月夜の晩に、ボタンが一つ
波打際(なみうちぎわ)に、落ちていた。
それを拾って、役立てようと
僕は思ったわけでもないが
なぜだかそれを捨てるに忍びず
僕はそれを、袂(たもと)に入れた。
月夜の晩に、ボタンが一つ
波打際に、落ちていた。
それを拾って、役立てようと
僕は思ったわけでもないが
月に向ってそれは抛(ほう)れず
浪に向ってそれは抛れず
僕はそれを、袂に入れた。
月夜の晩に、拾ったボタンは
指先に沁(し)み、心に沁みた。
月夜の晩に、拾ったボタンは
どうしてそれが、捨てられようか?
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
浜辺に落ちていたボタンが月の光りに
照らされて、とてもきれいに見えたのでしょう。
この詩は、2歳の子供を亡くしたときに
作ったといわれているので
何か、メッセージのようなものを
感じたのかもしれません。
月夜の晩は何か特別な気がして
何か月がささやいてくれてるような
守ってくれてるような気がします。
そこで見つけたボタン。
それを大事に持って帰った。
中学のときなのに、なんだか妙に
彼の気持ちがわかるような気がして
ずっと、ずっと心にありました。
みんなの中にもあるかもしれませんね。
小さなころに浜辺で拾った小石。
道端で拾ったきれいなどんぐり。
それらに何を見たのかはわからないけれど
それらを見るだけで嬉しくなる。
癒される。ほっとする。楽しくなる。
そんな特別ななにかが。
何か寂しげな、でも強い愛がある。
そんな気がして、わたしはこの詩が大好きです。
他の詩は知らないんだけどね(笑)
なんだかわからないけど、これ好き。
っていうものがあったら教えてください。
そこに何かが隠れているかも知れません。