案の定
待ち合わせの1時間前になって、クロから携帯に着信。
「なんで行かなきゃ行けないの?」
「何の話?」
「どうせ別れ話でしょ?」
「それなら行きたくない。」
「別れたくない。」
自分のした事を、本当に理解してない奴。
どういう思考回路をしてるんだろ。
脳みそが子供だって事は分かってた。
それでも限度がある。
「電話じゃ話さない」
とだけ言って切った。
約束の時間から遅れること30分。
怯えと疲れが混ざった表情でクロが現れた。
案の定
待ち合わせの1時間前になって、クロから携帯に着信。
「なんで行かなきゃ行けないの?」
「何の話?」
「どうせ別れ話でしょ?」
「それなら行きたくない。」
「別れたくない。」
自分のした事を、本当に理解してない奴。
どういう思考回路をしてるんだろ。
脳みそが子供だって事は分かってた。
それでも限度がある。
「電話じゃ話さない」
とだけ言って切った。
約束の時間から遅れること30分。
怯えと疲れが混ざった表情でクロが現れた。
指の腫れがひかなかったので
早々にクロの家を出て、
午前中の仕事を休んで病院へ行ってきた![]()
診断の結果、
軽い骨折。
……なにやってんだか、あたし。
クロに指の症状を報告するとともに、夜、友達と一緒にファミレスへ来るよう
メールを送った。
来るだろうか。
…あいつのことだから
ごねるに違いない。
約1ヶ月前、クロが壊れた。
自分が悪いのに、なんで?![]()
事の発端がいつかと言えば、それは付き合いだした頃かもしれないし、その夜かもしれない。
とにかく日々の色んな不安、疑惑、確信、迷い……
そんなのが心いっっっっぱいに詰め込まれて、当たり前の如く![]()
事が起きた夜。
あたしはクロの部屋で、飲みに出掛けているクロを待っていた。
余りに汚れすぎたその部屋を、少し片していたその時目に留まったもの。
今までもそこにずっと置いてあった、一つ昔の携帯電話。
ずっと大嫌いだった黒色の携帯。
元カノのプリクラをずっと剥がさなかった携帯。
人の携帯なんて、絶対に見たくない。
それを見ることで
わたしが喜ぶことなんて、幸せになることなんて
絶対にあり得ないから![]()
それは、ずっと思っていたことだし、何があっても変わらないと思ってた。
ただ、その時を除いては。
真実が知りたい。
その強すぎる思いのせいで、とうとう行動を起こしてしまった。
人から噂を聞くよりも、本人から真実を聞くよりも、
メールで事実を知るのが一番深い傷がつく。
そこにはまだ、2人の時間が流れているから。
あたしが辿り着いた真実は、とってもシンプルだった![]()
元カノと続いている
その彼女に、クロに対する気持ちがない事は分かった。
だけど、クロの気持ちは変わっていない…
あたしと付き合いだしてからも
旅行へ出掛けたり、プレゼントを買いに出掛けたり、いちゃいちゃして楽しんだりしてる![]()
本当に信じられなかった。
確かに、あたしとの約束がないとき、少し胡散臭い態度や、言い訳はあった。
それでも信じようと思った。
疑ってはいたけれど、裏切るようなことはしないと思ってた。
どれだけあたしを馬鹿にすれば気が済むんだろ
正直に言えば、
二股かけるくらいなら、あたしを振って欲しかった。
あたししかいないとか、あたしじゃないとだめだとか、あたしなしじゃ生きられないとか
そんなこと
絶対に言って欲しくなかった。
今ではそれも全て嘘になってしまうよ![]()
クロが帰ってくるまでの数分間。
このことを打ち明けようか、すごく迷った![]()
このまま見なかったことにすることもできる。
でも
こんなに辛い気持ちを抱えたままで、一体その先に何があるんだろう?
もう、限界だよ。
意外に、冷静にはなれなかった。
クロの目を見て話始めた途端、不安に過ごしてきた時間が
一気に圧し掛かってきて、涙も、叫びも、なにも止めようがなかった。
暴れるだけ暴れた後、少し冷静さを取り戻した![]()
そこから、クロの謝罪が始まった。
土下座をされても、何を言われても、
もうあたしには、許すなんて余裕は残されていなかったから
たぶん、ひどい言葉を浴びせたんだと思う。
あんまり覚えてないけれど…
とにかく、もう別れるから。謝っても意味ないよ。
言って帰ろうとした途端、クロはやってはいけないことをした。
台所にある凶器を持ち出して、
自分の命を絶とうとした。
もう、こんな人生は嫌だ、と言って。
…こんな時までなんて自分勝手な言葉。
でも、逆上した人を挑発する度胸はあたしにはないから
とにかく凶器を蹴り飛ばして、振り払われて、突き飛ばされて、宥めて宥めて宥めて…
その夜は隣で眠った。
次の日の朝、自分の指が腫れていることに気づいた
なんだか、腫れた指を見ていたら
とっても情けなくなってきて、泣きたくないのに、
涙が溢れて溢れて、どうしたら止まるのか判らなかった。
すぐにでも
決着をつけなくちゃと思った。