こんばんは、豚袋ライトです。

しかし全国的に寒いですね。ワタクシも少々風邪気味です。皆様もお気をつけあそばせ＾＾2010年初のライト書庫記事は、やっぱり60年代スタートで行こうかと思います。ブルー・チアーのファースト、「Vincebus Eruptum」を取り上げたいと思います。

ところでこのアルバムは、何て読めばいいのだろう＾＾；「ヴィンスバス・エルプタム」でいいのかな？大体意味がわからない、調べても出てこない。英語ですらないかも知れない。造語か？

ブルー・チアーを初めて知ったのはラジオ。多分渋谷陽一さんのサウンド・ストリートだったと思います。流れたチューンは当然「サマータイム・ブルース」！オリジナルはエディ・コクランという50年代のロカビリーのスターの曲らしいのですが、私はオリジナルを聴いたことがありません。この曲は多くの方々のカバーの方が有名ですね。ザ・フーが最も有名で、次がこのブルー・チアーではないでしょうかね。最近はブライアン・セッツァーか。日本でもRCサクセションや子供バンドやらギターウルフやら、いろんな人がカバーしています。

まあ時代を超えた名曲というヤツでしょうね。

Blue Cheer - Summertime Blues

当時は私も高校生だったと思います。初めて聴いた時は、さほどの興味を引かなかったように思います。もっと激しい歪んだギターサウンドを既に経験していた耳には、ファズギターは全然物足りなく思えたものです。ただ、アレンジがザ・フーのものとはかなり違っており、非常に硬質なメリハリの効いた展開だったので何回か聴くうちに「おお、カッコイイじゃないか」みたいに思えてきて、その名前を刻み込みました。でも、アルバムを購入するほどの動機付けには当然ならなかったわけです。

中年になって昨年、ふと思い出したところで購入。初めてアルバムを聴いたというわけですね。中年豚の耳には、ファズの音色は非常に懐かしく思え、また真空管アンプでなくては出せないであろうアナクロで温もり感のあるギターサウンドは、別の意味で心地よさを与えてくれたのでした。

Blue Cheer : Doctor Please

ブルー・チアーの寸評をいろいろ読むと、多いのは「元祖ヘヴィー・メタル」だとか「轟音・爆音」だとかそんな表現が多いのですが、その寸評は正しくないように思います。その表現に踊らされて聴くと絶対失望（笑）もしあるとすればヘヴィー・サイケデリックという言葉が適切かも。そして想像以上にブルース色が強い。ブルースをラウドにラリって演奏したら覚えやすいメロディのハードサイケになった。そんな感じだと思う。

多分68年当時は本当に大きい轟音で演奏していたのでしょうが、暴力的な匂いがしないんですよね。暴力的というよりもカオティックでドラッギーで、しらふな人間にとっては時に冗長な感すらする。でも60年代でなければ生まれえなかった音の典型。多分不世出の異形・偉業なんでしょう。

またクリーム、ジミ＆エクスペリアンスがそうであったように、「トリオ」であったことも重要ではないかと。最小限構成単位からの音であったことが68年のまたひとつの価値であったと思います。

ディッキー・ピーターソン(b&vo)/リー・スティーブンス(g)/ポール・ウェイリー(dr)

翌69年の2nd「Outsideinside」発表後、突如スティーブンスが脱退。トリオというバランスを欠いたバンドは黄金期の終焉を迎えたのでした。あまりに生き急いだバンドでもありました。

このアルバムのラストナンバーを聞いて本日は締めたいと思います。それでは、また。

Blue Cheer : Second Time Around

BLUE CHEER / VINCEBUS ERUPTUM(1968)