー家という1つのフィクションを成立させるために、どれほどリアルを用意するか、お手本を見せられた気がする。
 
原題『Sorry we missed you』に込められた2つの想い
 
原題の『Sorry we missed you』には2つの意味がある。1つは、映画の中にも出てくるが、宅配の不在票に書かれた“お届けにうかがいましたがご不在でした”という慣例表現。もう1つは“あなた方を見逃していてごめんなさい”という文字通りの意味で、ここにローチ自身の気持ちが表れていると私は想う。
 
個人事業主となったリッキーは、すぐにフランチャイズの落とし穴に落ちて抜け出せなくなる。いったいどうすれば、この過酷な現実を生き抜いていけるのか? 睡眠時間を削り、家族と過ごす時間を削って、必死で働く大勢のリッキーたちのために、ローチは再びメガホンを取った。
 
「Sorry, we missed you. ごめんなさい、あなた方のことをちゃんと想っていますから。」
日本でも自転車による配達の個人事業主が交通事故にあった時に保険もなかった。自己責任といわれる。
 
コンビニなどのフランチャイズのオーナーとは名ばかりで自分の店なのに休日も自分で決めることはできない。
これでも個人事業主だから。この問題は世界中で起きているのでしょうね。