December 2007

十九歳のジェイコブ (角川文庫)/中上 健次
¥540
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今書いてみて初めて気がついた。十九は漢字だったのね。なんとなく19って気がしてたのに。ちょっと新鮮。
そんなことに気づいているかどうかだけでもずいぶん印象は変わる。読書録書くのもこういういい点があるんだなー。

でも中身ははっきり言ってぴもーには難解だった。ジェイコブたちが刹那的に生きている様子に辟易してしまうのは、ぴもーがもう十九歳をとうに過ぎているからか??
ジャズ、セックス、ドラッグ、ホモセクシャル、梅毒、殺し、自殺・・・、そんなものたちのオンパレードに何を見出していいのかぴもーにはわからない。。。

ただ印象的だったのは、ジェイコブが小さい頃、丘でそりをしていた場面。十九歳のジェイコブの話と、小学生くらいのジェイコブの昔の話が交錯していてよくわからない場面もあったけど、たぶんこのときの草むらの匂いや樹木の湿り気なんかの感覚はジェイコブの中にずっと残っているみたいだった。

こういう節はちょっと共感できるところかなぁ。ふっと気持ちいいなーって思ったり、むせかえるような気分になったり、めまいがするような感覚に襲われたり。そういうのの裏には小さい頃外で遊んでたときに無意識に感じてたような自然に対する、というか自然に溶け込む感覚が関係してたりする。それに気づくことはほんとに少ないしずいぶん減ってしまったけど。

小説というか、詩みたい。そっけなくてとらえどころがなくて悲しくなるけど、たぶん体温があって脈打っていて血管が透けていて、気持ち悪いほどに人の形をしている詩だと思う。

嫌いとも言えないけど、好きではない。次回、中上健次の本を手に取れるようになるには時間がかかりそうだ。・・いや、かえってほかにはどんなものを書いているのか気になって手に取るかもなー。