*Forever and ever*
りかさんのブログ開設半年を祝う
りかさんとピコのコラボリレー
【コラボ名】 PIKA*Chu
【リレータイトル】 秘めやかな想い
PIKA*Chuコラボリレー第3章最終話!
前回、りかさんより無茶ぶりな所でぶった切られてぶん投げられたバトン
何とか繋げました~
相変らずの駄文ですが、どうぞお楽しみください。
まだお話を読んでいない方は、こちらの案内↓よりどうぞ。
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秘めやかな想い *each other* 2
僅かに零れる吐息と互いの唇が重なり合う水音だけが
静かな部屋に響き渡っていた。
責めるように叩いていた拳が
今は…
縋るようにシャツを握りしめ
そして…
愛おしむように手が背中に這わされていった。
この前は、最後まで拒絶の色を失くさなかった彼女が、
今日は自分の口づけを受け入れて、応えようとしてくれている。
堪らなく込み上げてくる愛しさに、まわしていた彼女の後頭部を何度も撫でて、
彼女の髪を梳いていく。
唇が離れると、また元の関係に戻ってしまう気がして、啄むようなキスを何度も繰り返していった。
「どうして・・・・」
キスの合間にふと漏らした彼女の言葉に唇を離して、瞳を覗き込んだ。
「どうして・・・・私が…あなたのキョーコちゃん・・・なんですか?
敦賀さんは、私を一度もキョーコちゃんとは呼んだことはないのに…」
不安に瞳を揺らし、それでもまっすぐに見つめてくる彼女が嬉しくて、
思わず笑みが零れでる。
「ふっ・・・・やっと、ちゃんと俺を見てくれたね。」
「ほへっ?」
目を細め、包み込むように優しく笑うその顔は、神々スマイルで、
さっきまでのピリピリした鋭利な雰囲気は消えていた。
「ずっと君は逃げてばかりで、俺とまともに目も合わせてくれなかったから、少し凹んでいたんだ。もう…嫌われてしまったのではと、不安になってたから…ちょっと安心した。」
「別に・・・・嫌って…なんかいません。」
目を逸らして俯く最上さんの首筋が赤くなっているのが
どうしようもなく可愛くって、自分の目線に入った彼女のつむじにチュッとキスを落とせば、びっくりしたように両手で頭を抑えて睨み付ける彼女と目が合った。
「くっくっくっ・・・・・可愛い…」
そんな焦って怒る仕草まで愛おしくて、尖らせた唇にキスを落とすと、
彼女の右腕をとって、自分の胸に掌を置いた。
「どう…ドキドキいってるのわかる?」
鍛え上げられた筋肉の向うから、忙しなく動いている心臓の音が
私と同じくらい早くて、強張った顔が緩んでくる。
「ねぇ…最上さん、おれはね、本当に、君のこと…」
『コンコン』
二人だけの世界をいきなりぶち破る、ノックの音が現実に引き戻した。
「蓮、すまん!!先方の都合で、今すぐの打ち合わせに変わったんだ。
悪いが、すぐに移動するぞ。」
「はい、わかりました。すぐに準備をしますので、社さんはそこで待っていてもらえますか?」
「ああ…わかった。」
「最上さん、ごめんね。そういう事だから、続きはまた今度ね。」
「はい、お忙しい所をお時間とらせてしまい申し訳ございませんでした。」
蓮の腕の中でペコリと頭を下げて離れようとしたが、腕を引っ張られまた強く抱きしめられた。
「やっぱり・・・・今夜、少しでも構わないから君の時間をもらえないか?
やっと最上さんが俺を見てくれたのに、また時間がたったら、君は全部なかった事にしてしまいそうで・・・・怖い・・・・」
「敦賀さんが?」
ぎゅっと抱きしめて、キョーコの髪に顔を埋めると力ない声で呟いた。
「今、君をここで手離したら、二度と、会えなくなる・・・・気がする。」
「・・・・・えっ?・・・・どうしてそんな風になるんですか?敦賀さん…本当に、今日はおかしいですよ?」
「そうかもね・・・でも、君とゆっくり話したいと思ってるのは、本当だよ。」
覗き込む蓮の瞳は懇願の色を宿していて、キョーコは黙って頷いた。
「今日、私はこの収録が最後ですので、23時には上がれますが、敦賀さんはもっと遅くなるんですか?お時間指定頂ければ、私がお家に伺いましょうか?」
「いや、俺が迎えに行くよ。また後で連絡するけど、23時にはここに戻れるようにするから、待っててね。」
「はい。」
今度こそ離れようと身体を離せば、蓮の顔も近づいてきてキョーコの髪をかき上げると、耳をクチュッと啄んだ。
「痛っ!」
右耳の上をカプッと噛まれてそのまま強く吸われて、思わず声が出たが、それが何をされたのか気づくと、顔の熱は上り、鼓動が速まっていく。
どうしていいかわからず、離れていく蓮の顔をぼんやり見つめていると、ほのかに香る夜の帝王顔で、爆弾が落とされた。
「約束。君が忘れたりしないように、ここに刻み付けたからね。」
耳を指でそっと撫でて、真っ赤になって反論しようとするキョーコの唇をまた塞いでしまった。
「じゃあ、後で電話する。」
「はい///」
もう・・・・
身代わりだとか
遊びだとか
考える余裕もなくて、
ただ敦賀さんに与えられる温もりに甘えて、促されるままに頷いていた。
二度目のキスは、とても甘やかで混乱に満ちていて
解放されて部屋を出ても、頬の熱はおさまらず、外で待っていた社さんと目も合わせられないまま頭を下げて、その場を逃げ去ってしまった。
*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆
「いけない…思ったより収録が長引いちゃった。もう敦賀さん、こっちに着いちゃったかな…急がないと。」
収録が終わって、控室に戻ると、仕事が終わったので、こちらに向うからと、簡単なメッセージが入っていた。
手早く身支度を整えると、敦賀さんに少しでも早く会いたくて、駐車場へと急いだ。
私…何、浮かれてるんだろう?
いくら敦賀さんが違うと言ったって、何も変わらない。
私は、キョーコちゃんじゃないんだから…
キューンと胸が締め付けられて、急いでいた足を止めると、さっきつけられた耳に手を当てた。
約束…って…言ってたな・・・・
会えば、今度こそ、私の疑問にも答えてくれるのかしら?
そしてまた・・・・
どんどん湧き上がる不埒な妄想に、思わず『いやぁ~』と真っ赤になって叫び、
頭を激しく横に振って、XXをかき消していると、突然、後ろから頭をはたかれた。
「痛っ!!何するの!」
ムカッとなって振り向くと、そこにはイラついた様子のショータローが立っていた。
「何が痛いだ!俺様が何度呼んでも返事もしないで、ぼぉ~っと一人で、夢の世界へと旅立ちやがって!ここはまだ家じゃないぞ。夢見るなら、家に帰って、布団の中にしとけ。」
「何ですって!ちょっと考え事してただけじゃない!人を夢遊病者みたいに言わないでくれる!それよりなんで、アンタがここにいるの!」
「俺も収録だったんだよ!さっき、そこでお前の姿が見えたから、わざわざ声をかけてやろうと、追いかけてやったのに、お前ときたら、ぼ~っとしやがって、俺が呼んでも振り返りもしない。だから現実に引き戻してやったんだ。感謝しろ。」
「余計なお世話よ!大体なんでお忙しい売れっ子アーティスト様が、私なんかを追いかけてくるのよ!暇なの!」
「何だとぉ!せっかく俺様が、遅くまで働いてせこせこと小銭を稼いでいる貧乏タレントに、たまには美味しいものでもご馳走してやろうと思ったのに、何て言い草だ!どうせ、お前の事だから、帰っても誰も待ってないんだろ。来いよ!ついでに帰りも送ってやるから!」
「結構です!それに今夜はこの後、予定もあるのでご心配なく!ふんっ!」
プイっとショータローから顔を背けて、横を向くと、あいつの雰囲気がどんどんおかしくなっていった。
「お前…これ・・・誰につけられたんだ?」
「はっ!」
慌てて耳を隠したが、その手を捻じり上げられて、そのまま勢いよく壁へと押しやられた。
「まさか…あいつじゃ…ないだろうな…俺に、約束したよな。あいつだけは有り得ないって…なのに、何故、こんなとこに印つけられて、浮かれてるんだ!」
「浮かれてなんか・・・・・いない!私は…ただ…」
「私は、ただ、何なんだよ?」
ふるふると唇を震わせて言いよどむキョーコに、謂れのない不安が押し寄せてきた。
まさかこいつ…本気であいつの事を・・・・
カァ~っと頭に血が上り、掴んだ手に力が入る。
痛みに歪むキョーコの顔に近づいていくと・・・・
駐車場の入口の方から、ワイワイと騒いでいる足音が聞こえてきて、慌ててキョーコを引っ張り、近くの非常階段の扉の向こうに飛び込んだ。
「ちょっと何するのよ!いい加減手を離してよ!痛いじゃない!」
捕まれた手を振り切って、外へ出て行こうとするキョーコを腕で囲って、もう一度聞き直した。
「お前…これ…あいつに・・・・つけられたのか?」
切なそうに聞いてくるショータローに驚いたが、頷くこともできずに、
黙って視線を外した。
どうして、そんな顔で私を見るの?
そんな顔で見られたら、私は・・・・・・・・
先程の集団らしき足音が近づいてきて、
二人は気配を消すようにそっと息をのんだ。
数人の男女の声が廊下中に響いていたが、やがてまた静まりかえる。
どんどん遠ざかって行く足音の中に、蓮が混じっていたことを、
その時の二人は知る由もなかった。
【おわり】
次回4章の1話目は、こちらにて7/8(月)23時公開予定です。
ピコの回が続きますが、次回のお話はピコがどうしても書きたくて
お話の構成を二人で話し合っている時から、是非書かせてほしいと
お願いしたパートなんです。
ピコばかりが書いてしまい、りかさんファンには申し訳ないのですが、
見捨てずに読みに来ていただけると嬉しいです。
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