旦那さんの事が、まだ好きだった頃。


浮気相手のマンションを知ってから、

そのマンションの前を通れなくなった事が有った。


近付くだけで、心臓が躍った。

息が出来なくなった。


相手を助手席に乗せた旦那さんの車に、乗られなくなった。


ご飯が食べられなくなった。


眠る事が出来なくなった。


泣いているつもりもないのに、涙が止まらなかった。


情緒不安定な時期が、かなり続いた。


まだ母が生きていて、

週2回、病院に泊まり込んでいる頃だった。


10月5日。

この日になると、蘇る。


浮気相手のご主人が、私の会社に乗り込んで来た日。


沢山の罵声を浴びた。


心が壊れていくのを感じながらも、

どこかで、他人事の様にさえ思えた。


あんなに、好きだった旦那さんへの想いは、

もう、忘れてしまったけど。


10月になると、少し、胸が痛む事がある。


それは、秋のもの悲しさのせいかも知れない。