豚袋でございます。

またちょっと間があいてしまいました。ついこの間自分の誕生日を迎えて、それから何となく仕事がたてこんでしまい、ブログに向き合う時間がなくなってしまいました。そしてもう7月。濃密な時間を過ごしているつもりでも、振り返り見ればあっと言う間です。

忘れていましたが、ブログも先月末で3周年を迎えました。3年もやっている割には記事数も少なく、いかに放置を繰り返しているかがわかります(笑)最初の頃の記事を見ると、その稚拙さに恥ずかしくなり、書き直したい衝動にかられます。そういう事ってありませんか？いずれにしろ今後も週刊ブログを目指しながら細々でも続けていきたいと思います。よろしくお付き合いくださいませ。という訳で、4年目のスタート記事は自らをエロジャケでお祝いしたいと思います(笑)ロキシー・ミュージックの「カントリー・ライフ」を取り上げたいと思います。

ロキシー・ミュージックの活動期間は1972年から1983年まで、途中休止期間もありましたが、10年以上に渡ります。メンバーに関してもフェリー、マッケイ、マンザネラはほぼ不動でしたが、あとはメンバーチェンジも多かったバンドでした。その活動を便宜上わけると、

初期　ブライアン・イーノ在籍時代（デビュー～セカンド「フォー・ユア・プレジャー」）

中期　エディ・ジョブソン在籍時代（サード「ストランデッド」～5th「サイレン」）

後期　再結成3名時代（6th「マニフェスト」～last「アヴァロン」）

に大きく分けられるでしょう。もともとロキシーミュージックの初期は、アヴァンギャルドツッパリといえるような、前衛的なロックンロールで遊んでいるといった感じが好きでした。ファーストもずっと前ですが記事にしました。イーノのこのころのヤンチャな感じも微笑ましいです。イーノ脱退後はまた音楽性を変え、アヴァンギャルド性を薄くしていきながらフェリー主導のヨーロッパ的なダンディズムポップ路線というか、そうしたものに変遷していき、後期には確かな演奏・録音技術を極めることに裏打ちされた高度でアダルトな音楽界の金字塔・「アヴァロン」に昇華していった、というのがダイジェストなロキシーのヒストリーではないでしょうか。そんなロキシーの中期の一番過渡的なアルバムがこの4th、「カントリー・ライフ」ではないかと思います。

このアルバムの存在は当然チュウボウの頃から知っておりましたが、聴いたのはもう少しあとでした。さすがにこのジャケットです。保守的な田舎で中学生が買う事はとてもためらわれるのは当然でした。輸入版はジャケットがおとなしいという知識もありましたから、探したりもしましたがなかなかなく、またどうせ買うならやっぱり「エロジャケ」がいいと思いましたので、少し許されそうな年？になってから聴いた待望のアルバムでした。その待望感を失望させることなく、音はこの一曲目からガツンと来ました。

Roxy Music - The Thrill of It All

非常にリズムがタイトというか前のめりの肯定性を感じさせるような、よりストレートなロック色の強いサウンドになっています。初期ロキシーのちょっと捻りのある感じは、フェリーの歌唱法という形で残していますし、絡みつくマンザネラのギターもマッケイのサックスもファーストの「リ・メイク・リ・モデル」から続く系譜を踏襲しています。しかしサウンド全体としては力強さとストレートさで肉付けされ、初期に比べて格段に進歩した感がありました。でもやっぱりロキシーが長けているのは、一曲目にこうしたテンションの高い曲を持ってくるあたりのセンスでしょうね。

Roxy Music - All I Want Is You

この曲などを聴くと、ほのかにアメリカのマーケットを意識してるような部分も見受けられます。当時のロキシーは本国イギリスではすでにビッグネームとなっていましたが、アメリカではまったくといっていいほど受け入れられていなかったようです。このアルバムはそうしたアメリカでの成功を狙おうとしたような片鱗が見受けられます。アルバムのテーマとしても「カントリー・ライフ」のタイトルが示すように、アメリカ的ワイルドライフの想像というか、英国人が解釈するそれを扱っているように思います。ピアノもホンキー・トンキーな調子のものが多いですし、50年代ロックンロールへのオマージュともとれるような曲調も見受けられます。しかしながらアルバム全般を聴くと、やっぱり薄められたとはいえ「ヨーロッパ・デカダン」的な匂いが支配的で、当然アメリカでのセールスもトップ40止まりと狙った割には中途半端な感じだったのではないかな、と想像されます。

実は私は逆にこのアルバムの良さはその「中途半端さ」だと思っています。いや、中途半端というよりも、どこの国でもないカントリーライフのような不思議な感触。アメリカを狙ったのだけど、出来たものがアメリカではなくてまったく着地点のない異国になったのが、偶然とはいえ結果として面白いものになったのではないかと思います。それは決してダサい感触のものではなくて、ロキシーならではのキワモノとお洒落のギリギリの接点。そこがロキシーの「らしい」センスのような気がします。ジャケットもそのあたりを象徴しています。向かって右の女性は元男性です。アメリカが意識にありながらモデルのふたりはドイツ系。アンダーヘアが見えているのか見えていないのか俗悪と芸術のギリギリ。まさにロキシーらしさの真骨頂ではないでしょうか。

ロキシーのアルバムには駄作はありません。それぞれのアルバムに異なるテーマと世界観があるように思います。このアルバムはロキシーのアルバムの中でも、力強さと俗悪すれすれのギラツキ感が感じられ、またあらゆる意味でロック的な熱があるように思います。この後のアルバムではどんどん洗練され、楽曲がどんどん「完璧」なものになっていってしまう訳ですが、このアルバムはヒストリー的にもアヴァンギャルドと洗練の邂逅点であるように思います。だからこそ美しくも異質な輝きに満ちているような気がします。

ラストソングもポップでありながらどこか混沌としていて楽しいです。こちらを聴きつつ本日は締めたいと思います。

それでは、また。

Roxy Music - Prarie Rose

カントリー・ライフ

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ROXY MUSIC / COUNTRY LIFE (1974)