March ② 2012

東京ロンダリング/原田 ひ香
¥1,365
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図書館で4か月くらい前にリクエストしていたのがやっと回ってきた。新聞の書評か何かで読んで気になっていた本。確か書評の中では、「蝉の声が最近聞こえない」という本文の中身に言及がされていて、ちょっとぞくっとするものを感じて、読みたくなった。日常生活のごく普通の音が、ふっと気づいたらなくなっているってちょっと怖い。ホラー映画のような怖さではないのに、ぐっとくる怖さだ。

この本を読んで「ロンダリング」の意味を初めて知った。

この物語のいいところは、最終的に主人公がロンダリングをやめて普通の生活に戻るという結末”ではない”ところ。ロンダリングは確かに今の東京では間違いなく必要な仕事。それを自分に合っている仕事だと気付いてポジティブにらえようとしていくところがいい。大都会ならではの裏の仕事だと言ってしまえばそれまでだけど、ロンダリングは本来はポジティブな意味ではないのか。
裏社会の仕事であろうと、自分が都会の病に蝕まれない心をもっていればそれでいいと思う。誰がなんと言おうと。

この仕事は主人公自身をロンダリングしていく。最初はこのロンダリングの仕事が主人公を蝕んでいくのでは、と思ったけど、そうではなかった。

自分が普段やっている同じ仕事なのに、あることをきっかけに、その仕事の見方がガラッと変わることがある。そういうことって結構あるのかも。結局は人間の認識の仕方の問題なんだ。

実際にこういう仕事はあるんだろうな、と思う。私自身はこういう仕事はやっぱり無理だと思うけど、、、