こんばんみ。
一ヶ月のキックボクシングで、手が痙攣してる囚人です。
バンテージも巻かずに張り切ったら手がピクピクして止まりません。
おまけに師匠に、
「お前のストレート、大の男でも洒落抜きで倒れるわ」
と誉められた囚人です。
31歳のカウントダウンに入りました。
囚人、30歳最後の日、まさに「24」。
00:00:00
○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●
アルバイトから2週間後。
約束の月曜日が来た。
この2週間は長かった。
振り込まれた時点で終わりになると思っていた。
通帳に20万が振り込まれれば何もなかった日々に戻れる気がしていた。
仕事が少し早く終わったため、仕事場の向かいの振込指定してい銀行に通帳記入に行った。
ATMの前でその瞬間を待った。
ものの数秒でワタシの運命は狂いだした。
・・・・・
・・・・・
・・・・・振り込まれていない!?
一瞬真っ白になった。
もう一度通帳を入れてみた。
結果は同じ。
うちへ帰り、Tが仕事が終わるのを待って連絡しようと思っていたその時。
プルルルルルルルルルルル
Tからだった。
Tの声は明らかに取り乱していた。
「囚人、お金、振り込まれていた!?」
「いや、振り込まれてない!」
・・・やられた!!!!!
そう思った。
良心の咎めるままに、あの時お金を返しに行ってれば!と。
「ちょっとまって、M君とO君に聞いてみるから。」
そう言って、いったんTとの電話を切った。
そしてM君に電話をかけた。
「俺のとこも振り込まれてない!Oに聞いてみるからちょっと待ってろ。」
30分ほど待ったろうか。
O君から電話が来た。
「ごめんね、心配したよね、ほんとにごめん。社長には連絡したよ。ちょっと会社の方が忙しくて1週間遅れるそうなんだ。大丈夫だから。」
O君もM君にだいぶ責められたようで焦っていたようだった。
それから1週間後、お金は振り込まれていた。
が、通帳に記入されていた20万という額が、とても薄っぺらな数字に見えて仕方なかった。
汚いアブク銭はさっさと使って、消してしまいたかった。
その週末、スノーボードを見に行って新しいものを一つ購入したが、まだ手元に残る15万は使わずに終わった。
この先起こるいやな予感をぬぐわずにいられなかった。
11月、返済はされているようで請求書も来ず順調に思えた。
12月、悪夢の歯車が回りだした。
金融会社から請求書が届いたのだった。
2件あわせて約4万5千円。
親に気付かれてないのが救われた。
消費者金融にだけは手を出すなといわれていたからだ。
おそらくTも・・・と思っていたら案の定だった。
O君に連絡を取った。
「今まで滞ったことなんてないよ。社長に聞いてみるから。大丈夫だからね!」
その後12月分はO君が立て替えるということで済んだのだが、
年が明けて1月・・・
・・・また、請求書!?
さすがに尋常ではないとこのときに察した。
O君に連絡してみたものの、様子がおかしい。
「待ってね、連絡つけるから社長と。でも山形本社がバタバタしてるからちょっと返事を待ってくれない?」
いやな予感が走った。
そのすぐ後、M君から連絡が来た。
納得いかないM君はO君に会ってどういうことになってるのか全てを吐かせた。
「山形本社から社長がいなくなった!本社が大混乱になってる!しかも金、持ち逃げしたらしい!今からOと山形本社行って来るから連絡待ってろ。」
詐欺(や)られた・・・。
怒りや悔しさなんて通り越して、言葉が出ない自分。
TVなどではたまに聞く話が、まさか自分の身に降りかかるなんて。
その事実を知ったTとその夜会った。
お互いを慰める言葉も見つからない。
全ては己の欲に負けた自業自得が引き起こした出来事。
M君から連絡が来るまでに何杯のコーヒーを飲んだろう。
胃がカフェインでチクチクするころ、M君から連絡が入った。
「社長、消息不明だ。本社もみんなバタバタで対応に追われてて、被害も相当みたいだ。」
100万借りることは容易だ。
でも100万を払っていくことは容易ではない。
仕事を辞める身で100万という額は大きすぎる。
O君を攻めたところで、自分のグループ数十人に被害が及んで、立替ができる額ではない。
明らかに先に見えたのは、戻ってこない残り80万をタダ払いしている自分の姿。
数日後、消費者生活センターにM君、Tと三人で行った。
消費者金融業界の裏でそのようなアルバイトがあるのか調べてもらったが、
「そういう組織はないとのことでしたよ。典型的な詐欺に遭われましたね。」
との返事だった。
この先、支払うかどうするか、減額になる手もあるとのことで、それは弁護士に相談するしかないとのこと。
しかし個人では弁護士を雇うのに多額のお金がかかる。
でも泣き寝入りもしてられない状態。
しばらくしてO君から連絡が入った。
「すいませんでした。僕のせいで・・・。でも囚人さんのほかにも何十人と被害が出ていて、とても僕には支払えない額なんです。
妹もコレをやっていてグループ持ってたんで、家を売ったって追いつかない額で・・・。両親にもこっぴどく怒られました。ホントにすいませんでした!」
電話の向こうで半泣きで頭を下げながら話しているO君が想像ついた。
彼はそういう子だ。
だからこそ、引っかかり、最後は加担側になってしまったんだろう。
そんな彼を攻める気も起こらなかった。
逆に、
「こういうことになったからって、死ぬとか考えないでね?」
と声をかけるしかできなかった。
彼は涙声で、
「ありがとう、囚人さん。そういってくれる人がいると救われる。悪いのは僕のほうなのに、本当にゴメンサナイ。」
そう言って電話を切った。
ワタシだって、人をかまってる場合じゃない。
だけど、こういういことで人の命が消えてしまうことだけはイヤだった。
明日からが大変になることは分かっていた。
それでも何とかしなければ。
24にもなって、親に自分の尻拭いだけはさせたくなかったから。
そんな風に考えてたのもつかの間、事態は自分の思惑とまったく違うほうへ動き出していった。
○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●
今回も長くなりました、第3夜。
ちなみに余談ですが、妹が先日空き巣に入られました。
みなさんも人事とは思わず、注意しましょうね。
さらに余談ですが、友達が下着泥棒にも遭いました。
なるべく盗まれてもいいような清楚な下着を干しておきましょうね。
・・・じゃなくって、
下着はなるべくお部屋の中で干しましょうね!
本日の名言
勝負下着と盗まれてもいい下着は
清純派で!
BY 囚人