好きな花は?
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父方の曽祖父が農家から出て、我が家の祖となった。
その血筋なのか祖父は、畑仕事や土いじりの好きな人だった。
曽祖父と祖父で新しい家を持ち、周りに土地を所有して、サラリーマンながら、畑を作っていた。
自宅も百坪を超える敷地にの真ん中に家を建て、表の庭には、樹木や花々を植え、
裏庭には、果実のなる木が植えられていた。
まだそれほどの年金はなかったと思うが、農作物などの収入が、新たな苗や、樹木を買う資金になっていたらしい。
春になると「園芸市」にいくのが楽しみで、必ず私を連れて行ってくれた。
私が値段も気にせず欲しいというものを、買ってくれる。後で思うと高い木もあったと思う。
小学校入学記念に植えてくれた「乙女椿」。
つるバラのアーチが欲しいと言えば、和風の家なのに、門から、玄関までの間に、
赤いつるバラとアケビの蔓を巻いたアーチを作ってくれた。
あるとき、どうしても欲しいとねだった「海棠」、これは、いちばんいいところに植え、
立派な木になり、見事な花を咲かせてくれた。
表の庭の真ん中に鎮座して、周りにも、いろいろな花や木が植えられたところの、足元に、
ある日、たくさんのスズランが、咲き乱れた。
前にスズランが欲しいと言った私の言葉に、内緒で植え、花が咲くまで黙っていたのである。
ちょっと薄暗い木々の足元広く、一斉に咲き乱れるスズランの花。すごい数‼️
学校に行っている間に手入れしていてくれたのだろう。あの光景は、未だ忘れられない。
祖父母も亡くなり、私も家を出たあるとし、実家に帰って驚いた。
海棠の木の上半分がない。大きくなったからと、あの女がど真ん中から、ぶった斬ったのである。
庭師に頼んで欲しかった。声も出なかった。
背よりも大きな紫陽花もあった。
庭に花があるのが当たり前で育ったが、私には、その才がなかったようで、花は好きだが、育てるのが下手である。
一面に咲いたスズランの景色。今思えば、すごい贅沢。
祖父からの最高の贈り物だったと思う。祖父母からの愛情をしみじみと思う。
