『がたんごとんがたんごとん』
作 安西水丸
出版社 福音館書店
定価 ¥700+税
眉毛をぴんとつり上げて、口をきゅっと結んで。
ちょっぴり険しい表情をした汽車が、がたんごとんと走っています。
そこへ「のせてくださーい」とやってきたのは、哺乳びん。
すこーし穏やかな表情になった汽車は、
哺乳びんを載せて、またがたんごとんと走り出します。
次にやってきたのは、コップとスプーン。
「のせてくださーい」
あらら、汽車はなんだかまた険しい表情に・・・重たいのかな?
一生懸命走っています。
赤ちゃんの身近なものが、次から次へ「のせてくださーい」とやってきます。
切り絵のような技法で、シンプルなフォルムと分かりやすい色使い。
1987年に発売されて以来、
赤ちゃんだけでなく、少し大きくなった子どもたちにも変わらぬ人気の作品です。
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当店がある豊中市のブックスタート事業では、
4か月検診の際に3冊ある絵本の中から1冊選ぶことができます。
『じゃあじゃあびりびり』、『いないいないばあ』と並び、
そのうちの1冊がこの『がたんごとんがたんごとん』です。
小さなお子さんをお連れのお母さんとお話していても、この絵本について
「読み終わったとたん、もっかい!って言うんです」
「もうぼろぼろで、破れているところもあって、セロテープを貼って読んでいます」
「赤ちゃんのころ大好きだった絵本で、今でもたまに棚から出してきます」
と、あたたかいエピソードを度々お聞きします。
そんな馴染み深い絵本だからかもしれませんが、
子どもたちが電車ごっこやミニカーで遊んでいるときに「のせてくださーい」と言うのは、
この絵本がきっかけ?と思ったりもします。
安西水丸さんは、
30代のころ、嵐山光三郎さんと初めての絵本『ピッキーとポッキー』を発表され、
絵本以外にも漫画や小説などを手掛けられてきました。
絵本に出てくる動物や擬人化された乗り物や果物は、
素朴ながら表情の変化が絶妙で、見れば見るほど愛嬌があります。
だからか、私は安西さんの絵本を読んでいると、
なんだかほっとした気持ちになって、朗らかに進もう!なんて気分になります。
安西さんの絵本は、
これからもずっと子どもと大人をつないで、
子どもと大人との間に、あたたかい時間を作ってくれるのだと思います。
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絵本屋 pieni silta (ピエニシルタ)
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