Oh by the Way

ところで、更新しなさ過ぎでした。。
しかも、久しぶりの記事にもかかわらず、レビューではありません。。

まずは…ピンクフロイドの作品、シャーデーの作品は最低限レビューしたいので、もうしばし(?!)お待ちください。。

タイトルは、ピンクフロイドのボックス・セットです。
私は持ってませんが(汗)

夜明けの口笛吹き~対(映画サントラ含む)まで、全て網羅されているようなので、フロイドのCDは持ってないが、面倒なので一気に全部手に入れたい!って人はアリかも。

個人的には一作一作、個別に手に入れて、じっくり聴くことをおススメしますが。

結局は、コレクター向けという感じでしょうか。

ならば、ブートレグを開拓して行く方が有意義かも。

フロイドは、全盛期の時期にもかかわらず、ライブ盤をほとんど出していません。

「狂気」ツアーのライヴ盤も無ければ、「あなたがここにいてほしい」のライヴ盤もありません。
そう考えれば、「おせっかい」期の「ライヴ アット ポンペイ」(DVD)はとても貴重です。
(無観客、ポンペイ遺跡でのメンバーのみでの演奏という異質なものですが)

公式では「ウマグマ」も一応ありますが、第一期~第二期(特に60年代後半~70年代前半まで)のライヴ音源が聴きたいとなると、ブートレグに頼らざるを得なくなります。

それもあってか、フロイドのブートレグはとっても多いです。

しかし、ブートはブートなので、問題はその音質にあります。

当時の音源を聴けるだけでも、ファンとしてはありがたいですが、
出来れば良い音質の方がいいですもんね。
ヒドイものは本当にヒドイので。。

中にはとても良い音源もありますし、とても貴重です。

というより、フロイドを聴くにあたって、ブートは避けて通れない道だと思います。
その辺りも、追々紹介ということで。。。

Pink Floydとして、重要な通過点となる名盤。(1970年)
フロイドの過去・現在・未来が交錯する野心的作品 / 93点


原子心母
1. Atom Heart Mother
   (a)Father's Shout (b)Breast Milky (c)Mother Fore
   (d)Funky Dung (e)Mind Your Throats Please (f)Remergence  
2. If
3. Summer '68
4. Fat Old Sun
5. Alan's Psychedelic Breakfast
(a)Rise And Shine
                     (b)Sunny Side Up
                     (c)Morning Glory

プログレッシブ・ロックの代名詞として度々取り上げられる本作品。
ヒプノシス(イギリスのデザイングループ)の手によるジャケットも有名です。

やはり目玉とされるのはタイトル曲であるAtom Heart Mother
元々は、デヴィッド・ギルモアからのアイデアから作られた作品で、
曲名も「Theme From an Imaginary Western」→「The Amazing Pudding」→ 「Atom Heart Mother」と変化しています。
完成するまで、なかなかの時間が費やされた事が伺えます。
それは、フロイド自身らすら手に負えなくなり、ロン・ギーシン(イギリスの前衛音楽家)に助けを求めた、ということからも察しがつきます。
壮大なオーケストレーション、コーラス隊など使用してますが、個人的にはリック・ライトのオルガンの音色がとても好きな作品です。
商業的にもある程度の成功を収めた作品ですが、メンバー自身らはあまり気に入って無い様で、特にウォーターズは、「ゴミ箱に捨てられても構わない」とまで後に発言しています。

当時、一体何がしたかったのか分からず、音楽の方向性にも試行錯誤のあった中で制作されたそうです。
それだけに、メンバー自身があまり気に入らないという気持ちも何となく察しがつきます。

しかしながら、ここでの野心的な試みも、フロイド史そのものを考えると必然的だったと思います。

「If」(ウォーターズ作)の、「もしも気が狂ってしまったら…」というフレーズ等は、後の「狂気」への伏線の様にも思えます。
「Alan's Psychedelic Breakfast」は、ミュージック・コンクレートの作品。
「狂気」の次回作として一度は計画された、「Household Objects」(楽器を一切使わない、ヤカン・バケツなどの日用品を使用しての録音)がお蔵入りになってしまった事を考えると、特に貴重に思います。

フライパンでジュージュー調理する音を使用してますが、当時のライブでは、実際にステージ上でベーコン・エッグを調理したとか…。

考えようによれば、本当にいい加減なアルバムとも取れます。
(ギルモア自身も発言しているように)
しかしながら、一つの通過点として、フロイド史の中で重要な作品であることに変わりは無いでしょう。
叙情に満ちた名盤。(1985年)
聴くと、いつも雨の降る風景を連想してしまいます。/ 94点


Promise
1. Is It A Crime        9. Fear
2. Sweetest Taboo      10. Tar Baby
3. War Of The Hearts    11. Maureen
4. You're Not The Man
5. Jazebel
6. Mr. Wrong
7.Punch Drunk
8. Never As Good As The First Time
                   
名作、SADEの2ndアルバムPromiseです。

前作はポップな面もあったのですが、本作はスローテンポを中心に、
哀愁、切なさ、悲しみといった表現に優れた楽曲が揃っています。

シャーデーの歌唱は歌い出しで既に世界を創ってしまうほど魅力的です。
Is It A Crime、Jazebelがその代表的なもので、静かな夜や雨の日に聴くとさらに効能アップ。溜め息が漏れてしまいます。

前作よりもムーディーといいましょうか。
この雰囲気、空気感。
都会の雑踏やしがらみなど、全てを優しく包み溶かしてくれる世界を創ってくれます。

シャーデーの歌ばかりが評価されがちですが、バンドメンバーの働きがあってこそ、その魅力が最大限に活かされていると思います。

バンドとして見事なまでの融合。

このSADEに惹かれる理由はもちろん、シャーデーの歌声にもありますが、
演奏の各パートが上手く生きていて、流れなども本当に自然で美しいです。

また、diamond lifeよりも、サックスやピアノの味わい深さを感じられる一枚です。

そんなわけで今宵も酔いしれるSADEの世界、安らぎの瞬間。
事実上、Pink Floydとしての最後の作品とも捉えられる名盤(1975年)
狂ったダイヤモンドの輝きが究極なまでの叙情性を秘めている /97点




1.Shine On You Crazy Diamond(Part1-5)
2.Welcome To The Machine
3.Have A Cigar
4.Wish You Were Here
6.Shine On You Crazy Diamond(part6-9)


あなたが、ここにいてほしい。

Pink FloydのWish You Were Hereです。
この作品を最後に、メンバー共作(3人以上)の作品は消えてゆくことになります。
事実上、フロイドとしての最後の作品とも捉えられる・・・と言った所以はそこにあります。

それはさておき、コンセプト・アルバムであった「狂気」に反して、収録された1曲、1曲が独立した光を放つ作品です。
それでいてなお、Shine On You Crazy Diamondを冒頭と最後に置き、アルバムとしてのバランスと構成を見事に創り上げています。

今は去りしシド・バレットへの想いが強く込められた、内省的な作風と言えるでしょう。それは、狂ったダイアモンドあなたが、ここにいてほしいへと昇華され、
その一方で"Have A Cigar"では、前作によってビッグ・セールスを記録したPink Floydそのものを皮肉って歌っています。

シド・バレットがいなければ、今のフロイド史は無かった、
しかし、バレットがいては、今のピンク・フロイドという音楽は確立しえなかった、
という、巡り合わせが最も分かる作品です。

バレットに捧げた作品とも捉えられますが、ウォーターズは実はそうでもないと語っています。
つまりは、これはもっと普遍的なものであると思います。
人間の狂気なる部分。
それは誰もが持っている要素であり、人間を形作る要素です。
シド・バレットはその象徴に過ぎず、実は共感する全ての人に捧げられた作品ではないでしょうか。

狂ったダイヤモンドは、エコーズ以来となるトータル20分以上の大作であり、その後も現在もライヴで必ずといっていい程、演奏されています。

フロイドそのものを象徴しつつ、普遍性を兼ね備えたウォーターズの歌詞と、
繊細でありながら、叫び求めるような叙情性を表現したギルモアのギターと、
作品全体を包み込み、馳せる想いを究極にまで表現したライトのキーボードが、
見事なまでに融合した作品です。


近年のライブでは、part1~part7(又はpart5)までの短縮バージョンなどで演奏することがほとんどで、オリジナルバージョンでの再現はありません。
当時のブートレグを聴くと、part1~part9までありつつも、一部省略された箇所があったり、part9のライトの演奏がアレンジされたりしています。
そういった意味で、聴き比べてもおもしろいと思います。

この、Wish You Were HereShine On You Crazy Diamondは、
最も素晴らしいと思う曲の中のひとつ。
これほど想い焦がれてしまう曲は、そうあるものではありません。

pink floyd

(左から、ニック・メイスン/デヴィッド・ギルモア/ロジャー・ウォーターズ/リチャード・ライト)



ピンクフロイドをまだ知らない方のためにも、まずは簡単なご紹介を。


音楽ジャンル:プログレッシブ・ロック

1965年、サイケデリック全盛の時代にロンドンで結成。

1967年にデビュー。

シド・バレッという、絶対的なリーダーの下、デビューしたものの、バレットのドラッグへの執着、精神的な崩壊によって、バンドは早々に危機に晒される。

しかし、それでもバンドは再生し、芸術性と大衆性を高次元で融合させた、類まれなアーティストとして位置付けられる。

既成の音楽にとらわれない、文学的・哲学的な歌詞と、芸術性を兼ね備えた、人間の深層心理にまで訴えてくる様な楽曲がポイント。

例えるなら、画家の絵をそのまま音楽に置き換えた様な、人間の永遠の謎である、心や精神をそのまま音楽で表現した・・・というのが私の意見です。


メンバーの入れ替わりもあって、大きく3つの活動時期に分けられます。

ピンク・フロイドを聴くにあたって、この活動時期を把握すること、誰がバンド内でイニシアティブを取っているかを知ることがとても重要です。


第一期(1965~1968年) シド・バレット 主導

 シド・バレット(vo,gt) / リチャード・ライト(key, vo) / ロジャー・ウォーターズ(B, vo)/ ニック・メイスン(dr)

 「夜明けの口笛吹き」


第二期(1968~1985年) メンバー4人 主導 ~ ロジャー・ウォーターズ主導

 シド・バレット脱退~デヴィッド・ギルモア(Gt)加入(1968年) 

 「神秘」 / 「ウマグマ」 / 「原子心母」 / 「おせっかい」 / 「狂気」 /「炎~あなたがここにいてほしい」 / 「アニマルズ」  ※映画サントラ 「モア」「砂丘」「雲の影」、他ベスト盤除く

 リチャード・ライト脱退(1979年頃)~

 「ザ・ウォール」 / 「ファイナル・カット」


第三期(1985年~) デヴィッド・ギルモア主導

 ロジャー・ウォーターズ脱退 ~ リチャード・ライト復帰

 「欝」 / 「対」



ピンク・フロイドの真髄はどこにあるか


時代・時期によって、その音楽性には変化があります。

第二期も厳密には、「神秘」~「炎」まで(メンバー4人主導)と、「アニマルズ」~「ファイナル・カット」まで(ウォーターズ主導)で区別できます。

(時期の区分については、人によって様々な意見があるとはおもいますが…)


ポイントは、メンバー4人での共同作業によって作品が生まれたか否かにあります。

人によって好みはあるかと思いますが、フロイドの真髄は?と聞かれたら、

間違いなく私は「第二期の4人主導期」にあると答えます。


セールスという数字だけの面でお話すると、「狂気」の全世界売上げ枚数は4000万枚。アメリカ・ビルボードチャート内に15年間もチャートインし続けたと言われています。


※時代背景として、「狂気」発売(1972)の頃にはまだ、正確な売上げ枚数計測が公式に行われていませんでした。よってそれを上回るともされ、歴代世界一位の売上げ枚数を誇る作品とも言われます。(非公式)

また、資料によってデータがマチマチなため、ウィキペディアを参考にしています。


「狂気」以前も来日経験があり、ある程度の知名度があったとは思いますが、「狂気」以降とでは比較になりません。その後の「炎」も1000万枚以上、「ザ・ウォール」も2000万枚以上。「狂気」以前では、「原子心母」「おせっかい」共々、セールスは200~300万枚程度かと思われます。



では、「狂気」(あるいはそれ以降)こそがフロイドの真髄か?


私個人としては半分イエスで、半分ノーです。

「狂気」以降があまりに有名なため、それ以前は軽く触れて省略されてしまいそうですが、「狂気」以前は絶対に無視できません。

そもそもが、第一期・・・シド・バレットが存在しなければ、それ以後のフロイド史は完全に無くなっていました。

そして、「狂気」を生み出すまでに至った、フロイドの真髄は「神秘」~「おせっかい」期にあります。

さらに言えば、「おせっかい」収録の「echoes」こそ、ピンク・フロイドの真髄だと私は思っています。

詳しい内容はまた、作品の紹介と共にお話して行きたいと思います。