私はベンチャー企業に既に二社お祈りを食らっている。私の友人は軽くこの倍ベンチャーにお祈りを食らっている。
お祈りを食らっている、という表現をするとまるでいいことのようだが決してそんなことはない。
想像がつかない人に噛み砕いて言うと、「うちではお前取りたくないけどきっと他ではうまくいくよ!内定もらえるよ!頑張れ!」という通達のことだ。要するに戦力外通告である。
これを食らったときの無力感といったら、まさに大事な場面でことごとくブロックされ一度はバレーを諦めた旭さんに匹敵する。それくらいの無力感なのである。
それはともかく。
何故ベンチャー企業に落ちたのかというと、私の人格も大いに問題だったが(そんなことは生まれて21年心底思い知っているわけで今更訪問者に言われても困る)、そのベンチャー企業の採用方針が理不尽だったのも大きな要因だ。

つまり、顔採用である。

銀行の一般職が顔採用ということはもはや誰でも知っている常識、知らない人間は芋、冨樫義博のカラー表紙は妻がやっているというくらいの暗黙の了解だが、それを言わないと窒息で死ぬのかというくらい「実力主義! 実力主義!」と喚いているベンチャーもやっていることはやっているのである。
というより、ベンチャー企業のような社長の影響力が強い企業ほど、顔採用が多い気がする。
それは何故か。当たり前である。社長が好きなように作って好きなようにやるのがベンチャー企業。わざわざブスをとってやる必要など全くない。
我々腐女子がわざわざ大坪受けや木村受けに走らずすぐさま宮地受けに走るのと同じようなもんである。どうせ手元において好きなようにするなら、見目はいい方が良い。
……お前らだって洛山ではどうせ実渕受け・赤司受け・精々葉山受けの三択だろ? 根武谷受けなんて考えたこともないだろ?

私が落とされたのはどちらもネット決済系ベンチャーだったのだが、その内一つのグループ面接は今でも思い出せるほどの傑作である。
まず、人事がアホみたいに綺麗だった。そこまでは許す。ただ、オフィスにいる人間がもれなく綺麗なのである。私はAKBファンだが、あそこにいた女性は間違いなくAKBより綺麗だったと断言できる。
完全に嫌な予感がして面接会場に入ると、私以外は全員男、こちらの人事もまた美しい。
6対1のグループ面接だったが、そこで「社長がちょっとこちらに来てるので社長面接にしますね^^」というとんでもない事態が起きた。
想像がつかない人は、降旗に会おうとして入った喫茶店に赤司征十郎が待ち構えていた、と想像していただくと最も適切である。
さて。私が企業研究が足りなかったのも事実だが、とにかくいやな社長だった。出会った瞬間から凄い顔をされたのは勿論、私が何を言っても全否定、突然の俺に似合う時計を選べからの「俺はロレックスしかつけない」というコンボ。世界で一番どうでもいい時間であった。
そして最も印象的だったのが、さすが社長やりたい放題、面接の途中で突然席を立ち、新入社員を連れてきたと思ったら「こいつに何でも質問していい」
さすが社長はレベルが違う。
そして記憶に残ったのは、その男性社員がおそろしく不細工だったことである。
さらには、面接が終わった後「君は次に通すから」と告げられた私の隣の男も芋顔をしていた。
いかにもエリート、という風なややイケメンな青年は「君は負けず嫌いが顔に出ている。勝負する相手を間違わない方がいい」と批判を食らっていた。
ちなみに、帰りに見かけた男性社員もどうみても純朴な田舎顔だった。

おわかりいただけるだろうか。


ここまで露骨なら流石に私も帰り際に気づいた。「女は美人、男は不細工」を取っているのである。よっ社長!さすが煩悩の塊っ!憎いねこのっ!
要するに採用活動に熱心なふりをしてハーレム形成を狙っているわけだ。しかしあそこまで露骨だと社長のハーレム形成への情熱へ逆に親近感が沸いた。
どんなに偉そうで嫌な男でも、要するにただのスケベ野郎だったのである。これは個人的に、逆に高ポイント! どんな財力があり権力があっても男は性欲には正直なのである。
社長といえど一人の人間。そんな人間が大きな権力を握っている時点で、ベンチャー企業の採用の理不尽なんて御察しでしかない。
私はそれ以降、ベンチャーを受けるのは練習でも一切やめた。何の練習にもならないからだ。

と、言うわけで。来年から就職活動をはじめる、私と同じく一般的には決して綺麗と言えない系女子のみなさんには、ベンチャーを受けることはあまりおすすめしない。
受けるならブスが好きそうな社長がいるところにすべきだ。そんな企業見たこともないが
実力主義実力主義と魔法のように唱えても、社長は一人の人間なのだから、要するにそんなもんである。


腐女子みんなが大好きな笠松センパイも、女子が苦手で「ああ」と「違う」だけでこなしてきた、生粋のホモの素質ありと見せかけて、実際は巨乳好きだった。


二次元でさえこうなのだから、三次元なんて、もっとお察しである。就活なんてそんなものなのだ。