蓮キョ☆メロキュン推進!『ラブコラボ研究所』
企画第八弾!!『新春!蓮キョ☆メロキュンカルタ大会』にまたまた参加♪
今回も、江戸いろはかるたをパロった蓮キョ変換第2弾です
それも、ホップ・ステップ・ジャンプの3部作(自分の遅文も顧みない、なんて無謀な試みなんでしょう!)
絶対締切に間に合わないよ~
勢い余って1月を飛び越すのは目に見えてますが、気長にお付き合い下さい。
まずはホップ!
『嘘から出たまことのアイラブユー』
「 ガチャッ 」
「バタバタバタバタバタバタ・・・・・・・・・・」
「おかえりなさい! 誠一郎さ~ん!」
「・・・・・・・・・・・・・・ 却下! やり直し! 」
「ええええ~~~っ!!! どうしてですか?新婚さんらしく、可愛くお迎えしたじゃないですか?」
「普通ならね。ただ優花は誠一郎の事が大好きで大好きで仕方がないんだ。18歳の優花が30歳の誠一郎が仕事から帰ってきた時、優花ならどうする?本当にこんな平凡な迎え方をするのかな?キュラキュラキュラララ」
「いえ・・・・それはもう嬉しくて転がる様に抱きつきます・・・・」
「うん、そうだね。じゃ、それを踏まえてもう一度やり直し。」
「はい!」
「 バタン!! コツッ コツッ コツッ コツッ・・・・・・ 」
*********
一体なぜ私たちは今、こんな恥ずかしい新婚さんごっこをやる羽目になったのか
それは、2週間前に二人に来た1本の連続ドラマのオファーがきっかけだった。
いつも薄汚れた白衣を羽織り地味で変人の研究一筋!大学助教授 誠一郎(蓮)が、ひょんなことからお見合いした女子高生優花に好かれてしまい、猛アプローチの末、結婚。それからの新婚生活を描く漫画を原作としたラブコメ風味のホームドラマだった。
「敦賀蓮がコメディーに初挑戦!」
「美緒やナツなどのイジメ役で、一躍時の人となった京子が今度は人妻!?」
などと放送前から何かと話題になっていたこのドラマは、クランクイン前から私の頭を悩ませている。
『新婚のおさな妻!?』 『超甘えたのド天然!』 ですって~~!!
有り得ない!想像できない!絶対無理!
先生からは与えられた役は逃げずに、何でもチャレンジしてみなさいと言われたけど、これはさすがに無理!
その上こんな危うい精神状態の時に、よりによって相手役が敦賀さんだなんて冗談にもならないわ。
一体どんな顔して、敦賀さんに会えばいいのよ。
その頃の私は、敦賀さんへの想いを完璧に鍵をかけなおす為に、極力会う事は避け、ひたすら逃げ回っていたからだ。
だから今回も、敦賀さんの相手役のオファーが私に来てると彼の耳に入る前に、速やかにお断りして、逃げるつもりだった。
なのに!!
いつのまにか捕獲されてしまい、なぜか敦賀さんの家で実践練習となってしまった。
(え~い! もうやけくそよ! あの超ブラコンのセッちゃんができたんだから、優花だって出来る筈。
演技に入っちゃえばいいのよ! そうすれば、私の※O#$&¥な思いも関係ないわ。)
「私は、優花。大好きな誠一郎さんが帰ってくるの。
早く会いたいよ・・・一分一秒でも長く傍にいたい・・・触れていたい・・・・・」
目を瞑り呪文のように唱え続ける。
***********
「コツッ コツッ コツッ コツッ・・・」
「はっ!」
「バタバタバタバタバタバタ・・・・・・・・・・」
「ガチャ」
「おかえいなさ~い!!」
ドアもまだ開けきらないうちに、廊下から走ってきたキョーコは、そのままの勢いで蓮に飛びついて、頬にお帰りのキスを落とした。
蓮はキョーコの勢いに圧倒されながらもそのままキョーコを落とさないように抱きしめ、右腕にお尻をのせてマリアを抱くように大切そうに抱きかかえる。
急に上体が上がったキョーコは驚いて、小さな悲鳴をあげると落ちないように蓮の首にしがみついた。
(つ・・つ・・敦賀さん!貴方は、なんてことをなさるんですか!?私は子供じゃあないんですよ。
それに・・・て・・手が、私のお尻に・・・・いやぁ~~~!!!恥ずかしい・・・
って、こんな貧相な身体に触れている敦賀さんの方が迷惑かしら?)
(で・・・でも・・・やっぱり・・・・いやあああ!!!心臓がバクバク言って、口から全部飛び出してきそうだわ。
今すぐここから飛び降りて、「やっぱりできません!」と言って、許しを乞うのは駄目かしら…)
(でも でも でも 今ここで優花を手離して、キョーコに戻るのもやっぱり嫌だあああ~~~
絶対この場で、慚死(ざんし)してしまうわ!いけない!キョーコ、頑張るのよ!
敦賀さんのスパルタに耐えて演じ切るのよ!!!)
「相手も確かめずに、抱きついてきたら物騒だろ?」
おでこにキスを返して、蓮は微笑んだ。
「違うもん!ちゃんとわかって抱きついたのよ。だって誠一郎さんの足音はすぐわかっちゃうんだから。」
(これは、本当。敦賀さんの足音は、なぜかすぐにわかるの。)
身体を寄せて、無邪気に笑うキョーコは、誠一郎の愛情を信じて甘える優花そのものだった。
そんなキョーコに蓮も愛情を隠さず素直に優花を甘やかす誠一郎を演じる。
「犬みたいなやつだなww」
くすくす笑うと蓮は、愛おしくて仕方ない新妻に、唇を上に向けてかすめる様なキスを落とした。
あまりにの自然な動作に、お互い一瞬何があったのかわからなかったが、キョーコが漏らした小さな叫びで、蓮は初めて今自分がしてしまったキスが唇だったと気づいた。
(しまったぁ…あまりにも最上さんが可愛いこと言うから、つい昔のくせでやってしまった。
アメリカでは、この程度のキスは挨拶代わりで家族にもよくしていたので、つい同じ調子でやってしまったが、相手が最上さんとなれば違うだろ!いくら、演技中とはいえ、純情な彼女にこれはさすがにやりすぎだった・・・・もう抱き上げた時点で、きっと彼女は内心絶対にパニックを起こしているだろうに・・・・俺の腕から逃げ出してしまわないだろうか?)
不安に揺れる目つきで彼女を見上げるが、キョーコはまだ役を手離してはいなかった。
顔は何とか誠一郎を保っていたが、内心ひどく狼狽えている自分を必死で立て直していた。
いけない! こんなんでは、駄目だ!何、芝居中に私情を挟んでいるんだ。彼女も俺もプロだ!
今ここで気にする事ではない!新婚なんだから、キスの一つや二つは、当たり前!日常茶飯事な事にいちいちビビッていてどうするんだ。
彼女にも慣れて貰わないと、これから先が思いやられる。)
「ごはん出来てますよ。」
キョーコは、蓮が内心ひどく焦っている事も気づかず、崩れることなくお芝居を続けていく。
「うん、ありがとう。今日は何?」
「誠一郎さんの好きな肉じゃがです!すぐに食べますか?それとも先にお風呂に入りますか?それとも・・・・わ・た・し?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
コテンと首を横に向けるキョーコと無表情で固まる蓮。
互いの思考は全然違っていた。
(うわぁ・・・・どうしよう?敦賀さん、お芝居中なのに、無表情で固まっちゃったよ!
さすがにこの芝居は、ベタ過ぎたかしら?でも、他に参考にできる様な台詞、思いつかなかったんだもん!!呆れちゃったかな?また一からやり直し?それはそれで、心臓が持ちそうにないんですけど~~もうすでに限界綱渡り!
いっぱいいっぱいなんだからぁぁぁぁ~~~~)
(彼女は、よりによって今この状況でなんてことを言いだすだぁ!俺が優花と言えば、そのまま寝室だぞ!わかって聞いているのか?一体どこまでやる気なんだ!?)
互いに激しく動揺し、異なる思いを抱えながら、表情は崩さず淡々とお芝居を続けていく。
「ご飯にしてくれるかな。」
リビングについて、抱きかかえていたキョーコを床に降ろすと、彼女はそのまま背中の方に回って脱いだ上着を受け取ると、急いで台所の方へと駆けていった。
「はぁぁぁぁぁ~~~~~まいったなぁぁ~~~~」
頭を抱えて蹲ると、このドラマのオファーが来た時の事を蓮は思いだしていた。
********
このドラマの話を知ったのは3週間前。
事前にスケジュール確認も兼ねてのオファーだった。
当初は、「敦賀蓮」のイメージとのあまりにのギャップに逃げ腰だったが、相手の妻役に京子の名前が挙がっていると聞いて、焦って社さんに頼み込みスケジュールを調整してもらった。
この役を他の男と最上さんがやるなんて、考えただけでも腸が煮えくり返る。
役者だから、こういう役もいずれは演じなければいけないとわかっていても、許せない!
それにまだ彼女は高校生だ!いくら何でも早すぎる!
とはいえ、まだまだ新人の枠を出ていない最上さんが、役を選ぶ権利はないだろうし、もし万が一、他の男と演じてそのままプライベートでも・・・・ほにゃららな関係へと考えが及ぶと、いてもたってもいられなかった。
そうやって無理して受けたオファーなのに、肝心な最上さんがこの役を断ろうとしていると聞いて、強引に勢いのままこの部屋まで連れてきて、なぜか話の流れから、お芝居の稽古という名の「新婚さんごっこ」などという、墓穴を掘ってしまった。
俺は一体何をやっているんだろう・・・・
こんな回りくどいことせずに、さっさと彼女に告白して自分のものにしてしまった方が確実だろう。
もう誰にも渡すつもりなんてないのに…
「誠一郎さ~ん 何、やってるんですかぁ?お味噌汁が冷めちゃいますよぉ。」
「ああ…ごめん。すぐ行くよ。」
目を瞑り、静かに息を吐きもう一度ゆっくり役に入っていく。
今は、彼女も必死で優花であろうとしている。
なのにこの俺がこんなにぐだぐだで、役に成り切れないなんて有り得ないだろう!?
お芝居であの子には、絶対に負けたくない!
********
「はい、あ~んして。」
隣に座り、無邪気な笑顔で牛肉を目の前に差し出す彼女は、やはり小悪魔だった。
平然とした顔で、パクついて口を動かす蓮にキョーコは嬉しそうに見つめ「美味しい?」と小首を傾げて聞いてくる。
「ああ・・・優花の作った料理は、何でも美味しいよ。ほら、優花も口を開けて。」
隣で寄り添う優花に、自分が食べていたマカロニサラダを差し出す。
小さな口で近づいてパクつくキョーコをそっと胸に抱く。
「美味しいww こっちのも食べさせて。」
胸に寄りかかって口を開けるキョーコに目尻は下がりっ放しだ。
きっと今俺は、決して人前には出せないほど、だらけきった表情をしているんだろうな・・・
でもきっとこれは正解なんだ。
誠一郎は、口ではしょっちゅう別れると言いながら、誰よりも優花を溺愛しているんだから。
キョーコの口に小さく切ったジャガイモを口に運んで、自分も残りのイモを口にする。
「ずる~い。誠一郎さんには私が食べさしてあげるの。」
「無茶苦茶だな・・・これじゃあいつまでたっても食事が進まないだろ。これが最後だからな!」
大きく口を開ける蓮にキョーコは頷いて、器のおかずへと箸を持っていった。
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「ねぇ、誠一郎さん、今お風呂沸かしていますから、お食事が終わったら、冷めないうちに入っちゃってくださいね。」
「うん、わかったよ、ありがとう・・・・そうだ優花、お前も一緒に入るか?」
ボッ ボッ ボッ ボボボボボ・・・・・///////
蓮の言葉にとうとう耐え切れなくなったキョーコは、羞恥に顔を真っ赤にして蓮の傍からはねのいた。
そしてそのまま床に這いつくばり、土下座の恰好のまま叫んだ。
「もう~~許してくださ~い!!これ以上は、続けられませ~ん。
役を途中で降りるなんて、役者としてはあってはならない事だとわかっています。
でも・・・・無理なんです!これ以上は、私にはできないんです。
情けない不出来な後輩をお許しください!!」
床に頭をこすり付ける様にして、自分の顔を見られないようにずっと頭をさげたままのキョーコに、蓮は近づいて跪いた。
「恥ずかしい気持ちはわかるけど、いつもの最上さんなら役が付いていたら、どんな時でもこんな風には逃げ出さないだろう?今日は、一体どうしちゃったの?おかしいよ・・・・
さっきの台詞だって、ちゃんと台本にあった台詞だろう。君も読んだよね?本当に一体・・・」
顔をあげさせようとついていた腕をとり、ふと連は動きを止めた。
(震えてる?もしかして泣いているのか?)
「最上さん?」
「確かに私・・・今日はおかしいのかもしれません。役だってわかっているのに・・・・敦賀さんの腕が私に触れる度、胸が苦しくて締め付けられて・・・息さえまともにできなくなっちゃうんです・・・敦賀さんの吐息が耳にかかって、甘い声で囁かれると私・・・・何も考えられなくなっちゃって、お芝居どころじゃないんです!
これじゃあいけない!優花にならないといけないんだ!と、自分に言い聞かせても、すぐに意識を持って行かれるんです。」
床にぽたっぽたっと小さな水溜りが広がっていく。
相変らず床に押し付けた手の上に顔をのせて、小さく震えている彼女は小動物のように弱弱しく、庇護欲を駆り立てる愛おしい存在だった。
くぐもった声で話す言葉は、俺への愛の告白だと彼女は気づいているのだろうか?
彼女は真剣なのかもしれないが、俺は嬉しくて緩む頬が抑えられないんだけどな・・・
「ねぇ、ならば優花としてではなく、最上さんとして優花を演じてみてはどうかな?無理して自分を偽らなくてもいいと思うよ。」
「敦賀さん!貴方は自分が何を言ってるのかわかってるのですか!?」
ガバッと顔をあげ、手をついたまま真っ赤に充血した目でこちらを睨んでくる。
「それは、私に貴方を好きなまま演じてみろと言ってるのと同じなんですよ!いくらお芝居の為とはいえ、そんな私情を交えた演技で、敦賀さんに迷惑はかけられません!」
「別に迷惑だなんて、ちっとも思ってないよ。私情だって本当にしてしまえば、問題ないと思うし。」
「へっ・・・・あの・・・・敦賀さんの言ってる意味がよくわかりませんが・・・」
「つまりは最上さんは俺の事が好きで、俺も最上さんが好きだから、同じ気持ちで演じたら、優花と誠一郎の演技もよりリアルに演じられるだろうって意味だけど。」
「?????・・・・・・・
ええええええ~~~~~!!!!!!!!」
そのまま両手をあげて後ろに飛びのくと、尻餅をついたままずりずりと蓮の方から距離をおいていった。
さっきまでの優しく温かなオーラに包まれていた蓮から刺すような冷たい空気が流れだし、大魔王が顔を出してくる。
「どうしてここで、逃げようとするのかな?」
「仕方ないでしょ!だって敦賀さんが・・・・意地悪を言うからです・・・・いくら役を放り出した不届きものとはいえ、私と敦賀さんが両想いだなんてありえません!天地がひっくり返ってもないですよ!いくら演技ができないからと言っても、人として言っていい事と悪い事があります。人がこんなにも苦しんでいるのに、からかうなんて酷すぎます!貴方は慣れてらっしゃるから、こんな戯れも大した問題ではないかもしれませんが、私にとっては一大事なんです!例え演技の為とはいえ、私にはできません!!」
恥ずかしさと怒りがごちゃ混ぜになり、一気に叫ぶとそのまま思いっきり大声で泣き始めた。
蓮は立ち上がりツカツカと泣きじゃくるキョーコの側まで近寄ると、腕をとって引きあげ、そのまま強引に唇を奪った。
「んん…んっ・・・・やっ・・・・やめて・・・・」
胸をポカポカ叩いて、離れようとするが強く抱きしめられた手は緩まることはなく、一層距離を縮めていく。
息苦しくて、頭が真っ白になりかかった時に、拘束は緩まり唇が離れていった。
肩で息をして、必死で呼吸を整えようとしていると頭上から艶やかな声が降ってきた。
「これで2回目だから、役者の法則は使えないよ。もう君は俺の物だから、諦めて俺の元においで。君の傷ついた心は俺が全部癒してあげるから、俺を頼って欲しい・・・・・・・・・・・・
頼むから・・・・二度と泣かせないから・・・俺を好きでいて欲しい。嘘でも演技でもなく本当に君を愛してるんだ。」
「嘘でしょう・・・・」
「嘘じゃない!これからその証明は、この身体にゆっくり教えてあげるからね。」
優しく見つめる目を逸らして、キョーコは小さく呟いた。
「・・・・・・・・しないで下さい。」
「えっ?」
「同情なんてしないで下さい!
敦賀さんに助けられなくても、役作りくらい、自分一人でできます!」
溢れだした涙も拭いもせず、逸らした顔を戻して蓮を強く睨んだ。
緩んだ腕から逃れようとキョーコが身体を離そうとした時、また強く引き戻される。
「経験も大してないだろうに、一体一人でどうやって役作りをするというんだ!俺以外の誰か他の男に聞くのか!!!」
「それは・・・・・・・・」
言いかけた言葉を飲みこみ、黙り込むキョーコを無言で横抱きにして、そのまま寝室へと蓮は向かった。
キョーコをキングサイズのベッドに下ろすとそのまま彼女の上に跨り、両手首を頭の上に縫い付ける。
「俺以外に聞くなんて…そんな事は許さないよ。誰が同情だって・・・なぜこの俺が好きでもない子に自分のプライベートにまで踏み込ませて、そんな危険な行為をするんだ!俺は、ずっと大切な存在は作らないと誓っていたのに…心に枷をかけて、何度も言い聞かせていたのに、君は・・・・いつだってすぐにぶち破って俺の心に簡単に入ってくる。もう・・・・許さないから・・・・・待ってなんかやらない!」
片方の手で彼女の腕を抑えつけたまま、ゆっくり顔を近づけていく。
「君は俺の物だから、俺から君は逃れられないんだ。」
触れた唇は、飢えた狼のように激しく求め吸い付き、堪らず薄く開いた唇に舌を差し込むとそのまま丁寧に咥内を犯/していく。
キョーコの身体から力が抜けてゆき、うっとりと口づけを受け入れてゆくようになっても蓮は止めなかった。
どれだけの時間、口づけを交わしていたのか
唇の端からどちらともわからない唾液が零れ落ちて、やっとゆっくり蓮は顔を上げると、そのままキョーコの耳元で囁いた。
「まだ信じられないのなら、それでもいい。信じることができるまで、何度でも君にキスをして、抱いて、愛していると囁き続けるよ。」
「もう・・・・・・・・・誓いはいいんですか?自分を許したんですか?」
ふるふると震えるまつ毛から君の戸惑いが伝わってくる。
「許して・・・なんていない・・・だけど・・・・君を諦めることもできないんだ。
他の事ならなんだって我慢する。君以外には、何もいらない・・・・・
だから…………君を求めることだけ許して欲しい。」
「私は、敦賀さんを尊敬しています。貴方は私の目標であり、宝物です。
だから私は・・・・今、貴方に好きと言ったら、アイツの時より愚者になって、貴方しか見えなくなる。
そんなの嫌なんです!いつだって貴方は、わたしの手の届かない所にいて欲しい・・・・・
こんな下まで降りてきて欲しくないんです!!!」
彼女の悲痛な叫びが心に突き刺さる。
わかるよ・・・確かに恋をすると言う事は、他には何も見えなくなるのかもしれないね。
俺もそうだ。
あんなに幸せを求めてはいけないと強く自分に言い聞かせていたのに、君が離れていってしまうかと思うと怖くて、全てを投げ捨てて今、君を奪おうとしている。
でも君の願いは聞き入れられない。
「わかったよ・・・最上さんはそれでいい・・・
その代りに俺が愚者になって君の分まで愛するから、君はそのままでいいんだ。」
縫い付けていた手の拘束を外して、頭を優しく撫でながら溢れ出した涙を拭っていく。
その間、もう片方の手は首筋から胸へと下がり、シャツのボタンを一つづつ片手で器用に外して、白く透き通った素肌を外気へと曝け出した。
ゆっくりと首筋から胸へと手を這わせ、妖しげな表情で彼女を見下ろす。
「君が知らない事は、全部俺が教えてあげるから、しばらくはここで一緒に暮らすんだ。もちろんずっとでもいいけどね。
役作りも、それに足りない経験も、全部俺がこの手で一つずつ教えてあげるよ。」
夜の帝王の甘い囁きと浮かされた熱に、キョーコが思考を手離すのに、そう時間はかからなかった。
その日、キョーコはたくさんの初体験と初めての恋人を手に入れるのだった。
おわり
ちょっと後半桃だったので、強制終了しましたが、次回はどうしよう・・・・
桃ではないのですが、思わせぶりのワードがいっぱい。
限定記事にするか只今、迷っています
ただ今絶不調のピコの唯一のやる気につながるボタン
コメント&拍手をお待ちしております(。-人-。)