第一章 二度目の恋①
私の家は厳しかった。
毎日塾に通って勉強ばかりしていた。
だから、友達は少なかったし、友達の作り方も分からなかった。
そんな私の中にズカズカと入ってきたカレ。
そして、あっという間に去っていったカレ。
私はカレへの想いを消すことが出来なかった。
消すつもりもなかったのかもしれない。
そんな私にも転機が来た。
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私は、高校に入学した。県内トップの進学校。
また、勉強ばかりの毎日だと思っていた。
そんな私に手渡された一枚のビラ。
「マネージャー募集。笑顔で選手を応援しよう!」
軽い気持ちで見学に行った。そこはラグビー部だった。
ラガーシャツを着た男の人がぶつかり合う、すさまじい光景だった。
その中でもひときわ目立つ人がいた。
とても生き生きとして、明るい笑顔を持った人。
私は、釘付けになってしまった。
今振り返ると、一目惚れだったのかもしれない。
それが、私とMとの出会い。
私はラグビー部のマネージャーになった。
プロローグ
「死なないで」
呼吸ができなくなって、人工呼吸器をつけられても、必死に生きようとしていたカレ。
カレの横で何も出来なかった私。
誰よりも私を愛してくれて、誰よりも大切にしてくれたカレ。
そんなカレとの別れは突然だった。
14になる直前のことだった。