笑って
笑って
笑って。

声が枯れるほど、
君が見えなくなるまで
あたしは笑う。

虚に囲まれた笑いの中で
得られるモノはせいぜい
空虚感と孤独感くらい。

君に気持ちを伝えても
結果は変わらない。
むしろ、気まずくなる。

…だったら、と思う。
だったら、気持ちは押し殺して
君といつまでも他愛無いメールを
交わしたほうがいいと
あたしはおもう。


君が見えなくなるまで
あたしは笑うしかないのだから。
幸せがいつも
傍にあるとは限らない。

今、いる君が
明日いるとも限らない。

だからあたしは
怖くなるときがある。

掴みかけた幸せを
放してしまうこと、
怖くなってしまうの。

さしのばされた手を
放してしまわれたら
きっとあたしは
生きてなんていけない。


ねえ、君は
あたしを離さないと
誓ってくれる?

ずっと隣にいる、と
言い聞かせてくれる?

そんなことを思いながら
あたしはカレに
メールを打ってる。


臆病なあたし、
ちきんなあたし、
へたれなあたし。
今だけは…サヨナラ。


今だけはこの幸せを
噛みしめさせて?
シンプルに生きていたはずの毎日は
ときにその形容を崩す。

永遠に会えないはずの
その生活はボタン1つで
瞬く間に変わってく。

永遠を、運命を、
信じるのは欲張りで
我が儘で利己的で
…非現実的すぎて
好きじゃない。

だけど、望みたいとも
思った。
そうだと言える関係が
少し羨ましくもあって
いたからなのかもしれない。

あの日、あの日に。
「またいつか」
そう手を伸ばし
自分で勝手に決別した。

あの想いは永久に
封印するはずの
ものだったから。

もういない。とまで
自分に無理やり決別させた。

出来なかったんだね?
出来るわけない。
そんなすぐに忘れられるなら
本気の恋愛1つ
この五年の間で
していたって
おかしくなかったから。

出来なかったのは
この強く根を張った
あの人への想いのせい。

忘れて忘れて忘れて
そう思うたびに
好きだ好きだ好きだ、
そんなふうに
膨らんでいたのかもしれない。

君に出会えたこと
君と笑い合ったこと
君に話を聞いてもらって
君の話を聞いたりもした。
君が笑うと
あたしも嬉しく、
君が涙を流せば
あたしも涙を流してた。

そんな当たり前のような
関係がずっと続く。
そうあの時は思ってた。
離れる訳ないでしょ。
…信じて疑いもしなかった。

ねえ、あたしはここにいるよ。
チャンスだと思って
君に言えなかった
五年ごしの想い、
伝えてもいいですか?

「好きです」
その四文字を
今、空にのせて。