*Forever and ever*
りかさんのブログ開設半年を祝う
りかさんとピコのコラボリレー
【コラボ名】 PIKA*Chu
【リレータイトル】 秘めやかな想い
PIKA*Chuコラボリレー第4章*the end of troubles*2話目です!!
副題は「波乱の終焉」という意味ですが、この中には「葛藤の終焉」という意味も含まれてます。
誰の葛藤かは、読まれた方がご判断下さい
今回は、以前から一度書いてみたかったシーンを、企画段階から書かせてほしいとりかさんにお願いして実現したピコの気合の入った力作です。
(でも相変らずの駄文)
但し、これは好き嫌いがわかれるお話なので、先にネタバレ。
尚が真剣にキョーコちゃんに告白してフラれる三角関係のお話なんです。
この章では、こうあって欲しいとのピコが理想とするカッコいい尚を書きました。
(でもフラれるんだけど)
なので、『尚が嫌い』な方には、受け入れられないかもしれませんので、ご注意を。
前回と今回のピコ担当の2話が、その部分に当たりますので、苦手な方は飛ばして、3話のりかさんのパートからお読みください。
先のネタバレだけ理解していれば、お話は分かると思いますm(_ _ )m
今回は難しかったけど、いっぱい悩んで時間をかけて書きました。
こんな尚もいるのかと、お楽しみいただければ幸いです。
まだお話を読んでいない方は、こちらの案内↓よりどうぞ。
PIKA*Chu更新案内
秘めやかな想い*the end of troubles* 2
・・・・ん・・・・?・・・・誰か下にいるのか?
なにか…言い争っているみたいな声が聞こえる。
参ったなぁ…
こんな所でもめ事に巻き込まれるわけにもいかないし…
しょうがない。
ここから外に出て、エレベーターで下まで降りるか。
ドアノブに手を伸ばそうとした時、どこからか聞き慣れた笑い声が聞こえて、慌てて辺りを見回した。
えっ・・・・まさか・・・・・最上さんの笑い声?
どうしてこんな所で、聞こえるんだ。
誰かと話しているのか?
耳を澄ませながら、慎重に下へと降りていくと、僅かに不破らしき男が垣間見えた。
えっ?
どういう事だ?
どうして、あいつがここにいるんだ?
「・・・・・・・・・・・・終わったのよ。」
やっぱり、最上さんの声だ。
不破と話してるのか?
「・・・・・・・・お前が好きだ!お前しか愛せないんだ。」
つっ!
不破は今更、何、ふざけた事を言ってるんだ!
急いで、下まで階段を下りていくと、不破の腕の中で首を横に振っている最上さんが見え、そこで足を止めた。
「無理だよ…今更そんな風に言われても…私…もう…あんたの事は・・・・」
固唾を飲んで、蓮はキョーコの次の言葉を待っていた。
「俺じゃあ、もう駄目なのか?お前の王子様にはなれねぇのか!?」
「しょうちゃん・・・・ごめん・・・・」
「あいつか・・・・やっぱり・・・・あいつの事が好きなのか?」
辛そうな顔で聞く不破に、コクンと頷いている最上さんの姿を見て、蓮は心臓が跳ね上がった。
それって…もしかして・・・・・俺の事?
キョーコは、蓮が聞いているとも知らずに、素直に心の内を明かしていく。
「私ね…ずっとあんたの事が好きだと思ってたけど、あれは愛じゃなかった。
ただ・・・・寂しさを埋めるためにショータローを利用してたの。だって、アンタが他の女と遊んでいるとわかっていても、悲しかったけど我慢して笑えたわ。でもね、敦賀さんは違うの…辛くて、苦しくて、笑うなんてできないの…忘れようと思っても、忘れられなくて、顔を合わさないように逃げても、やっぱり会いたくて、誰かの身代わりだとわかっていても、抱きしめられると嬉しいの。」
僅かに見えるキョーコの表情が辛そうで、蓮は訳が分からなくなってしまった。
えっ?身代わり?
最上さんは、何を言ってるんだ。
そう言えば…さっきも、おかしなことを言っていた。
一体彼女は、何を勘違いしているんだ。
蓮が昼間のやり取りを思い出している頃、ショータローもまたキョーコの言葉に混乱していた。
キョーコの両肩を掴んで、身体を少し離すと顔を覗きこんだ。
「身代わりって、どういう事だ?こんな目立つところに自分の痕つけられて、付き合ってないのか?まさか…本当に遊ばれてるのか!」
「そうかもしれない…私なんかに本気になる男の人なんていないんでしょ?あんたも以前、そんな事言ってたもんね。」
「あれは・・・・違う。お前があいつに本気にならないように、わざと言ったんだ。それに多分・・・・あいつは…だいぶ以前からお前に気持ちは傾いているぞ。ただの後輩に、わざわざ自分の立場を悪くする様な真似はしない筈だ。」
俯くキョーコから垣間見える耳の裏の痕を指さして、切なそうにショータローは笑った。
「これは私への戒めで、決して愛だとか恋だとか、そんな甘いものじゃないと思う。」
「お前なぁ…そのからっからっの恋愛曲解の脳みそを何とかしろよ!昔から肝心な所は全然見ないで、いつも自分の都合のいい方ばかりに捻じ曲げているめでたい奴だったのに、一体どうしちまったんだ!今はその欠片もない。」
「誰のせいで、そうなったと思っているの!」
ムカッとなったキョーコは顔をあげて、ショータローを睨み付けると、悲しげに顔を歪めるショータローと目が合った。
「ごめん…でもな・・・お前はもっと自信をもってもいい。何しろこの俺様を本気にさせた女なんだからな。」
「全然、嬉しくない」
プンと顔を横に背けると、ショタローの表情も緩んでいく。
「ひでぇやつ・・・・フラれた男に言う言い草かよ…」
「だって、アンタが言ったんじゃない!地味でつまらねぇ女って…」
「それは・・・・あの時はあまりにも子供すぎて、何もわかってなかったんだ。
お前は、いい女だよ。この俺を・・・そして、あの敦賀までを虜にしてしまった・・・
極上の女だ!」
「ほん、とうに?」
「ああ…そうでなかったら、なぜ今頃になって、カッコ悪いのを覚悟で、お前に告白するんだ。本当にお前が欲しくなったからだろ。今度は聞いたんじゃない。俺が心から求めて、お前に言ったんだ。」
「キョーコはいい女だ。俺がトップに立った時も、連れて歩きたいほど、とびっきりのいい女だ。自信をもて、キョーコ。」
「・・・・うん・・・・ありがとう・・・・しょうちゃん。」
素直に頷くキョーコが、昔の自分だけを見てた頃の姿に重なって胸が疼く。
やっぱり・・・・あいつには、渡したくねぇ…
「なぁ…そんな中途半端にしか思われてない男なんかやめて、俺にしろよ。俺だったら、もう二度とキョーコを泣かせたりしない!今度こそ大切にする。
本当に・・・本当に・・・・・好きなんだ・・・・」
懇願するような目で見つめて、黙って俯いているキョーコにゆっくりと手を伸ばして、抱きしめようとした瞬間、堪らず一気に階段を駆け下りた蓮は、二人の間に割って入った。
「最上さん!そんな所で何してるの?」
「・・・・つ・・・・つ・・・・つるが…さん・・・・」
やだ・・・いつから見られてたの…
誤解されたかしら?どうしよう…
「おや、不破君、こんな所でどうしたのかな?また・・・・最上さんに因縁をつけてたんじゃないだろうね。」
いきなりやって来たもう一人の主役の登場に驚いた尚は、キョーコからパッと手を離して、1,2歩後ろへと下がった。
階段を2,3段上がった所で足を止めて声をかけてきた蓮と
その下の狭い踊り場で向かい合うショータローと
キョーコが小さな三角形になっていて、今の状況を如実に表している。
こいつ…何、すかした顔で聞いてくるんだ。
絶対に俺達の会話を聞いていただろ。
そんなんだから、キョーコがおかしな勘違いをしてしまうんだ。
恋愛に余裕なんてものは、邪魔なだけって、わかってないのか。
ならば、教えてやるだけだ。
「おはようございます、敦賀さん。大スターの貴方がこんな所から降りてくるなんて、また盗み聞きですか?」
瞳の奥が刺すような冷たい光に変わっていくが、まだ笑みを絶やさず、蓮は静かに答えを返した。
「言いがかりは止めてくれるかな。最上さんを迎えに上まで行ったんだけど、会えなくてね。行き違いになったみたいだったから、最上さんを捜しに来ただけだよ。
一応、人目につくのもまずいかと思って、階段を使って降りてきたんだよ。そしたら、最上さんの声が聞こえたので、ここまで降りてきたんだ。会えてよかったよ。」
ニコリとキョーコに微笑みかけると、言葉なく、固まった表情のまま目を逸らして下を向いてしまった。
その様子を見た不破は、口元に不敵な笑みを浮かべて、蓮に挑戦状を叩きつける。
「ふ~ん その割には、タイミングよく降りてきたな。まぁいいや、あんたに言いたいこともあったから、丁度良かった。」
じろりと見るその顔つきは、温厚紳士と評判の男とは思えないほど凶悪なものに変わっていた。
「こいつをアンタの遊びの相手から解放してやってくれないか。敦賀さんなら、相手に不自由はしないだろうから、問題ないだろ。キョーコは、昔から不器用で、思い込みの激しい奴だから、中途半端な気持ちでこいつに近づかないで欲しいんだ。」
「お前に言われなくても、そんな事はずっと前から知っている!それに、俺は最上さんを遊びだなんて、一度たりと思ったことはない!」
「ふ~~ん、だが、こいつはそうは思ってないそうだ。自分は誰かの身代わりだとかも言ってたしな。どうしてこいつがそう思っているのかは知らないが、アンタ…・・・なにか隠しているんじゃないか?だから、、キョーコはアンタを信じられないんだ。大体キョーコの迷惑も考えずに、こんな目立つ場所に痕つけるなんて、どうでもいいと思ってる証拠だろ。」
「それは・・・・・」
「こいつは昔から俺のものなんだ!いい加減な気持ちで近づくのは止めてくれ!」
一触即発の雰囲気にキョーコは慌てて二人の間に割って入り、蓮を庇った。
「ショータロー違うの!敦賀さんは、全然悪くない!私が勝手に勘違いして、思い込んでるだけなの!敦賀さんはいつも私を気にかけてくれる・・・優しい先輩よ!」
困惑の表情から一転して、ほの暗い空気が漂い始め、ピリピリとした怒りのオーラがキョーコを包み込んだ。
「先輩?最上さん、それどういう意味?俺は君にとってのただの先輩でしかないの?俺の事、そんな風に思ってたの?」
「・・・・・・・・」
何も言えずに、俯くキョーコの腕を素早くとって、ショータローは強く抱きしめた。
「もういいだろ。そんな辛そうな顔をさせる奴なんか放っといて、俺の所に戻って来い。昔みたいに笑って、隣で俺がトップミュージシャンになるのを見守ってくれ。」
「もう…遅いの…お願い…離して!私に触れないで!私はあんたのものじゃない!私に触れていいのは敦賀さんだけ!敦賀さんじゃないと駄目なの敦賀さんしか欲しくない・・・遊びなんていやっ・・・誰かの身代わりなんてイヤッ…私だけを見て欲しいの・・・・愛してもらいたいの!!」
ショータローの腕の拘束を外そうとジタバタするキョーコに顔を近づけて、ニヤリと笑った。
「言えたじゃん。やっと素直になれたな。それでこそ俺のキョーコだ。」
「へっ?」
言われた意味がわからず動きを止めて、ぼんやりショータローを見ていると、どんどん頭が近づいてきて、チュッと唇にキスを落とされた。
「幸せになれよ。」
キョーコにだけ聞こえる様に小さく囁くショータローが、目の前からいきなり消えて、視界がまた真っ暗になった。
「不破ぁ!!」
蓮は、一度は不破の勢いに怯んでしまったが、キョーコにキスをする姿を見て、怒りのままに不破を引きはがして、キョーコを抱きかかえ強く睨んだ。
突き飛ばされた尚がその場に腰をついたまま、鋭い目でにらみ返す。
再び緊張した空気が2人の間に流れ出す。
高まる緊迫感の中、キョーコもまた一人混乱の渦に落ち込んでいた。
どうしよう…
二度目はないよとあんなにきつく言われてたのに、また、されてしまった・・・・
それも敦賀さんの目の前で!
嫌だ!
今すぐこの場から消え去りたい。
でも・・・・
今逃げたら、きっとすべてを失ってしまう。
頑張らないと…
でないと、せっかくショータローがくれた勇気が無駄になってしまう。
キョーコは、蓮の胸の中で小刻みに震えながらも、縋る様に蓮のシャツをギュッと握りしめた。
「痛ぇな…あんたは、加減という言葉を知らないのか…全く…」
埃を振り払いながら、ふらふらと尚は立ち上がり、二人を見た。
相変らず睨み付けている蓮と彼の腕の中におとなしく納まっているキョーコの姿が尚の胸を締め付ける。
「はぁ~~ 世話の焼ける二人だなぁ… 敦賀さんよ、あんた、俺にそんなに敵意むき出しで睨み付けるよりも、先にすることがあるだろう。早くこいつの誤解を解いて、なんとかしてやれよ。女一人まともに愛してやれなくて、何が抱かれたい男NO.1だ。だせぇ~ 情けなさすぎて、笑えてくるぜ。」
呆れて笑っている振りをして、額に手を当て顔を隠し、泣きそうになっている顔を見られないようにした。
こんな顔…絶対にキョーコには見せたくねぇ。
同情なんて真っ平御免だ。
あいつには最後まで、カッコいい不破尚でありたい。
今できる精一杯の虚勢を張り、ポケットに手を突っ込んで胸を張ると、ゆっくりと二人の横を通り過ぎて行った。
身構えていた蓮は、擦れ違いざまにかけられた言葉に、ハッとなって振り返る。
「キョーコを裏切るような真似したら、今度は俺がぶっ飛ばしてやるからな。」
それは、精一杯のキョーコを思いやる尚の言葉だった。
「不破君!」
蓮の呼びかけに、立ち止まった尚は振り返ることができなかった。
こんな無様な姿でいつまでも舞台に上がっていられるほど、本当の自分は強くないとわかっていたからだ。
3へつづく
次回は、りかさん宅にて、7/22(月)23時公開予定です!
ただいま、スキビランキングに参加中!
応援よろしくお願いします。
スキビ☆ランキング
←皆様の愛のポチッがピコの書く気をUPさせます!
欲張りにも拍手も付けちゃった
よかったよと思いましたら、拍手いただけると嬉しいです。
←こっそりおまけつき