介護をしていた時のお話です。
2006年から11年ほど、
訪問介護をしていました。
 
  
暑い夏がやってくると
いつもある利用者さんのことを思い出します。
 
 
「こんにちは〜フローネです〜!
おじゃまします〜!」
と言いながら上がっていくと
 
 
「暑かったやろ〜エアコン入れたろ〜」
ってすぐに冷房を入れてくれてました。
 

 
「あれ〜 こんな暑いときは
私らくる時じゃなくてもエアコン
入れて涼しくしとってね〜。」
 
 
っていうと、「うんうん。」と
笑顔で言うけれど、
入れないんですよね。
 
自分ひとりの時は
窓を開けて扇風機ですます。
 
 
  
 お刺身が大好きで
お昼はいつもお刺身とごはん。
あと、煮物少々・・。
 
 
お風呂に入るのを手伝って
背中を流し
湯船に浸かっている間
見守りながらたわいもない話をする。
 
 
お風呂から上がったら
いつものお刺身とごはん。
 
 
掃除もええから
なんもせんでええから
ここに座って一緒にご飯食べな
  
 
 
っていつも言ってくれる
優しいおじいちゃん。
 
 
 
鯵を刺身にする時の
包丁さばきはかっこよかったな。
 

「あんたにも教えたろ」
と言って、鯵のさばき方を
優しく教えてくれて、
今でもちゃんと覚えています。
 
 
 
いつも穏やかなおじいちゃんでした。
 
 
男手一つで3人の娘を育て
その娘さんたちは
あまり来てくれてはなかったみたいだけど
 
 
愚痴もこぼさず
日々、淡々と過ごしているように
わたしには見えました。
 
 
 
心に思うことは
沢山あったのかもしれない
 
 
だけど
私たちヘルパーとの時間を
とても大切に過ごしてくれてました。
 
 
 
涼しいエアコンの効いた部屋で
ずっと冗談を言い合って、
笑いながら過ごした時間。
 
 
たくさん元気をいただいてました。
 
 
記憶の中では
すぐにあの時代のあの場所に戻れるけど
現実の中には、もうおじいちゃんはいない。
 
 
自分が年をとるということは
貴重な体験をした先輩たちの旅立ちを
見送ることが多くなるということ。
 
 
決して順番ではないけれど・・。
 
 
夏の暑さを感じると
必ず思い出す、優しい利用者さん。
 
 
お盆には帰ってくるのかな?
 
 
帰ってきたら、ちょっと合図してほしいな。
  
 
あの時は、ありがとう。って
伝えたいから。