この感情を形として残したい。
今までもそうだった。これからもそうでいい。
会って、話して、確かめ合って。
得た幸福が大きすぎるからだろうか。心を占める割合が大きすぎるからだろうか。
噛みしめて、目を閉じて、次に目を開けたときに普段と寸分違いない自分でいられるほど強くない。
外殻を捨て去り、胸を引き裂いて心を曝け出した時間は至福。
しかし、日常に戻るために外殻を再び纏うときには隙間ができる。
その隙間が完全に塞がるには時間が足りない。
満たされれば満たされるほど、その隙間は広がってしまう。
日常。俺にとって必要のないと断じた人間と話すこと。
日常。俺にとって必要のないと断じた人間と過ごすこと。
日常。外殻を纏って、粛々と演じ続けること。
機械のように繰り返すこと、そう難しくはなかったはずなのに。
隙間から吹き込む風は、核にとって生温く気色の悪いもの。