こんばんは、豚袋ライトです。

いよいよ本年も数週をを残すのみ、となってきましたね。12月は飲み会の月。毎日毎週何かにつけ飲んでいるような気がする。今年は自粛ムード満点ですけど＾＾；今回のライト記事は、やっぱり60年代の今年の聴きあさりの成果を報告するようにします。前回記事のmarrさんへのリコメで宣言した通り、ライト記事はシルバー・アップルズをとりあげようかと思います。

年代を問わず、こうしたメインストリームからあぶれた異形のものってどうしても興味をもってしまいます。シルバー・アップルズはシメオンとダン・テイラーからなる「前衛電子ポップ・ユニット」。自作のアナログシンセ（ザ・シメオンと命名）とドラムだけの「サイケ」というフィルターを通した電子音楽。エレポの元祖であり、ひいては現在の音響系ポストロックにまでつながる系譜の元祖でしょうな。前にも紹介しましたステレオラブとか、スペースメン３などがリスペクトしているようですね。

このアルバムは彼らの音楽を堪能するに必要充分なファーストとセカンドの２in１のお得な再発盤です。

SILVER APPLES Oscillations & Seagreen Serenades

1968年の音、という時代背景は当然頭に入れ込んだ上で、でも40年前にこんなバンドがあったのが驚き。今聴くにチープな感触の電子音。淡々とリズムを刻み続けるまるで打ち込みのようなドラムループ。ヘタウマ感覚溢れる脱力系ボーカル。たまに見え隠れする効果音とラジオノイズ、サンプリング＆カットアップ。そしてそこはかとなく匂うサイケ・フレーバー。軽くて脱力なヴェルベッツ、みたいな感覚。実に不思議な感触の音です。今の時代ではいくらでももっとスゴイ音があるけれど、時代を考えたら早すぎる音。今のハウス～エレクトロの連中の方法論はすでに40年前に確立されつつあったのでしょうね。

Silver Apples - Ruby (1968)

電子音楽のイメージって、無機的、機械音的なハードで淡々と冷たいイメージがありませんか？自分はどうしてもクラフトワークやインダストリアル系の音のようなものを想起してしまいます。シルバー・アップルズの音は意外なくらい感情的・人間的な部分が強い気がします。

ある時は牧歌的だったり、バンジョーの音が突然出てきたり、何よりザ・シメオンの音色は温かな体温を感じる。そして意外にメロディーがキレイだったりします。その辺がポップな普遍性を演出してるのかも。

アナログで未来を志向しようとしたら、テクノロジーの貧相さからはなからレトロフューチャー的な音になっててデジタルな時代が過去に遡ってアナログなものとの融合を果たした今の音と結果が一緒になっちゃった、みたいな。だから今聴いておもしろい音なんじゃないかと思います。今くらいが聞くのに旬なのではないでしょうか。そのワークは多くのアーティストに方法論含め、絶大な影響力を持つ事実を確認できたような気がします。

彼らはセカンドのコンタクトをリリースしたのち、70年にサードアルバムを作成しますが、レコード会社が大手レーベルに吸収されてしまってお蔵入り、そのまま日の目をみることなく解散したようです。1990年代半ばにアルバム再発から盛り上がり再結成、多くの賞賛を浴び、お蔵入りのサードもついに発表。盛り上がりを見せましたが、1999年に交通事故に巻き込まれシメオンが首を骨折。活動停止。2004年に再起するも以前のようにキーボードは弾けず、その後2005年にテイラーが死亡、と波乱のヒストリー。しかしながら多くのミュージシャンからのリスペクトを受けながら、シメオンは今でも活動中との事です。

最後に「あなたとわたし」というどこにでもあるフレーズの曲を聴いて今日は締めますね。それでは、また。

Silver Apples- "You and I" (1969)

ライトノオマケ

今日のオマケはラストナンバーの「あなたとわたし」というフレーズから想起した映像など…
「あなたとわたし」と言えば「きみとぼく」つつんつつのだのテーユー号。。。古っ（笑）

ツノダ自転車・テーユー号 CM

SILVER APPLES / SILVER APPLES/CONTACT (1968/196