世界情勢について語る -2ページ目

眼鏡

「この眼鏡かけてみ」

押田は、岬におもむろに言った。

「なんやねん急に。うわ!!なにその眼鏡」

押田の手には、レンズがあるはずの部分が鏡になっていた。

「どうなってんの、これ?」

岬は、押田の手から眼鏡を取りまじまじと眺めた。

「これって、内側は真っ黒になってるんやけど」

「まぁ、とにかく眼鏡をかけてみろよ」

促されるように岬は眼鏡をかけた。

「うわぁぁぁぁぁ!!!!」

叫び声と共にドサっと倒れる音がした。





「おい!しっかりしろ!!」

俺は気を失ってしまっていたようだ。

「大丈夫か?顔が真っ青だぞ」

周りには人だかりが出来ていた。

「この眼鏡をかけた途端、いきなり大声あげて倒れるからびっくりしたぞ!!」

何が起こったのかまったく飲み込めなかった。

たしか、眼鏡をかけたら・・・

「あっ!」

「どうした?押田。頭でも打ったか?」

そうだ。

俺が眼鏡をかけた時も、そういえば永濱は倒れてたな。

「おい。大丈夫か?怪我はあんまりしてないみたいやけど」

「お、おぉ。俺、どうなった?」

「だから、俺が眼鏡をかけたらいきなりお前が倒れたんだって。でも俺は、真っ暗だったから何が起こったのかわからなくて」

「その眼鏡お前にやるよ。岬」

「え?いらねぇよ」

「いいから持って帰れって。じゃあ俺、行くところあるから」

「おい待てって!」





「この眼鏡かけてみ」

岬はおもむろに坂場に言った。

「なんだよ!?この眼鏡。鏡じゃん」

岬の手には、レンズがあるはずの部分が鏡になっていた。

「これはもはや、眼鏡じゃないぞ」

坂場は、気味悪そうに言った。

「いいから、かけてみろって」

「嫌だよ。お前がかけろよ」

「俺がかけても意味ないの。秘密がわかんねぇじゃん」

「なんだよ秘密って。お前かければいいだろ」

坂場は、半ば無理矢理に岬に眼鏡をかけさせた。

「おい!やめろって」

「うわぁぁぁぁぁ!!!!」

坂場の叫び声と共に、ドサっと倒れる音がした。

「おい!大丈夫か?なにがあったんだ」

岬は眼鏡を急いで外し、倒れた坂場を介抱した。

何分かして、坂場は目を覚ました。

「おい。わかるか?坂場。なにがあったんだ」

坂場は、ぼやっとした目をしていた。

岬は、何が起こったかわからない様子で、焦っていた。

「この眼鏡になんの秘密があるんだ、チクショー」

岬は、坂場の全身をなめ回すように見たが、何も変わっていなかった。

「坂場。何を見たんだよ」

坂場は意識がはっきりしたようで、辺りを見回していた。

「岬。その眼鏡はもうかけない方がいいぞ」

「だから、なにがあったんだよ!!」

「とにかく!!早くそんなもん捨てろって」

坂場は必死の形相で岬に言った。

岬は不敵な笑みを浮かべ、わかったと頷いた。





「いらっしゃいませ。本日はどんなご用件で?」

「ちょっと、銀行強盗をしようと思いまして」

「はい?」

「いいから、黙って金を出してくればいいんだよ」

岬はそう言うと鏡の眼鏡をかけた。

「きゃぁぁぁぁぁ!!!!」

銀行内に悲鳴が響いた。

それを見て、他に来ていた客や、働いていた行員まで各々叫びだした。

そして、ドサドサと倒れる音がした。

「よしよし、作戦通りだ。まだ起きてる人がいるかもしれないからな」

岬は眼鏡を外さなかった。

すると、どんどん様子がおかしくなった。

「あれ?なんか気分が悪いな。真っ暗やからかな」

岬は、眼鏡を外そうとしたが、なぜか取れなかった。

それどころか、自分の顔や体が大きくなってきている気がした。

「なんだこれ!?うわぁぁぁぁぁ」

パン、と大きな音をたてて岬は破裂した。





ここはとある研究室。

「博士。この間の眼鏡はどうされたんですか?」

助手の道脇は、シワシワの白衣を着ていた。

「あぁ、あれな。捨てた」

この研究室の博士である、貝塚は答えた。

「えぇ!?あれだけ世紀の大発明って叫んでたのに」

「いやぁ、売り込みに行ったんだが、ちょっとグロテスク過ぎるって言われたから」

「まぁたしかに。いくら死刑執行者のストレスを緩和するって言っても、全身が破裂するんですもんね」

「眼鏡をかけただけで、死刑が執行できたら楽だと思ったんだがなぁ。目から毒を吸収させてるから、急に体が膨らんで破裂してしまうんだよ。余計に気持ち悪いもん。俺だってそう思うよ」

「はぁ」

「実験でモルモットを使ったんだが、過程が気持ち悪すぎて倒れちゃったし」

「・・・」

「眼鏡をかけると、たちまち顔色が見たこともない気持ち悪い色になって、1分もかければ」

「人が倒れるんだったら、強盗とかに使われるんじゃないんですか?」

「まぁ、かけて数秒だったら顔色はすごいが、人体には影響ないからな。でも、そんな馬鹿いないだろ」

点けっぱなしのテレビから、ニュースが流れた。

「昨日正午に、八山町の銀行で奇妙な事件が起こりました。男が銀行強盗をしにきたと言い、変な眼鏡をしたところいきなり顔色が悪くなり、破裂したとのことです」

あっ、と2人は顔を見合わせて研究室から急いで出ていった。

マイホーム

季節は秋。
時間は夕暮れ。
場所は川。

私はただ、川の流れを眺めている。

そろそろ、帰ろうかと考えている。

だが、私には家がない。

もちろん、家族もない。

しかし、金も職も食べ物もある。

ついでに希望すらある。

でも、家がない。

では、どうやって暮らしているかというと、こういう風に川を眺めたり、山に登りたくもないのに登ったり、夜になれば自然にまぶたは重くなる。

風呂には毎日入っているし、普段は仕事場にいる。

休みの日が苦痛なのだ。

もちろん、幼少の頃は両親と暮らしていた。

私は両親が大好きだったが、二人とも今はいない。

人間には寿命があるので仕方がない。

ちょうど、父が亡くなり、母が亡くなった頃に家を売り払い、ホームレス生活を送っている。

とは言うものの、そろそろ結婚も考えている。

でも、家がないのでは結婚も出来ないではないか。

私は家に住まなければならないのだ。

ある日、彼女と家を探しに不動産屋へ行った。

彼女は条件を言った。

春には陽気な太陽の光が差し込んできて、夏には涼しげな風が部屋を抜け、秋には穏やかな香りが包み、冬には柔らかな朝の日差しに照らされる。

そんな、理想の家があった。

不動産屋の男は私にも希望を聞く。

私はこう答えるだけである。

「私が住むことの出来る家を」と。

もちろん、物件すべてがその条件を満たしていると男は言う。

彼女はというと、自分の意見をすべて飲み込んでくれていると、喜んでいる。

しかし、実際は違うのだ。

何が違うかは、わからない。

しかし、私の意見は私が住むことの出来る家なのだから、彼女の意見と同じなのかもしれない。

私にはわからない。

私はとうとう、精神科という最も行きたくなかった所へ行くことにした。

なぜなら、彼女と一緒に住みたいからである。

精神科医というものは、何を考えているかわからない。

彼らが何を考えているかわからない人間ばかりを相手にしているからなのかもしれない。

だが、私に猶予はなかった。

明日、物件を見に行かなければならないのだ。

とにかく、精神科医がいる部屋を訪ねた。

扉を開けると、昼だというのにカーテンを閉めきって、電気はついており、音が遮断され、異空間のような気がした。

見た目は二十代後半だろうか、細身の髪がボサボサでいかにも博士と言った、真面目そうな男がキャスターの付いた椅子に座っていた。

男に促されるまま、手前にある社長室の椅子のような、高級な椅子に座らされた。

私は少し焦っていたのだろう、精神科医が口を開こうとしたと同時に、私の声が出た。

「あの私、アレルギーなんです」

精神科医である、宇都宮は驚く素振りもせずに私を見た。

あるいは、部屋に入ったときから見ていたのだろう。

宇都宮は、何も言わず眉をあげた。

「あ、あのう」

何も言わないことに不安を感じ、弱々しく声が出た。

すると、宇都宮はそれを察してか口を開けた。

「アレルギーねぇ。ここに来るってことは、よっぽどの症状なのでしょう。いいですよ。私はそう驚きません。精神科医アレルギーと言われる以外は」

そんなアレルギーがあるのかと、感心したが、ジョークということに気付き、ちょっとむっとした。

宇都宮は私に構わず話し出した。

「私は精神科医です。ですが、あなたの性格まではわかりません。こうして淡々と話されるのが嫌な方もいらっしゃるようで」

慣れた感じがして、私は余計に嫌気がさした。

やはり、こんなところに来るんじゃなかったと思った。

それでも、宇都宮は話した。

「せっかく、お金を出して来てくださったのですからお話だけでもお聞かせください。あなたには悩ましいアレルギーがあるのですよ」

確かにそうだ。

このアレルギーさえなければ、私は幸せに彼女と暮らしていける。

せっかくなので話をした。

「実は私、家アレルギーなんです」

宇都宮は続けてと、柔らかな笑顔で言った。

声にはなっていないが、私には聞こえた。

「家アレルギーといっても、ハウスダストとかじゃなくて、単純に家で生活が出来ないのです」

その調子で、幼少の頃の話、彼女とのこと、明日物件を見に行くこと、すべてを言った。

「不動産屋さんにはなんと言ったのです?」

宇都宮が、流れを切らないように私に聞いた。

「私は、私が住むことの出来る家と言いました」

なるほどと、宇都宮は目を瞑って言った。

「私に住むことの出来る家はあるのでしょうか?」

私はやはり、焦っていた。

しかし、宇都宮は黙ったままだった。

「なんとか言ってくれ!!あんたの言葉がもしかしたら救いになるかもしれない」

宇都宮は、私の顔をぼんやり見たまま、やはり黙っていた。

精神科医は、変に言葉をかけることはしないのかと考えたが、私に今必要なのはポジティブな言葉なのだ。

やはり、宇都宮は黙っていた。

「もういい!帰らしてもらう!!」

「どこへ?」

私の怒号が響いた瞬間に、優しい声がした。

「あなたは、どこへ帰ろうというのですか。家はないでしょう。ご友人のお宅ですか?前に目眩や立ち眩み、吐き気を催したのでしょう。今からどうなさるのですか」

私は黙ったまま目をジグザグさせていた。

「明日、彼女と物件を探しにいってきなさい。彼女が良い家を見つけることができたなら、きっとあなたの住むことの出来る家が見つかるでしょう」

なにを根拠に言っているのかわからなかった。

「本当にそう思っているのか!?」

私は少し怒りが収まっていた。宇都宮に対しては怒っていなかったようだ。

「ええ、もちろん。私は不動産屋と同じ意見ですよ」

「それは、すべて住むことが出来ると言うことか?」

「はい」

やっぱり精神科医なんて、何もわかってはいなかった。

家に住むことがどれだけ私にとって苦痛なのかを。

私はわかったと吐き捨て、部屋を出ようとした。

すると、宇都宮は少し大きな声で言った。

「ただし、『彼女と一緒に』ですよ」

天才のホームラン

場内は騒然としている。




アナウンスが鳴り響き、お客達はザワザワゾロゾロと歩いている。




まさかこんな事が起こるとは、誰が予想していただろうか。











「佐々岡さん!!佐々岡さん」




この声だ。私に災難や面倒なことの始まりが訪れるのは。




「佐々岡さん、事件ですよ」




この声の主は後輩の刑事である山内である。ちなみに、あるドラマで言うとI刑事の役どころである。




「うるさいな。刑事なんだから事件なんて毎日起こるだろう」




私はそう言ったあと、事件が起こるのを未然に防ぐのも我々の仕事なんだがな、とも付け加えた。警察は何か起こってからでないと動いてくれない、と何度も言われた事がある。




しかし、今回の事件は誰もそんなことは言わないだろう。




私たちが関西ドームに着いたのは試合が中断した三時間後だった。




ここへ向かう途中に、事件の内容はある程度聞いたのだが・・・




だが、どう考えても事故なのだ。




事件?の全容はこうである。







八月二十五日。プロ野球の試合で、大阪ペローズ対北関東パイナポー 十六回戦がここ関西ドームで行われていた。




六回の表、北関東パイナポーの攻撃。大阪ペローズは簡単に二死をとったが、ここでバッターは百年、いや五百年に一度の逸材といわれている天才・小早川仁。




初球を軽く叩いてレフトスタンドへの先制ホームラン。




だが、この打球が観客であった小早川の父親である小早川昭一の胸に直撃し、死に至ってしまったのである。




誰がどう見ても事故だ。恐らく、名探偵や名刑事と呼ばれる人が見ても十人が十人とも、事故と言ってくれるだろう。いや、そう言ってくれないとこれからどんな謎解きをすればいいか検討もつかない。




だが、なぜか後輩の山内やその他の端役の刑事は口を揃えて事件だと騒ぎ立てている。




その理由は単純なものだった。




動機がありすぎるのだ。




天才と呼ばれている小早川仁も、幼少時は父親である昭一の暴力に脅えて暮らしていた。さらに、母親も昭一の暴力によって身体に障害が出来るほどの重症を負っている。




華やかなスターとは裏腹に、暗い過去を持っていることがまた皆に愛される理由でもあるのだろう。




そしていちばん疑わしい点は、未だ金をむしり取られているにも関わらず、自分の出場する試合に恨んでいるはずの人間を、しかも敢えて外野席に招待し、さらには北関東パイナポーのホームゲームではなく、住んでいるところからもかけ離れた関西ドームでの試合だという点がどうも腑に落ちないらしい。




確かに疑うべきファクターは整っているが、ホームランボールを僅か一メートルもない幅にちょうど打てるか、というところがもっと疑わしいのではないだろうか?




しかし、私以外の誰もが小早川の犯行に、疑わないのである。




どちらかと言うと、動機の問題よりもこちらの理由が主であろう。




それは、彼が天才であるからだ。










私はロッカールームで、着替えが終わった小早川に話を聞くことにした。




「この度はご愁傷様です」




私がそう言うと、彼はうっとうしい様子で私に一瞥をくれ、軽く会釈をした。




それはそうだろうな、ホームランを打っただけなのに変な刑事に疑われているのだから。




彼は長い腕を大きな体の前で組んだ。




しかし、なにか他にトリックがあるのかも知れないとも思った。




その考えは、彼に会って初めて生じたものだった。




たわいも無い会話をして、事件には触れずにその場を去った。




彼はあまり口を開こうとはしなかった。おそらく、ボロを出すのを嫌がったに違いない。私はそう確信した。と言っても、それだけで確信するはずもないが・・・。




私はロッカールームを出ると、急いで彼の親友であり専任の打撃投手を務める緒方司に話を聞いた。




すると、意外にも彼は色んな話をしてくれた。




「つまり、あなたが投手であったなら小早川は狙いどおり、誤差で言うとたった二十センチで的を得ることができるのですね?」




「でも、それには多くの条件が必要ですがね」




「その条件とは?」




「それは本人しか知りませんよ。私が投げている前提ですし、体調面でもあるでしょう。こんなシーズンの終わりに、痛いところが無い選手なんていませんよ」




何か気付いたらご連絡下さい、と言って緒方と別れた。




条件。




小早川は今日がその条件を満たすとわかっていたのか。




いや、この事件(あえてそう呼ばしてもらう)に条件は大きなものだけなはず。例えば、このドーム球場でなければならなかった。




これは、確実に条件の一つである。




さらには、外野のレフトスタンドの中段であるというのも、大きな条件だろう。




そしてもう一つ。




彼に会って気付いた違和感。




それは、事件の核心に迫った。




「山内。小早川を、グランドに呼んでくれ」




天才だから、という理由はやはり私には合わないようだ。











「なんなんです?私も色々とやらなければならないんです」




小早川仁は、やはりまだ苛立っていた。




私はゆっくりと彼を見て、目元を細め口を開いた。




「単刀直入に言います。私は今回の事故を、殺人事件だと考えています。犯人はもちろんあなたです」




「警察はどうしても私を犯人にしたいらしいですね」




小早川は、うんざりした様子で言った。




しかし、その目は私には狼狽したように見えた。




「はっきり言いましょう。あなただから出来た、あなたにしか成し得なかった殺人でしょう。それはもちろん、あなたが天才だからなんてことは言いません。むしろ、私はあなたを天才だと思ったこともありません」




小早川は、少しムッとした顔を見せたが、目をキョロキョロさせ落ち着きがない。袋小路に鼠を追い詰めるように私は、続けた。




「だってそうでしょう。どうして天才と呼ばれているのですか?確かに成績は素晴らしいです。でもあなたは、技術面で突出していると言うよりも」




「やめてくれ!!」




小早川は、今にも泣きそうな顔だった。いや、むしろ数粒の涙は零れていたのかもしれない。




しかし、私に話を止める意味はない。




「身体的な武器を活用していたに過ぎない。まぁそれをフルに使った、あなたが素晴らしい選手には変わりのないですが、その体でないと今回の殺人は不可能でしょう。しかし、なぜ今日を選んだのかがまだハッキリしないのです。どんな理由があったのですか?」




その言葉に反応したのか、小早川の動きが止まった。




私にはその瞬間、小早川の顔がニヤッと口が拡がった気がした。




しかし、彼は何も語らず自分の犯した罪を認めた。




山内は小早川に手錠をかけた。




その、おおよそ三十メートルもの長い腕に特製の手錠を。

犯人の苦悩

「犯人は、真田さん。あなただ」


探偵の素田は、自信に満ちた顔で私に深爪気味の指をさしてきた。

「・・・。私がやりました」







この小説では、犯人役の人間は素直だ。


もちろん私も無駄な抵抗をするでもなく、言われた通りにおとなしく自白するのが決まりである。


なぜなら至るところに作者のうんちくが散りばめられていて、ページの関係でクライマックスが簡潔にまとめられているからである。

しかし、ここからが他の小説と違うのだ。








「では真田さん。あなたが使ったトリックを説明してください」






そう。


ページの関係で無駄なやり取りを排除するために、犯人がすべて説明しなければいけないのである。


小説の中の話ではあるが、私の身にもなってほしいものである。


そもそも、どこの世界に証拠もトリックも暴かれないで罪を認める犯罪者がいるのだ。


文句を言っても仕方ない。


それが私たち『直感探偵シリーズ』の犯人役のさだめなのだから。


過去に密室トリックを使い、抵抗して素田に立ち向かった犯人がいたが編集者には勝てなかったようだ。


文句ばかり言っていても仕方ないので、トリックを読者に説明するとしよう。


「まず、第一の殺人ですが・・・」






そういって二時間が過ぎた。







「そして、第六十四の殺人ですが」


私が言いかけたところを、素田の隣にいた刑事の小池が言った。


「すまんが、四十七の殺人を聞き逃してしまったので、もう一度説明してくれないかい」


「え~、四十七は、サッカーボールのやつでしたっけ?」


「それは確か十七ではなかったかな」


「じゃあ、眼鏡のフレームを窮屈にして顔面圧迫で殺害したやつですよ」


「そうだそうだ。ありがとう。では続けて」


「はい、第五十九からでしたっけ?」


「どうだったかな?もうよくわからないから、また一から説明したまえ」


「えぇ~!!それだけは勘弁してくださいよぉ~」






私は半ベソを掻きながらまた一から説明しだした。


なにしろ百人以上もの命を奪ってしまったのだから。

「仲直り」

おととい、彼女と初めて大喧嘩をしました。

悲しくて辛くて、昨日はなにも手につきませんでした。

でも、仲直りできた。

人生において、譲れない部分はたくさんありますが、私にとって彼女がそれであります。

改めて彼女がそばにいることが幸せだと感じました。

喧嘩するほど仲がいいとは言いますが、喧嘩しなくて仲がいいのがいちばんですね。

私は今とにかく幸せです。

彼女が大切です。

誰よりも愛しています。

私よりも彼女を想う人は絶対いません。

それよりも、私が彼女以上に好きになり愛せる人はいないでしょう。

ではみなさん、彼女は大切に。

今回でブログは終わりです。

ではいつかまた