February 2008

雪沼とその周辺/堀江 敏幸
¥1,470
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堀江敏幸を読むのは2回目。前作に続き、しっとりした優しく温かい文章がとてもいい。
雪沼に住む人たちのちょっとしたエピソードの短編集。
普通の人の普通の生活を丁寧に書いている。
こういう風に、普通のこと、小さなことにちゃんと気づいて、それを大切に生きられたらいいなぁと思う。
作者は明治大学の教授もしているようだが、どういう人なのか会ってみたい。
こういう作品を書ける人というのは、どういう時間の中で生きて、どんな風に話すのだろう。
作品を読んでその作家に会いたいなと思うのはこの本が初めてかもしれない。

自分の生き方・・・というほど大げさではなく、暮らし方というべきか、時間のすごし方について考えてしまう。
単純であること、透明であること、明快であること、そういうことがすごく大事なんだなぁ。
それは、効率がいいこととは違う。
効率のよさのために単純であるべきではなくて、自分の頭できちんと考えた明快なものを素直に貫くことが大切。
結果的にそういう単純さは効率的ではないかもしれない。
でも「分解して組み立てられる、単純で融通のきく構造」ではある。
こういう構造が、機械だけでなく人間関係にもあれば、その修理に困ることはない。

自分を振り返ると?
迷路。修復できない構造を自分で構築している。
何が問題なのかももはやわからない。
不恰好でも一貫した考えの下に築き上げたものであればそんなことはないんだろうな。

「分解して組み立てられる、単純で融通のきく構造」
そういう構造を、自分の暮らしの中で自然に作れるようになりたい。